楽天(株)と楽天コミュニケーションズ(株)は11日、アジア地域向けのAPIマーケットプレイス「Rakuten Rapid API」の提供を開始した。APIを8000以上ラインナップし、API開発者とAPI利用者の利便性向上を図る。米国でAPIマーケットプレイス「Rapid API」を提供する米国のR Software(本社カリフォルニア州)との独占的戦略パートナー契約を締結することによって実現した。
日本語版と英語版サイトが公開、8000以上のラインナップでスタート
「Rakuten Rapid API」とは、8000以上のAPIをラインアップし、50万人以上の開発者が利用している「Rapid API」の日本語版とも呼べるもの。言わば開発者向けに用意されたAPIのECモール=楽天市場とも言える。楽天と楽天コミュニケーションズ(株)は、「Rapid API」の日本語化と、日本で開発されたAPIの掲載・海外進出を後押しする。楽天が開発した450に上るAPIも順次、公開・販売を行うとしている。11日には日本語版と英語版のサイトを公開し、まずは日本と英語圏のアジア地域向けにサービス提供を開始した。すでにサイト上に掲載されている通販関連のAPI としては、EbayやshopifyのAPIなどがある。
「Rakuten Rapid API」へのAPI掲載は無料。掲載されているAPIの利用料金はAPIごとに異なる。楽天は、利用料の中から手数料を徴収する。APIを利用したいユーザーは、「Rakuten Rapid API」上でシステム開発に役立つAPIを簡単に探せるようになる。サイトの管理画面上で利用料金など利用するAPIに関する情報を一元管理できる。
APIの提供者は、売上や利用ユーザー数などをサイトの管理画面で一元管理できるようになる。利用ユーザーと提供者はそれぞれが抱える手間や課題の解決に役立つ。
R Softwareが楽天と独占的戦略パートナー契約を締結することなった経緯について、創業者兼最高責任者のイド・ジノ氏は同日開催された記者会見で「アジア地域はRapid APIの地域別利用シェアの28%を占めている。ただ、言語面などにおけるサポートに不足があった。日本企業である楽天とパートナーシップを結ぶことによって、アジア地域でのAPIマーケットプレイスの利用拡大を強く後押しできると判断した」と話した。
行政との連携で新しいAPIエコノミーの創出も
事業目標としては、 日本を含むアジアで2022年までに「Rakuten Rapid API」によって、新規のアプリ開発者70万人以上の利用を目指すという。楽天の副社長で楽天コミュニケーションズの会長兼社長でもある平井康文氏は「Rakuten Rapid APIは開発者のグローバルなコミュニティーになる。APIエコノミーの拡大を後押ししていきたい」と意気込んだ。また将来的な構想として「民間企業間だけでなく、行政分野におけるAPI連携もカバーすれば、行政との連携によって新しいAPIエコノミーも創出できるはず」とも話した。楽天コミュニケーションズのAPI Marketplaceビジネス部のJed Ng部長は「将来的にはあらゆるAPIがラインナップされているマーケットプレイスにしたい」とした。
記者発表会では「Rakuten Rapid API」の協力会社も登壇し、挨拶した。日本マイクロソフト(株)執行役員最高技術責任者で、マイクロソフトディベロップメント(株)の榊原彰社長は「開発者は自分たちのクリエイティビティーに時間を割けるようになる」とAPIマーケットプレイスのメリットを語った。
日本アイ・ビー・エム(株)執行役員ワトソン&クラウドプラットフォーム事業部長 吉崎敏文氏は「楽天とはAIプラットフォームに関する共同発表などもしている。これから多くの開発者にとって使いやすいプラットフォームにしていければ」などと激励している。
◾「Rakuten Rapid API」
この続きは、通販通信ECMO会員の方のみお読みいただけます。(登録無料)
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。