2024.07.10 通販支援
失敗しないECサイトリニューアル 必読「UXデザイン」の心得
1.WebデザインとUXデザインの違い
ECサイトの運営をされていて、リニューアルをお考えのお客様から「へ~、システム会社さんが社内でWebデザインまでできるのは珍しいですね」と少なくない頻度で言われますが、「はい、UXデザインをできるシステム会社は、そんなに多くはないかと思います」と必ずお応えすることにしています。
業務に優劣はないですが、WebデザインとUXデザインは意味合い、業務内容、目指すゴール、実施する担当者のスキルはかなり違いがあります。もうひとつ言えば、UIデザインとも違った点があります。
話を分かりやすくするために、Webデザイナー、UIデザイナー、UXデザイナー、という職種に置き換えてその違いを比較してみましょう。転職サイトにこうした職種の違いは数多く記載されていますが、ここではあくまで話をわかりやすくするための、個人が考える定義ですのでご了承ください。
Webデザイナーの業務:
- サイト構造をクライアントの要望や自らの経験、時流から設計
- サイトデザインをクライアントの要望や自らの経験、時流から実施
- コンバージョンが高まるようにデザインを実行
UIデザイナーの業務:
- サイト構造をクライアントの要望や自らの経験、ユーザーニーズ、ユーザビリティー、時流から設計
- サイトデザインをクライアントの要望や自らの経験、時流から実施
- ユーザビリティーやコンバージョンが高まるようにデザインを実行
UXデザイナーの業務:
- ユーザー中心の発想でプロジェクトに取り組む
- 構造を含むデザインを、ブランディングも含むクライアントニーズ、当該サイト以外の購買行動ー=マーケティング要素も含むユーザーニーズ、ユーザビリティー、これらによってもたらされる良好なユーザー体験を創出できるように設計・実施
- ユーザビリティーやコンバージョン、さらに顧客のクライアント企業へのロイヤルティー(信頼、愛着)、LTV(ライフタイムバリュー)が高まるようにブランディングにも留意してデザインを実行
異論は多々あろうかと思いますが、3職種の違いは、どこまでをスコープ、およびゴールにして作業をするか?ということです。
すべての職種において、様々な意味で卓越したデザインをすることに変わりはありません。
しかしながら、UIデザイナーは「ユーザビリティー」をさらなる指標として意識して作業に取り組み、UXデザイナーは「ユーザー中心発想」で「ユーザビリティー」を考慮しながら「ユーザー周辺のマーケティング」や「クライアントのブランディング」まで意識しながら作業に取り組むという部分で、明確な違いがあると言えます。
2.ECサイトリニューアルの実態、システム担当がデザイン兼務?
Webデザインに関して、3つのデザイナーの職種という形にして違いを述べました。通販事業者の皆様にとっては、EC/通販システムのリニューアルの際、同時にECサイトをリニューアルするとしてどのように依頼するのか?どのような会社、人材に依頼すればよいのか?実際発注の段では、小さくはない課題なのでは?
エルテックスにおいても、EC/通販システムリニューアルに関する数多くの提案依頼(RFP=リクエスト・フォー・プロポーザル)では、ほとんどのプロジェクトでECサイトのリニューアルもしたいという要望が入ってきます。しかしながら、その要望に至る課題としては「ECサイトの老朽化が進んで動きが悪い」「更新が効率的にできない」「制約があって自由にデザインできない」というような、UXにはあまり関係のないことが書かれています。
あくまで推測の域を出ませんが、RFP自体が通販事業者の情報システム担当やシステム系のコンサルティング会社が作成していることで、ある意味システムではない領域のUXデザインについてあまり深く書かれない傾向があるのでは、と。システムのご担当がUXの知見がない、と述べているわけではありませんので誤解いただかないようお願いします。EC/通販のご担当者が抱えている構造上の問題、すなわちマルチタスクを実行されているがゆえに、デザインまで手が回らないといった台所事情が大いにある、と考えているのです。
エルテックスで毎年行っている、通販事業者向けの調査では、情報システム、マーケティング、決済・配送などのフルフィルの各担当者を均等に割り付けて、各種質問をすることにしていますが、専門領域のみ担当しているという方は多くない模様です。
例えば、マーケティング担当者であっても約4割はシステム業務を担っていて、その逆としては、システム業務が仕事の中核でも、約3割は広告やデザインもハンドリングしなければならないとの回答を得ています。
エルテックス通販調査2022年より
年商1億円~200億円の通販事業社に属する担当者に対して調査
こうした事情を考慮すると、EC/通販システムのリニューアルに際して、ECサイトリニューアルに関する要望が、直接的なものが多いことがうなずけます。多くの場合、大規模な予算を投下するシステムリニューアルというプロジェクトを進めるうえで、ECサイトのリニューアルに本腰をいれなければならないものの、デザインに関してリソースが割けない、知見を持つ担当者が少ない、またはいない、といった実態が通販事業社には数多いものと考えられます。
3.ユーザー中心発想でUXデザインを進める「エルテックスUXD」
前述の状況はエルテックスへのRFPという狭い範囲のことですので、これが世間一般的に共通かどうかは別途確認しなければなりませんが、2014年からの傾向ですので、おおよその実態は反映しているのかと思います。
そうしたECサイトのデザイン作業に専門リソースが割けない、知見者が少ない、またはいないといったクライアントに対しても、ユーザー中心発想でUXデザインを進めるフレームワークが、エルテックスUXD(User Experience Design)、というサービスです。
個人的な意見にはなりますが、ECサイトのデザインリニューアルは、「UXデザイン」視点で進めるべきである、と強く考えており「エルテックスUXD」の提案書の冒頭には以下のような記載をしています。
ユーザー中心発想に基づくUXデザイン
企業がICTを活用して成功を納めるために、わたしたちが最重要と考えているのが顧客本位の徹底です。
ICTを活用するのは、「個人」です~B2Bサイトでも同様。
その個人=ユーザーが、パソコンやタブレット、スマートフォンといったデバイスに接するときには、ユーザーが自分の経験と勘を用い、直感的に利用するという特徴があります。
そのため、システムの導入や活用には「どのようなユーザーが、どのようなニーズで、どのような状況なのか」の発見が必要です。
わたしたちは、ユーザーの置かれている状況をまず俯瞰的に見極めたうえで、最適なソリューションを設計・実施してゆく手法で、お客様の様々な課題を解決することで、ビジネス・利益を拡大するお手伝いをいたします。
このような思想から、徹底的にユーザー中心でECサイトのデザインを考えてゆくわけですが、エルテックスにご依頼のある通販事業社は、EC以外にテレビや新聞、雑誌、カタログといった様々な通販チャネルを保有して事業を展開していますので、ネットショッピング以外の購買行動も考慮しながら、ECサイトの役割や提供するデザインやUI、それらが創出するUXまで含めてマルチにデザインしてゆく必要もあります。
さらに私たちは、システムの世界にこそ「ブランディング」が重要と考えています。企業の事業ドメインやサービス内容が同じでも、たとえばそこに「ブランド」という概念があると、提供する価値は全く異なってきます。
システムの世界にこそ「ブランディング」が重要
お気に入りのレストランやカフェでも、あそこに行くと「ほっこりする」こちらは「きりっとひきしまる」というように、単に食べる、飲むといったこと(機能価値)以外に受ける印象=ユーザー体験が異なることがあると思います。それは、そこにある情緒価値の違いとわたしたちは考えています。
ECサイトも同様で、販売している商品が同じ機能、例えば血圧が高い方向けの飲料を販売していても、「顧客に寄り添って応援する企業姿勢」と、「科学的な実証結果を背景に高い信頼性をUSPにしている」では、根本にあるブランドの思想が異なっているので、デザイン表現も変化します。
実際、クライアントのブランドシステム(BI=ブランド・アイデンティティー)もスクラッチで構築したこともあります。
以上のように、エルテックスでは、Webデザインにとどまらず、「UXデザイン」まで拡張して業務を展開しています。
対応するのは、社内のUXデザイナーで、大学でデザインを学んだ後に新卒で入社。新卒の研修は半年間にも及ぶ長丁場で、HTMLやCSSといったデザインに関連した研修もあるものの、大半の時間は「システムエンジニア向けの特訓」を経てデザインチームに配属されます。システムのこともエルテックスDCのことも熟知していますので、システムで提供する機能も充分把握の上デザインしますので、より使いやすいECサイトになる確率が高いのではないかと考えています。
4. 通販事業社役員も満足するECサイトリニューアルができる理由
プロジェクト当初では、疑心暗鬼で「システム会社にUXデザインなんてできるのだろうか?」と思われて、1歩引いているクライアントも、プロジェクト中盤ではいろいろなご要望などが出てくることも多く、より合意形成度の高いUXデザインになってゆきます。
通販システムリニューアルに伴うECサイトのデザイン再構築ですので、LP(ランディングページ)制作のように「コンバージョン命」というより、お使いになるエンドユーザーのニーズや気持ちに寄り添いつつ、クライアントのブランディングも考えながらのデザイン作業ですので、ECサイトごとの個性、すなわちブランディングも体現できているのでは?とも思っています。ECサイトの全体的なUXデザインのリニューアルにあわせ、商品詳細ページや商品に関連したコラム、FAQやお買い物ガイドといったページデザインもご要望に応じて対応しますので、システムリニューアルと同時に一気通貫でECサイトまでリニューアルしますので効率的にプロジェクトが進められるという実利もあるはずです。
クライアントにとっては、窓口がひとつですべてが完結しますので、「コミュニケーションミスも少なく効率的にプロジェクトを進めることができた」とご評価いただき、「いいデザインのECサイトができてよかったです。先日、通販事業担当ではない取締役からもサイトデザインをほめてもらいました」など、と感謝されることが少なくありません。
2024.4月時点でのエルテックスDC導入企業(事例紹介への承諾企業のみ掲載)
クライアントの役員からお褒めをいただけた、という結果の理由のひとつとしては、
「Webデザイン」ではなく「UXデザイン」アプローチをしていることで、クライアントのニーズ、クライアントの先のエンドユーザーも充分理解したうえでデザインを進めているから
ではないかと考えています。
つまり、以下のことがここ十余年の経験から言うことができます。
ひとりよがりや的外れのECデザインになることの確率は低くなるのがUXデザインアプローチ
だから、ECや通販の事業部の直接的なご担当者だけではなく、それ以外の部署の方、取締役といった役職の高い方が新たなECサイトを見たときも違和感なく、すんなりと受け入れることができている、という仮説です。
ECサイトのリニューアルをお考えの際は、UXデザインに留意して発注先を選定されることをおすすめします。
(株式会社エルテックス 企画室室長 六角 健二)
導入した事業者の感想はこちらから
>エルテックスDCの導入事例 https://dc.eltex.co.jp/case_study/
>ECサイトのリニューアルに関するサービス「エルテックスUXD」の詳細はこちら https://dc.eltex.co.jp/products/services/#eltexuxd
>EC・通販統合システム「エルテックスDC」の詳細はこちら https://dc.eltex.co.jp/
>エルテックスのセミナー情報(終了している場合がありますので、ご了承ください)https://www.eltex.co.jp/news/news_detail/222
【株式会社エルテックスのご紹介】
株式会社エルテックスは、楽天市場がスタート(1997年)したEC黎明期から、ECソリューションビジネスを開始しており、2010年頃には国内でも、先駆的な「ECと通販システムを統合したパッケージ(製品名:クロススピークス)」を市場にリリース。四半世紀以上を、EC事業、通販事業、そしてその双方を展開する事業者にソリューションサービスを提供してきています。
EC/通販統合パッケージクロススピークスの進化版「エルテックスDC」の発売は2014年。
発売を機に、お客様からシステムリニューアルと同時にECサイトのリニューアルもお願いしたい、というニーズが高まり、同年にUXデザインのサービスを開始しました。当時は「エルテックスUXLab」今現在は「エルテックスUXD(User Experience Design)」というサービス名で、ECサイトの、構造設計(IA=インフォメーション・アーキテクチャー)、デザイン、コーディング、時にはブランディング構築まで請け負っています。
株式会社エルテックス https://www.eltex.co.jp/
筆者紹介
株式会社エルテックス 企画室室長 六角 健二
ソニー系広告会社で、企画広告営業、マーコムプラニング、サイト設計・制作など多種業務を担当。
2000年に米国大手インターネットコンサルティング会社レーザーフィッシュとのジョイントベンチャー、株式会社フロンテッジ・レーザーフィッシュの立ち上げメンバー、取締役として大手企業のインターネット活用コンサルティングに従事。
2013年にエルテックスに入社しエルテックスDCのUI設計のための調査、設計を実施。ECサイトのデザインリニューアルも多数手がけている。
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。
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