老舗通販ブランドのディノスは2017年より、新品家具レンタルサービス「flect(フレクト)」を提供している。なぜ家具通販が人気の同社がレンタルサービスを始めたのか。また、どのような顧客が利用しているのか。本サービスの詳細について、DINOS CORPORATION フレクト事業室 室長 内藤 彩氏に話を聞いた。
DINOS CORPORATION フレクト事業室 室長 内藤 彩氏
「家具選びの失敗をなくす」ためのサービス
――「flect(フレクト)」は、どのようなサービスなのでしょうか?
DINOS CORPORATION 内藤 彩氏(以下、内藤):「flect(フレクト)」は試して買える新しい家具レンタルサービスです。
気になった家具を2年間レンタルいただき、気に入れば、そのまま自分のものにしていただくことができます。もし、試して合わなければ、返却することも可能です。
月額利用料×24回(2年間)という料金になっていますので、初期費用を抑えられ、一括で購入するよりも少しお得になります。
返却いただく際に、家具が経年劣化や汚れなどで傷んでいたとしても、追加で料金はいただきませんので、安心して気兼ねなく家具をご利用いただけます。
また、取り扱う商品はすべて新品となっていて、中古品は一切取り扱っていません。
――どのような経緯で本サービスは生まれたのでしょうか?
内藤:弊社は50年間、家具に愛着を持って、企画販売を行ってきた家具通販会社です。自信を持っておすすめできる家具をセレクトして販売していますので、お客さまには一定数ご満足いただいております。
しかし、一方で「失敗した」というお声をいただくこともありました。
家具は、店舗で実物を見て購入したとしても、家に配置したときにサイズが合っていなかったり、デザインがマッチしていなかったりと選ぶのが難しい商品です。さらに失敗したとしても、簡単に買い替えや廃棄することができません。
そういった失敗を恐れ、欲しい家具があったとしても、なかなか決められず、家具選びが長期化してしまうといったことも珍しくありません。
そういった「家具選びで失敗する人をゼロにする」という弊社の想いから生まれたのが「フレクト」です。
新品しか扱っていないというのは、家具選びの失敗をしないための「お試し期間」をレンタル期間としているためです。
ご自分にとっての「お気に入り家具」になるかをじっくりご自宅で試していただき、気に入ればそのまま所有いただき、万が一合わなければご返却いただけるサービスなのです。もちろんレンタル期間中の買取も可能です。
“安心感”が好評で顧客満足度は90%に
――実際に利用されている顧客からの反響はいかがでしょうか。
内藤:以前、アンケート調査を行ったところ、「フレクト」を利用した方の90%が「ほぼ満足している」とご回答をいただきました。
特に評価いただいているのが、返却できる“安心感”です。例えば、家具選びで失敗したくないと考えていると、どうしても無難なカラーやデザインを選びがちです。
ただ、フレクトの場合は、合わなければ返却できるという前提があるため、普段選ばないようなデザインやカラーなど、少し冒険をした家具選びができます。
お客さまからは「少し冒険して不安だったけど、実際に家に配置したらかなりマッチしていて、今はそのデザインで家具をそろえています」といったうれしいお声もいただいています。
ただし、このような“安心感”は好評な点ではあるのですが、実は、家具の返却率も低いんです。
もちろん、弊社が自信を持っておすすめできる家具だけを取り扱っているという理由はあります。しかし、それだけではなく、安心感を持って購入できることが、お客さまの家具選びの選択肢を広げ、家具選びの難易度を下げ、結果的に家具選びの失敗をなくしていると考えています。
――安心感というのが、家具選びのハードルを下げているのですね。
内藤:そうですね。あとは、料金体系が月額のため、初期費用が抑えられるといった点も家具選びのハードルを下げていると思います。
例えば、引っ越しや新居を構えるタイミングでは、さまざまな費用が必要になるため、家具というのはどうしても後回しにされがちで、妥協もされやすいジャンルです。
しかし、月額料金であれば、初期費用を抑えられるので、欲しかった理想の家具を揃えることができ、さらに、気軽に部屋の模様替えをしてみたいというニーズでもご利用いただいています。
――「フレクト」で人気の家具カテゴリはありますか?
内藤:弊社内では、脚物家具と呼んでいる、ダイニングテーブル、チェア、ソファー、ベッドといったアイテムが人気です。
お引っ越しをされたときに、最低限の生活に必要となる家具ですので、初期費用を抑えるためにレンタルされるケースが多いです。
また、脚物家具は長く肌に触れるものが多いため、実際に試してみたいというニーズが高いというのも、人気の理由だと思います。
老舗の家具通販会社だからこそできるサービス
――取り扱う家具はすべて新品とのことですが、返却された家具はどうなるのでしょうか?
内藤:弊社は「家具を長くご愛用いただきたい」という想いで、事業を行っていますので、中古家具を販売するといったことはありません。
ですので、返却があった場合は提携企業にてリペア、リユースを行っています。
最近では、京王電鉄さま、京王不動産さまと一緒に京王沿線の大学に通う奨学金受給生を応援する社会貢献事業「奨学生応援プロジェクト」を実施し、リユース家具を「奨学家具」といった形で、奨学金受給生へ無償提供しています。
ただ、サステナブルな社会を目指すためにも、返却された家具の2次活用というのはまだまだ広げていける部分だと考えていますので、今後も利用方法を模索していきます。
――本サービスは、貴社だからこそできる部分が大きいのですね。
内藤:はい。そもそも「フレクト」がひとつのビジネスモデルとして実現できるのも、弊社が50年培ってきた家具通販のアセットがあり、それを活用できているからです。
在庫のストックや、商品をお客さまへお届けする物流など、家具通販と同じものを活用することで、会社として大きな投資の必要がなく、その分お客さまへ還元できるのです。
家具レンタルのイメージを変えていきたい
――今後の展望は。
内藤:まだ日本では「家具は買うもの」というイメージが強く、家具購入の際に、レンタルや月額で利用するといった手段を思いつく方は少ないです。
特に、レンタルというとCDやDVDのように同じものを不特定多数の人が借りて返却するものといったイメージも強いです。
ですので、まずは家具購入の際に「家具レンタル」という選択肢があるということ、そして従来のレンタルとは違い、長期間、新品家具をお試しいただけるといった「レンタル」があることをもっと広めていきたいと思います。
アメリカやヨーロッパでは「Rent to own(借りてから買う)」という言葉が広がっており、まさに「フレクト」のようなサービス形態は当たり前になりつつあります。
おそらく日本でも、そういったサービスの流れが広がるタイミングがあると考えていますので、その機会を逃さないようにします。
あとはお客さまのニーズに沿って、サービスの拡張も進めていきます。
今年4月には、法人向けの新サービスとして「flectBiz-フレクトビズ-」を開始しました。
これは「フレクト」の初期費用が抑えられる点が、以前よりスタートアップ企業様にご利用されたり、最近では、宿泊事業者さま、不動産事業者さまに好評でお問い合わせを多くいただき、法人向けサービスをご用意しました。
商品ラインナップや料金体系も個人向けとは異なっており、大量に家具が必要な方にはオススメのサービスです。
ただ、「フレクト」の根本的な部分みたいなものは変わりませんので、初期費用を抑えつつ、理想の環境を整えたい方には、ぜひ一度ご利用いただければと思います。
■「flect(フレクト)」はこちら
https://www.dinos.co.jp/flect/
■「flectBiz-フレクトビズ-」はこちら
https://www.dinos.co.jp/flect/biz_s/
■「奨学生応援プロジェクト」はこちら
https://www.dinos.co.jp/flect_lp/syougakukagu.html
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