ナイトブラ「VIAGE」や「LUNA」などバストケアを中心とした女性向け通販事業を展開する(株)HRCが急成長している。2023年9月期の売り上げは約100億円と数年間で倍増を果たした。そんな同社の成長を支えるパートナーが通販企業を成果保証でコンサルティングする(株)ダイレクトマーケティングゼロ(以下、DM0)だ。定期率の倍増や、クロスセル率15%達成などを果たした。急成長の過程についてHRCのプロモーション課の奥西亮介氏と林卓勲氏、CRM課の鹿目こころ氏とDM0の田村雅樹社長に話を聞いた。
写真左からHRCプロモーション課・奥西亮介氏、DM0田村雅樹社長、HRC CRM課・鹿目こころ氏、HRC プロモーション課・林卓勲氏
各指標の数値の出し方からレクチャー→現在はハイスピード自走型に
ーー取り組み開始の経緯を教えてください。
DM0田村雅樹社長(以下、田村):2020年の春に丹野さん(注:ネクステージグループホールディングスの丹野直人社長)から連絡を頂いたのが最初のきっかけでした。「まーくん、グループ企業のHRCをちょっと見てほしい」って(笑)。
HRC奥西亮介氏(以下、奥西):最初はCRM領域を中心に見ていただきました。自社でLINEやメルマガ、DM等のCRMの施策は動かしてはいたんですが、戦略性に欠けるというか、数値の深掘りができていない状況でした。たとえば、リピート期間の長いアパレルで、LTVをどうやって把握していくか、といったところがそもそもうまく構築できていませんでした。まずはこのあたりを整理して、「目指していくべき方向性」を示して頂いたのが始まりだと思います。
田村:事業構造上のボトルネックは明らかで、新規は上手く獲得できているにもかかわらずとにかくF2転換率が低い、というのが最初の印象でしたね。また数値の出し方が粗いなと思ったのも覚えています(笑)当社では、月次顧客動向マップ、LTVマップ等、課題を整理し、KPIの変化をウォッチするためのフォーマットやフレームワークを何十種類も持っているのですが、それらを共有して、事業戦略を練りやすくするための、数値の出し方のレクチャーから始まりました。主力商材であるナイトブラはアパレルのため、そもそもリピートが難しい商材であると思います。とはいえ、リピートしてくださっているお客さまは一定数いるので、日別転換率分析のフレームワークを用いて、「どんなタイミングでリピートしてくださっているか」「どんな商品を買ってくださっているか」といった基本的なところをしっかり整理して打ち手を考えていきましたね。
奥西:最初から衝撃的でした。田村さんのおっしゃる通りで、入っていただいた初期はデータの出し方も覚束ないような状態で、細かい部分の数値を見るということができていませんでした。特定の部分の結果を評価することしかしておらず、掘り下げた分析をするという考え方がなかったのですよね。やり方を教えていただきながら、あれよあれよという間に今まで出してこなかったような数値がどんどん出てきて衝撃的でした。その細かい部分の数値をもとにCVR改善に向けた課題ポイントの発見に繋がっていくのは正に目からウロコでした。抽出した数値から仮説を立て、改善策を用意しどう立証していくか、というのが考えられるようになったのは大きな変化でした。
田村:本当に大きく変わりましたよね。今では自走している状態で、最初とのギャップが凄いです(笑)。今のHRCさんの印象はとにかく実行スピードがピカイチで早いです。仮説設計してからテストに取り掛かるまでのスピードがとんでもなく早いと思います。
HRC一同:ありがとうございます!
転換時定期率は1000%UP、クロス率750%UP、ボット導入などのEFOでCVRも130%UP
ーー実際に手掛けた具体的な施策について教えてください。
田村:先ほども言った通り、まずはF2転換率、転換者LTVの改善をしたのですが、特に定期率の向上が目覚ましかったですね。「アパレルで定期なんて」とみんな半信半疑でしたが、定期者のLTVがずば抜けて高かったんです。「じゃあ、やろうぜ!」って(笑) 誰もが怖気づいて二の足を踏むような、難攻不落の山を落としてこそ、どんな快楽も及ばないエクスタシーとスリルが味わえますからね。もちろん、トライ&エラーは重ねましたが。
HRC林氏(以下、林):商材特性もあって、いきなり定期のオファーは難しいという考え方で凝り固まってしまってたのですよね。リピートの多いお客さまにだけご案内していたのが懐かしいです。とはいえ、クリエイティブも難しく、DM0さんに何度も何度もアドバイスをいただきながら、チューニングしていき、既存の定期率が倍増しました。今では新規獲得時から定期アップセルも用意し、10倍以上の定期率まで伸ばすことに成功しました。
田村:また、サンクスクロスの導入も着手しました。アップセルも考えたのですが、当時はシステム面に課題が多くナイトブラの購入枚数を細かく変えられないなど制約があったのですよね。そんな中で、システムの制約を受けずに済むサンクス画面でのクロスセル手を付けました。
HRC鹿目(以下、鹿目):サンクスクロスの取り組みは、当初はLTVが高い傾向にあったバストケアクリームをサンクスクロスの商品としてあててみました。ただ、あまり成果には繋がらずクロスセル率としては2%程度と振るいませんでした。そこから様々なトライをして現在はクロスセル率を15%まで引き上げることができました。DM0さんのクリエイティブ力にはいつも驚かされます。ルーレットやギフトボックス等のダイナミックな提案はもちろん、本当に細かい注釈やボックスのサイズまで、お客さま目線で指摘していただいて、「言われてみれば確かに!」と毎回目から鱗です。
田村:変わったところでは、郵送DMの発送セグメントとか、コスト面での改善など提案させていただきましたね。
林:はい。当時の郵送DM施策としてはとにかく決まったルールで送る、という形でやっていました。DM0さんは、効率とLTVから逆算したROIを最大化させるセグメントを決めていただき、それと同時に1通あたりのコスト削減、頻度の最適化などDM施策の全体をまったく新しいものに変えていただきました。成果として億を超えるコストダウンにつながり収益性が高まりました。
田村:定期引き上げ施策の中でチャットボットの導入も一緒に手掛けましたね。
林:はい。それまで当社ではチャットボットは導入していませんでしたので、一緒に入れていただいたような形でしたね。チャットボットのシナリオ作りまでアドバイスに入っていただきました。チャットボットにおける各数値の改善など、全体的な部分から細かいところまで見てくださいました。
奥西:チャットボットの導入は本当に大きかったですね。ただ、DM0さんは
ツールをただ導入するだけでなく、ボット内離脱率を常に見ながら、表現の改善をしてくれますし、時には、離脱原因をバナーや記事までさかのぼって指摘いただくなど、本当に視野とカバー範囲が広いなって感じます。CVRが130%以上は上がったのも、ボット単体っていうよりは、新規の導線すべてをシームレスに繋げたからだと思います。
鹿目:チャットボットでは、アップセルのクリエイティブの見せ方の部分もたくさんアドバイスをいただきました。定期のオファーを「自動配送」への切り替えはいかがですか、という内容で配送プランを選択していただくというような見せ方に替えていきましたね。
田村:「自動配送プラン」は個人的に好きな表現です。もちろん定期購入のコースであることは丁寧に説明しているんですが、「配送プランを選んでもらう」という見せ方がお客さまの側にたってみるとナチュラルな感じがするんですよね。自動配送か都度注文かというような見せ方をしている会社さんはなかったんじゃないかと思います。こうしたオリジナリティが出せるのもHRCさんの施行回数とスピードがあるからこそだなと思います。
HRC一同:ありがとうございます!
田村:みなさんが生き生き仕事をできている背景には、やはり中沢さん(注:中沢宏社長)の存在が大きいですよね。中沢さんは定例の場でも、一歩引いた立ち位置にいながらも、常にポジティブで、現場の意見を尊重してくれるのがものすごい頼りになります。「とりあえずやってみましょう」って言ってくれるので、こちらとしてもやりがいがあるといいますか。
奥西・林・鹿目:間違いないですね。
田村:もちろん僕も神様ではないので、全てがうまくいくわけではないですが、結果が出なかったとき「じゃあどうするか」という風にポジティブに一緒に考えていけていますし、おかげでメンバーのみなさんが前向きですし楽しいです。
またEC・通販会社あるあるとして、プロモーション・CRM・ブランドで部署が分かれていたりするとそれぞれの立場があるのでうまく連携できないみたいなこともあったりするのですよね。HRCさんは新規もCRMもブランドも、みなさんがちゃんとお互いを理解しあって物事を進めるので非常にやりやすいですね。
遠慮や忖度はなし…DM0「一緒に戦っている感覚」
ーー取り組みの中で印象的なエピソードなどはありますか。
林:いくつかありますが、一つは大胆に取り組むことを後押ししてくださるのが心強いですね。
田村:全てがうまくいくとは思っていないですからね。時には思い切った方向に向かうことも必要だと思ってアドバイスさせていただくこともありますね。
林:また、ダメなものはダメ、とはっきりおっしゃっていただけるのも心強いですね。ニュアンスとして「否定する」ということでは決してなくて我々が判断に困っているようなときにはっきりとストップをかけてくれるといいますか。
奥西:どうしてもコンサルタントさんの立場ですと、我々にとって聞こえのいいことを言いがちになってしまう側面があると思うのですがDM0さんはそういった部分が全くないですね。
田村:変な遠慮や忖度はしないようにしていますね。一緒に戦ってるという感覚なので変に気を遣う意味はないかなと思いますしね。ただ時に毒舌になってしまっているかもしれないですね(苦笑)
林:そんなことないです。いつも助かっています。あとは計算が異常に早いのでいつも驚かされています(笑)
田村:ありがとうございます(笑)。レポート自体が仕事になってしまったり、数値検証に時間かかりすぎるというのは本質的じゃないと思うのですよね。今ある数値をなんとか組み合わせて大体のところを把握することは案外できるものです。必要な数値がないときは、ないなりに仮説をあてこんで進めてみるというのは現場感として大事だと思います。検証に時間がかかりすぎるくらいだったら、とにかくアクションした方が答えが出るんじゃないかと思うのですよね。
林:数値を眺めながらホワイトボードでサクサク試算を進めていかれるのでいつも驚かされています。
田村:あとはHRCさんはチャットでの質問が多いのが嬉しいですね。チャットだと説明しにくいような難しい質問なんかも飛び交ったりするので大変な時も正直ありますが(苦笑)ただ、そうやって聞いてきてくれるのは楽しいですし、「こういう部分に結構悩むのか」といった点でこちらとしても気付きがあったりするのでありがたい限りです。
新ブランド・新商品拡充にも意欲…売上高200億円へ
ーー今後の展望はいかがですか。
林:当社の現在の年間の売り上げ規模は約100億円なのですが、会社として20期目までに売上高200億円達成を目指しています。「VIAGE」や「LUNA」といった既存ブランドのさらなる成長はもちろんですが、新しいブランドの投下や商品拡充も積極的に行っていく予定です。現在はナイトブラが主力ですが、デイリーブラも投入し大手の下着メーカーと並ぶくらいに成長していきたいと考えています。引き続きDM0さんのお力をお借りしながら売り上げ200億円達成を目指していきたいです。
田村:ありがとうございます!ツールとかシステムとかに関しても、HRCさんは新しいものやことに積極的に取り組まれるので本当に一緒に仕事をしていてワクワクして楽しいです。取り組みがスタートした頃の年商規模は50億円ほどだったと思うのですがそれも100億円近くまで伸ばせてますし、そのさらに倍を目指すということなのでさらに楽しみですね。
ナイトブラだけでなくデイリーブラも仕掛けていくということなので、ぜひ大手下着メーカーと並ぶくらいまで一緒に成長していきましょう!
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