帝国データバンクが5日発表した『上場食品メーカー主要105社の価格改定動向調査~2023年1月』によると、1月の値上げは580品目で前年同月比約200品目減り、3か月連続で1000品目割れの水準に。ただ、2月以降の値上げ品目は増え、春先にかけて値上げラッシュの第一波が到来する見通し。一年を通して、「前年以上」を実感することになりそうだ。
1~4月までの予定を含めた値上げ品目数は前年比60%増
22年末までに決定した、23年中の飲食料品値上げ品目数は、4月までの予定を含めて累計7390品目に上る。品目数は前年同期(1~4月・4672品目)に比べて約60%多い。
1回あたりの平均値上げ率は18%に達し、22年の通年に比べても4pt、前年同期の平均値(11%)からは7pt高い水準。22年に比べて大幅な価格引き上げを行う企業・食品が多く、値上げ率が大きく高止まりする原因となっている。
うち、23年1月単月の値上げは580品目。前年同月(789品目)に比べて209品目少なく、同11月、12月に続いて3か月連続で1000品目を下回る水準となった。ただ、2月には22年以降で2番目に多い規模となる4000超の品目で値上げが控えるほか、3月も前年同月を上回っており、春先にかけて値上げラッシュの第一波がやってくる見通しという。
23年の値上げで最も多い分野は加工食品
23年の値上げは前年の原材料価格の高止まりに加えて物流コストなどの上昇、急激に進んだ円安などの影響が長引き、コスト上昇分を緩やかに価格へ反映する動きが目立つ。前年初めに比べると大幅な円安水準であることもコスト増に拍車をかけ、改定幅を大幅に上回るコスト増に直面したことも値上げラッシュが長期化する原因となっている。
23年の値上げで最も多い分野は加工食品の3897品目。水産練り製品や冷凍食品などを中心に2月に値上げが集中している。次いで、酒類を中心にした酒類・飲料(1446品目)、ドレッシングや醤油、つゆ・たれ製品を中心とした調味料(1417品目)。嗜好性の強い菓子(526品目)では、本体価格の引き上げではなく内容量減による価格維持=「実質値上げ」の傾向が目立つ。原材料でも、家庭用オリーブオイルなど食用油で再値上げの動きがみられる。
1月単月の値上げでは加工食品が最も多く378品目。ツナ缶などの水産缶詰製品のほか、お好み焼き粉といった加工粉製品、パスタソースなどが中心で、1月の値上げのうち約半数を占める。米菓やパンなどでも「実質値上げ」の動きがみられた。
価格を変えずに内容量を減らす「実質値上げ」のケースも増加
23年は、価格を変えずに内容量を減らす「実質値上げ」のケースが増えている。今後も、すでに複数回値上げをした菓子などの嗜好品、日常的に購入する食品などでは、気軽に購入できる店頭価格を維持するため「実質値上げ」が選ばれる可能性がある。ただ、短期間・複数回に及ぶ「実質値上げ」は1枚・1個単位での内容量減をより実感しやすくなる側面もあり、消費者目線では前年以上に「目に見える形」でのインフレを実感する年になりそうだ。
足元では、原油価格をはじめとしたエネルギーや食料品コスト、円・米ドル為替相場といったコスト上昇速度は落ち着き、緩やかな減速の兆しもある一方、依然として高止まりの状態が続いている。消費者に近い製品・業種ほど価格転嫁も十分に進んでおらず、前年分のコスト増を持ち越す形で、23年もしばらくは値上げの動きが続くとみられるとした。
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