2024.02.02 通販支援
EC企業はどうやって資金繰りすべきか? 仕入費・広告費の調達法を考察
企業の経営者にとって「資金調達」、「資金繰り」は常に頭を悩ませる課題だ。特にEC事業を行うスタートアップも多い業界では「取引先の与信審査が通らず仕入れが思うようにできない…」「広告費をかければ売れるサービスの勝ち筋が見えたのに捻出する当てがない…」といった悩みは“あるある”ではないだろうか。EC事業を円滑にグロースさせるためにはどんな資金調達法があるか、金融関連サービスを展開する(株)バンカブルが開催したメディアラウンドテーブルから“8つ”の手法を考察する。
国内企業の調達総額は減少、調達額に格差も?
バンカブルは広告費の4分割・後払いを可能にする「AD YELL(アドエール)」、仕入費の4分割・後払いを可能にする「STOCK YELL(ストックエール)」というサービスを提供している。いずれも原則として導入社ごとに専用の法人カードを用意し、法人カード決済により分割4回払いや1回払いをできるようにするという建付けで、広告費や仕入費によるキャッシュフローの圧迫を軽減するというものだ。
10月26日に都内でメディアラウンドテーブルを開催した同社の髙瀬大輔社長は、国内企業の資金調達状況について「調達総額は前年比で減少している」と指摘。そのうえで、具体的な状況について各統計資料などの数値を交えながら「スタートアップやベンチャー企業の資金調達額は伸びている一方で、各社の調達額の差が大きくなっているという状況。レイターステージ(ビジネスモデルが確立され、大規模な資金調達ラウンドやIPOを控えた段階にいる企業のこと)に到達すると、より資金調達環境が厳しくなる傾向にある」(髙瀨社長)と解説した。
7つの一般的資金調達法
そんななか、企業にとって一般的な資金調達の選択肢は…
①金融機関からの融資(銀行融資)
②株式発行による調達(IPO=株式上場を目指す)
⑦そのほか
ーーの7つであると説明(③~⑥については用語解説など参考記事を項目名に付与されたリンク参照)。⑦の「そのほか」については、一例として「RBF(レベニューベースドファイナンス)※」についてふれた。
※編集部注記)RBFとは?=将来の想定売上げから一定の額をロイヤリティとして返済する契約を結び資金を調達する方法のこと。RBFを実現するサービスなどもすでに登場しており、FABRIC TOKYOやD2C企業が活用する事例もある。
ただ上述の①~⑦はいずれも調達できる額の範囲や利用できる企業規模、必要なノウハウ、それぞれ実際の調達までに要する時間など、メリット・デメリットがあり、種々のハードルがあると髙瀨社長は指摘。そのなかで、「D2C企業などに最適な運転資金を圧迫しない新たな選択肢になりえる」方法として同社の提供する「AD YELL」と「STOCK YELL」があると話した。
急成長の幼児向け食ECも導入!課題解決の軌跡
メディアラウンドテーブルでは、実際に「AD YELL」 「STOCK YELL」を活用しているEC事業者もゲストとして登壇。登壇したのは幼児向けの冷凍食品宅配サービス「mogumo(モグモ)」を展開する(株)Oxxx(オックス)の黒瀬優作社長。「モグモ」はわずか2カ月で1万食、1年で25万食を販売した気鋭のEC企業だ。今期の売上高は5億円着地の見込みで会員数は2万人に上るという。Oxxxでは「AD YELL」と「STOCK YELL」のいずれも活用し、仕入れと広告出稿という積極的な先行投資を行っているという。
黒瀬社長は「ありがたいことに急激な伸びを果たせているなかで、キャッシュフローに関する課題は多く出てきた。広告面でいうとさらなる拡大をめざすため、アクセルを踏んで出稿したくても資金調達が間に合わずできないということもあった」と課題を振り返った。
仕入費の部分についても言及した。「原材料自体やOEM製造頂くメーカーさんなど仕入れにあたって支払先はいくつもある。ただパワーバランスや与信の問題で先払いせざるを得ないという状況も起こる。そうするとキャッシュフローは悪化させざるを得ない。」(黒瀬社長)と話した。
Oxxxではそんな課題があるなか、「AD YELL」と「STOCK YELL」を導入しなめらかな資金調達が実現できたという。同社の黒瀬社長は「どちらも大変助かっているが、あえてお話しすると『STOCK YELL』にかなり助けられている。仕入費の調達難が起こると、場合によっては、『買いたい!』と言ってくださるお客さまがいるにも関わらず追いつかないということも起こってしまう。それはなんとしても避けたいところで、それをクリアできるのが『STOCK YELL』」ともした。
急成長などで資金が突発的に入用となることも多いEC業界。“なめらかな資金調達”実現のためにもぜひ本記事を参考にしてもらいたい。
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