2023.12.18 通販会社
CPA2000円減/アップセル率58%も!?Jフロンティア中村社長に聞くキャスティングの強さ
ジェイフロンティア(株)は、「未病」「予病」に焦点をあてた理念を掲げ健康食品から医薬品といったヘルスケア分野とメディカルケア分野のサービスを、EC・通販をはじめ総合的に手掛ける企業だ。広告代理業からスタートし、タレントキャスティングや商品開発を支援しながら、自社でヘルスケア分野のD2C事業も開始し急成長を果たした。そののちオンライン診療・オンライン服薬指導・医薬品の宅配をワンストップで提供するプラットフォーム「SOKUYAKU」もスタート。同社の軌跡と理念、思いについて中村篤弘社長に話を聞いた。
健康寿命延伸・医療費削減で社会貢献
ーー御社の沿革から伺いたい。
中村篤弘社長(以下、中村):当社は2008年に広告代理店として立ち上がりました。当初はヘルスケア分野の企業向けのWEB広告の取扱いが中心で、LPやカートの部分、フルフィルメント部分までECの立ち上げ支援まで手掛ける代理店でした。商品企画の部分も支援を行っており、タレントと共同で商品を企画するといった、今でいう「PtoC」の立ち上げ支援も行っていました。このあたりの影響で当社に対しタレントキャスティングに強い、といったイメージをもたれている業界関係者の方は少なくないかと思います。2012年からはヘルスケア商品のD2Cもスタートし、「酵水素シリーズ」をヒットさせました。このあたりから当社を代理店というよりECの事業会社と認知される方が増えたように思います。そのほかカラコンの通販なども手掛けていました。そののち、2016年には医薬品D2Cに参入、2019年には処方薬領域に進出しました。2021年にオンライン診療・服薬指導アプリ「SOKUYAKU」をリリースし、現在ではオンライン診察~医薬品の宅配までサービス拡充を行っています。「SOKUYAKU」の拡充は正直4~5年はかかると思っていましたが順調に進みました。2021年には東証マザーズ(現グロース市場)に上場を果たしました。
ーー一貫してヘルスケア領域を手掛けている。
中村:当社は経営理念を「人と社会を健康に美しく」としています。健康食品や医薬品などのヘルスケア・メディカルケア領域の通販・EC事業を行い、「ケンビキョウイイ(健康・美容・教育・癒し・医薬・医療それぞれの頭文字)」の分野で商品やサービスを提供することで、人々の健康と社会生活をサポートしています。健康食品を起点に漢方などを始めとする医薬品分野にも進出、今では処方薬の領域までカバーしています。当社が理念をもとに目指しているところは、あらゆるサービスを通して国民の健康寿命の延伸を実現することです。それは保険医療費の削減へと繋がる社会貢献だと考えています。当社のヘルスケア商品は正に、病になる前段階の未病・予病の時点でサポートするというものです。そして「SOKUYAKU」をはじめとするメディカルケア分野は病そのものの治癒を診療や服薬指導、医薬品の通販を通じてサポートします。そして治癒したあとのケアをまたヘルスケア分野で支援するというフローで各種サービスを揃えています。
創業以来15年近いキャスティングノウハウ
ーーキャスティングに強い広告展開という印象は強い。
中村:広告代理業から自社のD2C、そしてメディカルケアの事業までキャスティングにこだわってきました。広告代理業の初期からD2Cにおけるキャスティングの強さは実感しておりキャスティングサービスを手掛けています。
タレント起用はもちろん、今でいうインフルエンサーの起用という領域まで早い段階から着目しサービスとして提供していました。今ではインフルエンサーの中に、「インスタグラマー」「TikToker」などといった呼称がありますが、当社は「ブロガー」「読モ」といった範囲まで初期からカバーしていました。その理由として、キャスティングは「いかに共感を生むか」にかかっているからだと代理業・自社D2Cのいずれにおいても感じてきたからです。
ーーキャスティングによる共感の発生とは?
中村:もともと通販業界では老舗企業がテレビCMでタレントを起用するのが定石だったかと思います。一方で制約も多く「商品名をタレントが言わない」「商品をタレントが持たない」といった条件がついてしまうこともしばしばです。SNS全盛期を迎え「共感」の重要性は巷間でよく言われる通りだと思うのですが、やはり広告クリエイティブも同様です。イメージキャラクターとして著名なタレントを起用したい、というご要望はいまでも少なくないのですが「いかに商品を沢山のお客さまに届けるか」が使命であるD2CにおいてはCVが命です。CVさせるにはやはり単なるイメージキャラクターとしてキャスティングをするのではなく、商品の良さをより伝えるために起用することが重要になります。ストレートに言うと「本人が使っている感」がないとキャスティングは生きません。お客さまから見て「自分にとって身近に感じられるかどうか」という所が大事になってきます。当社の例でいうとタレントのはるな愛さんを長らく「酵水素シリーズ」に起用しています。これは、はるな愛さんが当社の商品のお客さまに共感を得やすく実際にCVに繋がっているからという理由があります。それは、美しくあるための努力を続け「女性よりも女性らしい」と言われることもある、はるな愛さんだからこそお客さまの気持ちに寄り添えるのです。15年近くD2Cのキャスティングを社内外で手掛けてきて言えるのは、肝は「共感を生み出せるかどうか」。これに尽きます。
半年で売上数億円/CPA2000円減/アップセル率58%…成功事例多数
ーーコツなどはどうか。
中村:一番重要なのは起用者や所属事務所の関係値がどれほどあるか、という部分にあると思います。関係値がきちんと築けていると、起用側の意図を汲んで、商品サンプルをしっかり使ってくれて、例えば自宅で実際に使っている動画を提供してくださったり、ブログで使用レポートみたいなものをご用意くださったりと協力してくださることが多くあります。実際に協力的なタレントさんやインフルエンサーを起用したケースはCVも良い傾向にあります。
ーー成功事例などあれば聞きたい。
中村:先ほどのお話の通り、協力的なタレントさんの起用により大成功したケースがあります。商品を使っていく経緯を長い期間に渡りブログで紹介していただきました。その上で、そのタレントさんも交え沢山のメディアを招いた記者会見を開きました。会見とブログというコンテンツがWEBで”バズ”り約半年で数億円を売り上げました。ちなみにこの時、キャスティングにかかった費用は売上額の1%以下でした。そのほかキャスティングによってCPAが2000円下がったとお喜び頂くこともあります。さらに定期アップセル率58%達成というケースもあります。キャスティングはそれだけD2Cを成功に導くパワーがあります。
反対に失敗してしまった事例としては、やはり起用者の協力があまりいただけず数千万円をかけイベントまで開催したものの鳴かず飛ばずというものもありました。そのほか当社の事例ではありませんが、通販会社が超大手代理店を通じてタレント起用をしたところ通販で必要なクリエイティブでの使用が契約上網羅できておらずトラブルになってしまったというのはよく聞きます。例えば同梱冊子での肖像利用が契約書に盛り込まれていなかった、などですね。なぜこういうことが起きるかというと、代理店は通販会社の必要とする部分を理解しきれず、出稿主側もキャスティングの作法を理解しきれず認識の齟齬が起きてしまったという”あるある”です。
ーー御社によるキャスティングの強みは。
中村:まず今お話しした”失敗あるある”は当社では起きません。それは当社自身がD2Cを手掛けており、出稿主側が必要とするものをきちんと把握できているからです。次に当社自身がD2C事業で多くのキャスティング起用をしておりますので、タレントさんなどを抱える所属事務所に対し交渉力があります。事務所側からすると当社は得意先でもあり代理店でもあるという特殊な立ち位置となるからです。またこれまでにお話した通り、成功事例も多く持っていますし「いかに共感を生むか」という勘所も理解しています。そしてバズらせるために必要な環境もご提供できます。協力的な方の起用を支援することと、撮影や会見などイベントコンテンツの仕切りもできるという部分が正にそうです。
ーーキャスティングで注意が必要な点は。
中村:”失敗あるある”でお話しした通りですが、そのほかでいくといわゆる芸能人タレントとYouTuber・インスタグラマーといったインフルエンサーは勝手が違うということでしょうか。芸能人タレントはレガシーな事務所が徹底した教育をするといった文化がありますが、インフルエンサー界隈は比較的若い業態ですので文化が違うという点は理解しておいた方がベターです。一方でインフルエンサーはアフィリエイト広告などWEB広告に精通しています。活用の仕方次第で跳ねるコンテンツ作りに有効です。
ーー最後に会社全体の展望について聞きたい。
中村:最初にお話しした理念に基づいて、今後もヘルスケア経済圏を広げていきます。取り扱うプロダクトを拡大し、全てを当社で完結できるようにしていきたいと考えています。プロダクトの拡充する中で家庭用医療機器など厚生労働省認可の機器分野にも進出したいという構想も持っています。まずはオンラインによる24時間診療の提供と、地理的ハンディキャップなく薬が届く機会を提供できる状態を実現していきたいと思っています。健康食品や漢方のD2Cも通じて、我々はよりパーソナルな提案をお客さまにすることが可能だと思っています。そのためにも「SOKUYAKU」のさらなる拡充を進めていきます。
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。
資料DLランキング
-
1
【EC事業者様向け】ECを最短で軌道に乗せる最新のソリューションとは?
-
2
2024年プライムデー速報
-
3
越境ECウェブインバウンド白書2024
-
4
EC売り上げを最大化するマルチチャネル商品戦略
-
5
ECでの商品購入に直結するデジタル広告の実態調査
ニュースランキング
-
1
ローソン、ふるさと納税に参入 大手コンビニで初
-
2
au PAY マーケット、今年最後の「ライブTV大感謝祭」を開催
-
3
アマゾン、配送パートナーに感謝を伝えるキャンペーン開始
-
4
【12月3日15時更新:物流配送状況】日本郵便/ヤマト運輸/佐川急便/西濃運輸/福山通運
-
5
公取、オフィス家具のイトーキに警告 物流事業者への委託業務めぐり独禁法違反の恐れ