2023.01.25 コラム
課題から見たリスティング広告5つの改善ポイントとは
リスティング広告を運用していて、「思うように成果が出ないので改善をしたいが、何をしていいか分からない」という運用担当者の方は多いのではないでしょうか?
リスティング広告の改善をするには、まずは目的や課題、分析などをしっかりと行った上で課題に合った施策を実行することが重要となります。本記事では専門家の監修のもとリスティング広告改善の方法を課題別に分かりやすく詳しく解説していきます。
リスティング広告の各指標
リスティング広告には表示回数やクリック数、獲得件数などの細かな指標があります。
改善していくためには、各指標の意味を正しく理解しておくことが必要不可欠です。なぜならリスティング広告がどれだけ成果を上げているのか、各指標から適切な分析を行い課題を摘出することで、改善策を立案できるからです。
そのためリスティング広告の改善方法をご紹介する前に、まずはおさらいの意味も含めて各指標の概要を簡単に解説します。
表示回数(Impression) | 広告の表示回数 |
---|---|
クリック数 | 広告のクリック数 |
クリック率(CTR) | 表示回数に対するクリック数の割合 |
クリック単価(CPC) | 1回のクリックで支払う費用 |
獲得件数(CV) | 問い合わせや販売数など、広告のゴール |
獲得率(CVR) | クリック数に対する獲得が発生した割合 |
獲得単価(CPA) | 1件獲得するにあたりかかる費用 |
費用(COST) | 広告媒体に支払う費用 |
費用対効果(ROAS) | 広告費に対していくら売上があったを示す数値 |
リスティング広告改善の流れ
各指標の概要を理解したうえで、次に実際にリスティング広告を改善する流れについてご紹介します。
リスティング広告を運用するにあたり、最大限の成果を出すためには最適なタイミングで改善していくことが重要ですが、やみくもに着手するのではなく、まずは流れを確認しておきましょう。
改善する際の大まかな流れとしては以下の通りです。
- 目的とゴールの明確化
- 課題の抽出
- 改善策の実施・分析
ここからは、改善の流れの各手順を詳しく解説します。
1.目的とゴールの明確化
改善施策に着手する前に、まずリスティング運用の目的とゴールを明確化することが大事です。リスティング広告を運用することで達成したい本来の目的は何なのか、改めて考えてみてください。
企業によっては売上の最大化やイメージの向上などが目的として挙げられるでしょう。そして目的が定まると自ずとゴールも明確になるため、逆算して施策を立てられるようになります。
たとえばリスティング広告運用の目的を売上の最大化としている場合、クリック単価を上げるか、より多くのユーザーを獲得するかの2パターンの施策が考えられます。仮にクリック単価を下げる場合は、ユーザー数を増やさなければ売上アップは見込めません。
しかし、ユーザー数を増やすための施策を行わずに、目先のクリック率を上げるためにクリック単価を下げてしまっては売上減となり本末転倒です。そのため、改善施策に着手する前には改めてリスティング広告の目的とゴールを明確にしておく必要があるのです。
2.課題の抽出
次に、明確化した運用の目的とゴールに対して妨げになっている課題を見つけます。たとえば目的を売上の最大化としている場合は、コンバージョンや獲得単価の改善が課題として出てくるでしょう。
課題はひとつに限らず、複数出てくることもあるので、優先順位をつけて着手するようにしてください。すべての数値を一気に改善しようとすると、どこから着手すべきか分からなくなってしまうため、優先順位をつけることは大切な手順です。
仮にコンバージョンを上げるためには、クリック数を増やすか、コンバージョン率を上げるといった施策が必要になります。このように、前述の各指標を参照しながら現状の運用状況に何が足りていないのか効果測定を行い、ゴールから逆算して課題の抽出を行ってください。
3.改善策の実施・分析
明らかになった課題に対して改善策を実施し、分析を行います。
注意するべき点は、実施した改善策の全てが成功するわけではないということです。そのため、改善策を実施したからといって安心するのではなく、実施後しばらく経ってから必ず分析を行うようにしましょう。
実施してからある程度経っても課題が改善されない場合は、改善策を変更するなど状況に合わせて対処するようにしてください。実際の改善施策については、次の章で詳しく紹介します。
リスティング広告の改善すべき5つのポイント
ここまで、リスティング広告における各指標の概要や改善の流れをご紹介しました。
実際に改善すべきポイントは、大きく以下の4つです。
- 表示回数(インプレッション)が伸びない
- クリック率(CTR)が低い
- コンバージョンに繋がらない(CVR)
- 獲得効率(CPA)が高い
ここからは、それぞれの改善ポイントと実際の改善施策について解説します。
表示回数(インプレッション)が伸びない
リスティング広告を運用するにあたってユーザーに広告が表示されなければクリックや成果が見込めません。
表示回数が適切に増えればコンバージョンは高くなる傾向にあるため、成果を上げるためには広告の表示回数を増やす必要性があります。また、やみくもに表示回数を増やすのではなく、成果につながる見込みが高いユーザーに届けることも重要です。
具体的に表示回数を増やす施策として以下の2つがあります。
キーワードを追加する
既にあるキーワードのうち、コンバージョン率が高いものと類似するキーワードや、ユーザー層が同じと予測されるキーワードを追加していきましょう。実際にユーザーが検索エンジンで入力したキーワードが分かる検索クエリから追加するキーワードを選定するのもおすすめです。
また、効率よく運用したい場合はユーザーの属性やデバイス、所在地などのシグナルを基に自動で入札を行ってくれるスマート自動入札の活用を検討してみてもいいでしょう。
マッチタイプを変更する
マッチタイプとは、キーワードに対して広告を表示させる範囲を決める設定のことです。具体的には、完全一致、フレーズ一致、部分一致、絞り込み部分一致の4種類が存在します。
たとえば完全一致で効果が高いキーワードに関しては、フレーズ一致や部分一致を活用して類似キーワードを増やすのも有効です。一方でフレーズ一致や部分一致を設定する場合、広告を表示させる範囲が広がった分コンバージョンに至らない表示や 意図しないキーワードでの表示が増えるため、費用対効果が低くなってしまう傾向もあります。
そのため定期的に効果測定を行い、最適なマッチタイプとキーワードを選びましょう。
クリック率(CTR)が低い
クリック率は広告が表示された回数に対するクリックの割合のことです。
広告が有効かどうか、ユーザーに届いているかの善し悪しを判断するために活用される重要な指標です。クリック率を改善することで、より多くのユーザーが流入し、コンバージョンを高める効果が期待できます。
とくにリスティング広告の場合、クリック率は品質スコアを左右する指標であるため、クリック率が低い場合は早急に改善施策を実施しましょう。
具体的にクリック率を上げる施策として以下の2つがあります。
広告文を変更する
広告文はユーザーが初めに目にする部分であるため、クリック率にも大きく影響します。そのためユーザーにとって魅力的な内容であるか見直してみて、改善が必要であれば変更しましょう。
キーワードと関連性の高い文章であることはもちろん、ユーザーの潜在ニーズや悩みに寄り添った表現、悩みを解決できる具体的な強みや数字を示すことで、クリックを促すことが可能です。また、強調したい表現には「」や【】などの記号を取り入れてもいいでしょう。
キーワードを見直す
そもそもキーワードとユーザーのニーズが合致していないため、クリックされにくい可能性があります。そういった場合にはキーワード自体を見直すことも有効です。
仮に表示回数は良好であるのに対してクリック率が低迷している場合には、ユーザーのニーズにキーワードが合っていない可能性が考えられます。また、コンバージョン率が良好なグループに寄せていくことでクリック率の改善を狙う方法もあります。
まずはユーザーのニーズを掘り下げて十分にリサーチを行ったうえで、再度キーワード選定を行いましょう。
コンバージョンに繋がらない(CVR)
コンバージョンに繋がらないといった課題に対しては、クリック数や表示回数の多い広告を優先的に改善していくことで効率的にコンバージョン数の向上が図れます。なぜなら既にクリック数や表示回数が多い広告について改善を行うことで、全体に与えるインパクトが大きいからです。
一方で、クリック率や表示回数が多いにも関わらずコンバージョンに繋がらないといった課題に対しては、コンバージョン率を改善することで解決できます。ただし検索ボリュームが大きいキーワードを選んでいる場合、検索するユーザーが多いため自ずと表示回数も増える傾向にあり、その分見込みの低いユーザーも多く流入してくることが予測されます。
その場合、コンバージョン率の改善に注力すべきか、いっそのこと撤退してしまうかなどの判断が必要です。
具体的にコンバージョン数を上げる施策として以下の2つがあります。
広告文とLPの関連性を見直す
魅力的な広告文でクリック数が高くても、LPとの関連性が低くては意味がありません。クリックした先のLPにおいてユーザーのニーズを満たしてないと、離脱されコンバージョンに繋がらないためです。
そのため、コンバージョン数の改善にあたってはユーザーニーズに合った最適な広告文にしましょう。さらにキーワード、広告文、LPが一貫した内容で統一されているかどうかも大事なポイントです。特に、広告文とLPのキャッチコピーは、ユーザーの離脱を防ぐためにも統一性を持たせておく必要があります。
このように、広告文とLPの関連性を見直し、改善施策を検討してみるといいでしょう。
LPの最適化(LPO)
検索クエリやクリック率が高いキーワードに合わせてLPの最適化を図ることもコンバージョン数の向上に有効な改善施策です。広告文と関連性の高い画像が設置されているか、問い合わせボタンをクリックするまでの導線は最適か、使いやすく見やすいデザインかなどに焦点を合わせて確認していきましょう。
また、コンバージョンの敷居を下げてクリック率を上げて様子を見てみるのも改善施策のひとつです。一般的にLPの最適化についてはコストと時間がかかるため、中長期的な視点で観察していきましょう。
広告費用(COST)がかかっている
リスティング広告を運用するにあたっては、限られた予算内で最大限の効果を得ることが望ましいです。
そのため、コンバージョン率向上が見込めないキーワードがある場合は、より成果が見込めそうな広告へ予算を振り分けるなどの対策を講じましょう。また、広告自体に問題がなかったとしても予算オーバーや予算の消化が想定以上に早い場合は、広告が表示されない期間や時間帯が発生してしまうため、広告費用の改善を行う必要があります。
広告費用がかかっている場合に実施した方がいい施策は以下の2つです。
入札単価を見直す
広告の掲載順位に大きく影響を及ぼす入札単価ですが、成果へつなげたいがために高く設定してしまうと、その分コストがかかってしまいます。予算をオーバーするほど入札単価を高く設定してしまっている場合には見直しが必要です。
また広告を効率よく運用するには、コンバージョン数の少ないキーワードに対して入札単価を見直すなど適宜テコ入れをしていく必要があるでしょう。
キーワードを選定し直す
広告費用を抑えるためには、キーワードに優先順位をつけて選定し直すことが有効です。とくにクリック率やコンバージョン率の高いキーワードは成果につながりやすいため、優先的に予算を振り分けます。
ただし、クリック数が多いにも関わらずコンバージョン率が低いキーワードについては撤退することも検討しましょう。成果につながりにくいうえ、クリックされることで無駄なコストが生じてしまうためです。
このように、常にキーワードに対してどれくらいの成果が発生しているのかを確認しながら、予算を振り分けていきましょう。
リスティング運用を代理店にお願いする場合
ここまで、リスティング広告改善の流れと改善すべきポイントについて触れてきましたが、リスティング広告を自社のリソースで運用するとなると、多大なコストと時間が必要になります。
そこで考えるべきなのは、リスティング広告代理店を活用することです。次に、リスティング運用を代理店にお願いした場合の費用相場と、メリット・デメリットを解説します。
相場
リスティング運用を代理店にお願いする際にかかる費用の相場は広告費の20%です。
たとえば月間の広告費が100万円だった場合、運用代行手数料は20%の20万円になります。また広告費が少額である場合に、手数料の最低金額を設定している代理店もあります。
手数料のほかに、アカウント開設やタグの設置、広告文の作成などに初期費用がかかる場合もあるため、検討している代理店の公式HPやお問い合わせなどで確認してください。
メリット
プロに頼むことで効果が出やすい
リスティング運用の代理店には、最新の機能やアップデートされた情報が集約されています。また、運用で培った豊富な経験もあります。リスティング運用のプロに頼むことで、自社で運用するよりも高い効果が期待できるのです。
社内リソースが空く
代理店にリスティング運用を依頼することで、社内で運用するはずだったリソースが空きます。空いたリソースは、他のマーケティング業務や戦略を検討する時間などに割くことが可能です。
デメリット
社内にノウハウが蓄積されない
代理店が運用していくため、社内に運用ノウハウは蓄積されません。依頼する際は丸投げせず、定期的に情報共有を求めることや、効果検証や施策の仮説検証などの重要な局面においては一緒に作業するなど、代理店に任せきりにしないようにしましょう。
必ず成果が出るとは限らない
リスティング運用を代理店に依頼したからといって必ず成果が出るとは限りません。なぜなら広告運用に確実な正解はなく、代理店とコミュニケーションを取りながら改善を重ねることで成果を出していくものだからです。
特に運用し始めの頃は成果が出にくいです。ただしこの点については自社で運用する際にも同様のことなので、改善をしつつ中長期的な成果を求めるものだと認識しておきましょう。
まとめ
今回はリスティング広告改善の流れと改善すべきポイント、運用を代理店にお願いするメリット・デメリットについて解説しました。
主なポイントは以下の通りです。
▼リスティング広告改善の流れ
- 目的とゴールの明確化
- 課題の抽出
- 改善策の実施・分析
リスティング広告の改善を図る際は、やみくもに着手するのではなく、まずは流れを確認しておきましょう。
▼リスティング広告の改善すべきポイント
- 表示回数(インプレッション)が伸びない
- クリック率(CTR)が低い
- コンバージョンに繋がらない(CVR)
- 獲得効率(CPA)が高い
▼リスティング運用を代理店にお願いした場合
- 相場:基本的には広告費の20%
- メリット:プロに頼むことで効果が出やすい、社内リソースが空く
- デメリット:社内にノウハウが蓄積されない、必ず成果が出るとは限らない
リスティング広告を運用しているものの、思うような成果が出ずに改善をしたいと考える方も多いのではないでしょうか。
リスティング広告の改善にあたっては、まず目的や課題、分析などをしっかりと行った上で、課題に合った施策を実施することが重要です。また、社内で運用するにはリソース不足である場合は代理店に依頼することも検討しましょう。
リスティング広告を成果につなげるためにも、今回ご紹介した改善ポイントに沿って効果的に運用を行ってください。
監修者:De-STANDARD株式会社 代表取締役CEO 吉田雄亮
滋賀県大津市出身。ファッション雑誌の広告営業主任を経て、Web制作会社で制作ディレクター・営業部長を経験。東証一部上場の大手デジタルマーケティング会社では、アカウントエグゼクティブ課長として、主に健康食品メーカーなどのWebプロモーション・制作・運用・システム案件に携わる。EC業界に特化すべく、売れるネット広告社に入社。コンサルティング部責任者・取締役COOとして、未整備な部分の多いベンチャー組織の体制整備や、並びにクライアントへの提供価値最大化を目指した仕組み作りなど多岐に渡る領域のマネジメントに従事。ECのスペシャリストから通販のジェネラリストを目指すべく、ジェイフロンティアに入社。商品開発やチャネルの開拓など、通販事業主側の戦略を加味した上流の企画立案からクライアントを支援。EC・通販・デジタルの支援実績や組織マネジメントのスキルをもって、De-STANDARD株式会社を設立し、同社代表取締役CEOを務める。
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。
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