楽天(株)が11日発表した2020年12月期第2四半期(1~6月)連結決算は、売上高にあたる売上収益が前年同期比15.7%増の6787億6800万円、営業損益が207億2100万円(前年同期は1118億9500万円の営業利益)、純損益が274億8500万円(前年同期は1002億4900万円の純利益)となった。
ショッピングECが48%増、国内流通総額は15%増
売上収益は中間決算として過去最高となった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う巣ごもり消費や、3月に導入した一定額以上の買い物をした際の送料を無料にするなどの取組を背景に、「楽天市場」や「楽天ブックス」などショッピングECの取扱高が前年同期比48.1%増となった。また、出店者の取扱高の合計となる国内流通総額は、同15.2%増の1兆300億円となった。
ショッピングECの新規購入者数は前年同期比63.1%増、復活購入者数は80.9%増と好調だった。また、取扱高のシェアが急拡大した「楽天カード」など、金融事業の売上高も19.5%増。送料無料ラインの導入店舗の流通総額伸長率は導入時より堅調に拡大している。楽天スーパーロジスティクスの利用店舗の取扱高も高成長。同35.9ポイントの売上成長率となった。
楽天モバイル、料金の分かりやすさがユーザーに好評
一方、利益面では赤字を計上。中間決算では11年以来、9年ぶりの赤字となった。4月から本格的に開始した携帯電話事業や物流への投資がかさんだことが大きい。契約申し込み数は6月に100万件を超えたが、通信基地局建設などの費用が膨らんだ。さらに、コロナ禍の影響で「楽天トラベル」やプロスポーツサービス事業が落ち込んだ。
楽天モバイルの通信基地局建設に関しては「前倒し」を表明。6月時点での電波発射済基地局数は5739局で、契約締結済基地局7487局と合わせると1万3000局を超えており、21年3月までに人口カバー率70%を達成するとした。
7月から新CMをスタートしているが、顧客満足度調査では「料金プランの分かりやすさ」(91.8%)、「コストパフォーマンス」(89.2%)などと好評で、総合満足度は80.0%に上っているとしている。
今秋に5Gサービスを商用化
また、当初は6月を予定し、延期していた5Gについては、この秋の商用サービスを公表。ソフトウェア・アップグレードとアンテナの装着による効率的な5G展開をめざす。
セグメント別では、インターネットサービスの売上収益は3928万2600万円(前年同期比9.4%増)、セグメント損失は89億7300万円(前年同期は1088億6700万円の利益)。主力サービスの国内ECの売上高は同14.0%増の1331億7000万円、営業利益は同9.1%減の110億300万円となった。楽天市場モバイル流通総額比率は同2.3ポイント増の76.4%、また、楽天市場流通総額での楽天カード決済比率は、4月以降の急増で63.4%となった。
フィンテックも売上21%増と好調
海外インターネットサービスには、国内と同様に旅行予約サービスや小売業の取扱高減少の影響を受けたが、デジタルコンテンツサービスなどの取扱高が伸長した。
フィンテックの売上収益は2817億6100万円(前年同期比21.2%増)、セグメント利益は410億8200万円(同19.5%増)。「楽天カード」は、コロナ禍の影響を受けながらも、6月に会員数が2000万人を突破するなど、会員基盤の拡大が続いており、ショッピング取扱高やリボ残高の伸びが売上収益と利益増に貢献した。また、「楽天銀行」は、6月に口座数が900万口座を突破するなど、会員基盤の拡大に伴い預金残高が伸長している。
モバイルの売上収益は828億8300万円(前年同期比57.9%増)、セグメント損失は 824億2000万円(前年同期は189億2500万円の損失)となった。
世界初となるエンドツーエンドの完全仮想化クラウドネイティブネットワークを提供する携帯キャリア事業として、本格的なサービスを開始して以降、楽天エコシステム内外からの顧客獲得施策に注力している。基地局の開設などを加速し、自社回線によるサービス提供エリアの拡大を進めるとともに、ネットワークの品質向上などに努めている。
この続きは、通販通信ECMO会員の方のみお読みいただけます。(登録無料)
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。