Amazonで商品を販売する際、適切なキーワード戦略は売上に大きな影響を与えます。しかし、「どんなキーワードを選べばいいのか分からない」「キーワードを設定しても成果が出ない」という声をよく耳にします。本記事では、Amazonでの効果的なキーワード戦略について、基礎から実践まで、具体例を交えながら解説します。特に初めてAmazonで販売を始める方や、現在の売上に課題を感じている方に役立つ内容となっています。
Amazonキーワード戦略の基本を押さえよう
Amazonでの商品販売において、キーワード戦略はAmazon SEO(検索エンジン最適化)の要となります。Amazon SEOとは、商品がAmazonの検索結果で上位に表示されるよう最適化することです。適切なキーワード戦略を実施することで、商品へのアクセス数増加、購入率の向上、さらにはブランド認知度の向上といった効果が期待できます。
では、具体的にどのようなキーワードを選べばよいのでしょうか。Amazon上での検索キーワードは、以下の3つに大きく分類されます。
- 主要(メイン)キーワード: 商品のカテゴリを表す基本的なキーワードです。例えば「コーヒーメーカー」「ノートパソコン」「ワンピース」などが該当します。検索数は多いものの、競合も多く上位表示が難しい傾向にあります。
- ロングテールキーワード: より具体的な特徴や機能を含むキーワードです。「全自動コーヒーメーカー おしゃれ」「軽量 ノートパソコン 13インチ」といった組み合わせが該当します。検索数は主要キーワードより少なめですが、購入意欲の高いユーザーにアプローチできます。
- ニッチキーワード :特定の用途や状況に特化したキーワードです。例えば「コーヒーメーカー アウトドア用」(キャンプや屋外使用向け)や「マタニティ ワンピース フォーマル」(妊婦向けの礼服用)など、より具体的な使用シーンや用途を示すキーワードが該当します。検索数は少ないものの、競合が少なく差別化を図りやすいメリットがあります。
初めてキーワード戦略に取り組む場合は、まずこれら3つの種類を意識しながら、自社商品に関連するキーワードをリストアップすることをお勧めします。その際、Amazonの検索窓に表示される検索候補(サジェストキーワード)や、競合商品で使用されているキーワードを参考にすると効率的です。
商品ページにキーワードを効果的に配置する
商品ページでのキーワード活用は、大きく3つのポイントがあります。「商品名」「商品説明の箇条書き(商品仕様)」「検索キーワード(セラーセントラルの商品登録時に設定する検索用の追加キーワード)」です。それぞれの特徴を押さえながら、効果的な配置方法を見ていきましょう。
(出典:コカ・コーラ 綾鷹 525mlPET×24本|Amazon.co.jp)
まず商品名では、以下のような構成がお勧めです: [ブランド名] [商品名] [特徴1] [特徴2] [特徴3]
例えば「パナソニック 全自動コーヒーメーカー ミル付き ステンレス製 保温機能付き」のように、商品の主要な特徴をブランド名や商品名の後に続けて記載します。この際、先ほど説明した3種類のキーワードを組み合わせることで、より多くの検索クエリ(お客様が実際にAmazonの検索窓に入力する検索語句)にヒットしやすくなります。
次に商品説明の箇条書き(商品仕様)では、自然な文章の中にキーワードを織り込んでいきます。見出しや箇条書きを活用し、ユーザーが読みやすい形で情報を提供することが重要です。ただし、キーワードの詰め込みすぎは逆効果となる場合があるため、適度な配置を心がけましょう。
最後に検索キーワードですが、これは商品ページには表示されないものの、Amazonの検索アルゴリズムに認識されるキーワードです。セラーセントラルの商品登録画面で設定できます。ここでは商品名や商品説明の箇条書きに含めきれなかったキーワードを補完的に登録します。
重要なポイントは、これら3つの要素で一貫性のあるキーワード戦略を展開することです。例えば、商品名に「軽量」というキーワードを含める場合、商品説明の箇条書きでも具体的な重量情報を記載し、検索キーワードにも関連するワードを設定するといった具合です。
また、商品の特徴や強みを適切に表現できているか、競合商品との差別化ポイントが明確か、といった点も随時チェックしながら調整を行うことをお勧めします。
プラズマクラスター空気清浄機に見るキーワード戦略の事例分析
(出典:シャープ 空気清浄機 FU-R50-W|Amazon.co.jp)
ここでは、シャープのプラズマクラスター空気清浄機における「花粉症対策」に着目したキーワード戦略について分析してみましょう。この事例から、効果的なキーワード戦略のポイントが見えてきます。
シャープは当初、Amazonでの空気清浄機販売において、「花粉症対策機能のアピール強化」と「花粉症関連キーワードでの検索順位向上」という課題があったと考えられます。これに対し、以下のような施策を実施していたようです。
1. 商品名の工夫 「シャープ 空気清浄機 FU-R50-W プラズマクラスター7000搭載 14畳 リビング 寝室 花粉 スピード循環気流」という商品名から、花粉症対策に関連するキーワードを意識的に組み込んでいたことが推察されます。
2. 商品説明の箇条書き(商品仕様)の充実化 プラズマクラスター技術による花粉除去の仕組みについて、図解やデータを用いた説明を展開。また、実際の使用者からのレビューも活用することで、製品の信頼性向上を図っていたと考えられます。
3. 検索キーワードの活用 「花粉対策」「花粉症予防」「花粉除去」など、花粉症に関連する幅広いキーワードを設定していたことがうかがえます。検索されやすい関連ワードを網羅的にカバーする戦略だったと推測されます。
このような施策により、花粉症関連キーワードでの検索順位向上や商品ページへのアクセス数増加につながった可能性が高いと考えられます。
この事例分析から見えてくる重要なポイントは、「ターゲットを明確に絞り込む」「具体的なユーザーニーズに応える情報提供」「関連キーワードの網羅的な活用」の3点です。これらの要素を自社商品のキーワード戦略に取り入れることで、より効果的な販売促進につながる可能性があります。
キーワード戦略を実践するための具体的ステップ
これまでの内容を踏まえ、実際にキーワード戦略を実践するための具体的なステップを解説します。以下の手順に従うことで、効果的なキーワード戦略を展開することができます。
Step1:キーワードの洗い出し
まずは自社商品に関連するキーワードを幅広く収集します。具体的な方法として:
・Amazonの検索窓に商品名を入力し、表示される検索候補(よく検索されているキーワード)をリストアップ
・競合商品の商品名や商品説明で使用されているキーワードをチェック ・カテゴリページで使用されている関連キーワードを確認
これらの方法で集めたキーワードを、先述の「主要キーワード」「ロングテールキーワード」「ニッチキーワード」に分類していきます。
Step2:キーワードの配置
収集したキーワードを、効果的に配置していきます。
・商品名:最も重要な2~3個のキーワードを含める
・商品説明の箇条書き(商品仕様):自然な文章の中に関連キーワードを織り込む
・検索キーワード:補完的なキーワードを設定
この際、無理にキーワードを詰め込まず、ユーザーにとって読みやすい自然な形での配置を心がけます。
Step3:効果測定と改善
設定したキーワードの効果を定期的に確認し、必要に応じて調整を行います。具体的なチェックポイントは:
・セッション数(商品ページの閲覧回数)
・コンバージョン率(購入率)
・検索順位の変動
・売上の推移
これらの指標を最低でも月1回は確認し、効果の低いキーワードの見直しや、新しいキーワードの追加を検討します。
また、季節性のある商品の場合は、シーズンに合わせたキーワードの追加も重要です。例えば、冬物衣類であれば「防寒」「あったか」といったキーワードを適宜追加するといった具合です。
まとめ
本記事では、Amazonでの効果的なキーワード戦略について、基礎から実践までを解説してきました。
成功のカギは、主要・ロングテール・ニッチの3つのキーワードタイプを理解し、商品名、商品説明の箇条書き(商品仕様)、検索キーワードに適切に配置すること。
さらに、定期的な効果測定と改善を行うことで、より効果的な戦略へと発展させることができます。すぐにでも実践可能なこれらの施策を、ぜひ自社の商品販売に活用してみてください。
プロフィール情報
つきみ株式会社 代表取締役 山本 達巳
静岡市出身、関西学院大学卒。留学がきっかけで輸入品雑貨のネット販売事業を開始。令和元年に独立し、複数の海外メーカー取引きの経験を経て、自社アウトドアブランドを展開。
その後、自社ブランドを拡大させたい事業者を応援したいという思いから、令和6年につきみ株式会社を設立。商品ページ最適化や広告運用、SNSなどECに関係する領域を幅広く対応しつつ、商品ブランディング支援を行っている。これまで30社以上のEC支援を行う。
つきみ株式会社 https://tsukimi.ne.jp/
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