(株)野村総合研究所がこのほど発表した『民間企業によるポイント・マイレージ年間最少発行額』のまとめによると、2021年度の「民間発行額」は1兆834億円で、昨年度比で約4%増加。このまま増加を続け、26年度には1兆2000億円を突破する見込みを示している。
国内におけるポイント・マイレージの年間最少発行額の実績値(推計)と予測値
21年度の民間部門の発行額を1兆834億円と推計
家電量販店やキャッシュレス決済、携帯電話など、国内11業界の主要企業が1年間に発行するポイント・マイレージの発行量を金額換算した「最少発行額」について、21年度までの実績推計と26年度までの予測を行った。また、19年度~21年度は、行政のキャッシュレス促進施策などで発行されるポイントについても推計し、発行額に加算している。
「発行額」は、各業界の集計対象企業数が限られ、また、購買金額にかかわらず発行されるものや、特別会員向けなどの追加発行ポイントを除いていること。さらに、行政主体のポイント発行に関しても、主要な施策のみの集計となっていることから、「最少発行額」とした。
それによると、21年度の民間部門の発行額は、20年度の1兆399億円から約4%増加し、1兆834億円と推計。増加の一因として、コロナ禍に起因する経済停滞の一部回復が挙げられる。航空業界はコロナ禍で大きな打撃を受けた業界の1つで、20年度は前年度から発行額が611億円減少したが、21年度は20年度から66億円増加していた。
また、コロナ禍に端を発する新しい生活様式などの影響を受けているキャッシュレス決済およびECプラットフォーマーの存在も、発行額の増加に大きく貢献。22年度以降も民間発行額は増加を続け、22年度は1兆1188億円、26年度には1兆2496億円を予測。キャッシュレス決済やECプラットフォーマーの発行額の継続的な拡大が今後も想定される。
国内11業界別の2021年度のポイント・マイレージ年間最少発行額と算出の根拠
行政主体の21年度ポイント発行額は前年度から大幅減の1579億円と推計
行政主体のキャンペーン・事業による21年度のポイント発行額は、20年度の3668億円から6割減少し、1579億円と推計。減少要因として、19年6月に開始して約5000億円の発行額となった「キャッシュレス・ポイント還元事業」の20年6月での終了を挙げた。21年度は、主に「マイナポイント事業」と「グリーン住宅ポイント制度」が実施されたが、「マイナポイント事業」は、22年度も継続的に実施されている。
6月30日からは、「マイナポイント第2弾」が開始され、発行額の上限が、従来の1人当たり5000円分から4倍となる2万円分に増加。21年度以前に5000円分のマイナポイントを獲得済みの人でも、差額の1万5000円分のマイナポイントは追加で獲得できるため、22年度は「マイナンバー事業」による発行額の大幅な増加が予想されている。
発行額の推計対象であるポイントは、複数の事業者間で使える「共通ポイント」、グループ企業でのみ使える「グループ内共通ポイント」、事業者でのみ使える「ハウスポイント」の3つに区分される。共通ポイントでは、PayPayが「PayPayポイント」の外部企業への販売を22年 10月以降開始し、新たに共通ポイントの一員になると発表している。
また、CCCグループ(Tポイント)は10月に、三井住友フィナンシャルグループ(Vポイント)との資本業務提携に関する基本合意書の締結を発表。今回の動向によって新規にポイントを導入する企業は限定的である可能性が高いが、決済単価が比較的小さく、PayPayが提供するコード決済と相性の良い総合スーパー・コンビニエンスストア業界や、三井住友フィナンシャルグループが強みを持つ金融分野を中心とした発行額拡大が予想される。
この続きは、通販通信ECMO会員の方のみお読みいただけます。(登録無料)
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。