第1章 実店舗→ECへの転換は、ギフトでも始まっている
皆さんもご存知の通り、今年はコロナ禍からの巣ごもり需要が突然起き、EC・ネット通販ではこれまで懸命に通販に取り組まれてきた企業・ネットショップは恩恵を大きく受けました。
一方で、実店舗は来客がインバウンド需要も含め激減しました。特に観光地は惨憺たる状況に陥ってしまい、観光客を対象に商売をしていた土産店、宿泊施設、交通機関、周辺飲食店など、コロナ禍が長く続けば続く今もGoToキャンペーンやGoToイートが始まったとは言え、まだまだ外出しない人もかなりの数でいますので、元どおりになるには程遠い状況であることは、私が語らずとも皆さん共通の認識かと思います。
当社のクライアントの多くは、地方の観光地にある製造メーカーさんが多く、実店舗を運営しなら、自社通販(サイト・DM)、モール出店(楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング)も同時にされている、いわゆるメーカー通販をされています。
ある食品メーカーの当社クライアントは、東京方面からの観光客が多く手みやげを含む大半がギフト商品を扱っているのですがこの夏のギフトは、実店舗は昨対20%、通販では巣ごもり対策商材の投入も功を奏し、昨対180%となり、会社全体でこの夏、何とか昨対100%をクリアすることができました。
今夏に関してはお中元など贈る状況ではない、また実店舗でいつもお中元を買われる地元の年配の方は店舗に来られず、ネットを利用しない客層なので相当苦しくなると予測していましたが、その心配は 杞憂に終わり、高齢の顧客のネット注文へのシフトが3割もあったのです。
先日、関西の阪急阪神グループが、お中元商戦の前年比の結果を速報で発表しましたが、中元全体は前年比102%となり、内訳は店頭が同 90%・ECは同129%となりました。顧客属性が圧倒的に年配者であるにも関わらず、ECが見事に補完し、全体で前年比を超えたのです。
第2章 ギフトに強く、高齢者利用の高い百貨店でもECシフト
高齢者のギフト利用が多い都市部の百貨店でも、阪急阪神と同様の状況となっているようです。10月28日の日経MJにはこんな見出しが踊りました。
「お歳暮商戦もネットシフト」「三越伊勢丹、ライブコマース開催」
今なお百貨店の大きなイベントであるお中元・お歳暮商戦。毎年少しずつイベント売上は落ちているとは言え、夏冬合わせて年間需要が約 8000億円もある、ギフトイベントでは最大規模です。
・三越伊勢丹 動画配信によるライブコマースでおすすめ商品を紹介
料理研究家らを招いておすすめの食品を紹介
顧客からの質問をリアルタイムで受け付ける双方向での接客を実施
ワインやスイーツで自宅向け配送商品も290品目扱う
・そごう西武 ネット通販に対応するコールセンターの人員を昨年の1.4倍に
中元では、高齢者からネット通販の使い方への問い合わせが例年の1.3倍も寄せられた
・大丸松坂屋 ネット限定商品を昨年の2.5倍を用意
・銀座松屋 家でぜいたくをしたいと考える人が増えると見て、自宅配送限定商品にも注力
国内産黒毛和牛やパンケーキセットなど昨年の72種類から1割増やす
・高島屋 家でレストラン気分を味わえる商品を拡充
有名店のメニューや高級食材を揃えた
コロナを機に、新しい消費スタイル・新しいデバイスに合わせた販売活動にどう取り組むかがとても重要になってきており、なかなか人と会えない分、ギフトのEC需要も高まりを見せています。
第3章 コロナからEC事業へ、D2Cムーブメント?からも激増のネット通販
そして今、Amazonや楽天市場などの大手ECモールも、出品数・出店数を大きく伸ばしてきており、BASEやGMO、海外からではカナダのshopifyのような無料で簡単にすぐにネットショップが開設できるサービスが一気に広がったことからも、ますますECは激戦区になっています。
そして何より、すでに大手モールに出品、出店されている企業、お店はよくご理解されていることと思いますが、自社サイト以外での販売では、モールの都合に合わせないといけなく、売り方の自由度が限られ、お客様リストも決して自社のものにはならない。販売手数料や広告費もあり、結果それなりに売れたとしても、利益はほとんど残らない、ではないでしょうか。
こういったことに多くの方々が気づき始めた中、メーカーが卸販売をせずに、直接商品を消費者に販売する現代のメーカー通販の新たな形とも言える「D2C」(ダイレクト・トゥ・コンシューマ)がアメリカで流行し、日本にも上陸してきました。
原則的に大手モールに頼らない、他社での販売にも頼らない、あくまでも自社とお客様が直接繋がることで、利益もしっかり残り、長く利用してもらうことを目指すものと言えるのではないかと思います。
では、何が従来のメーカー通販と違うのか。
私見ではありますが、消費者との接点となるデバイス、タッチポイントの違いと、その違いを大いに活かしたマーケティング戦略と戦術にあるでしょう。
ネットが今ほどに活用されていなかった時代に比べ、現代では世代を問わずスマホが普及し、twitterやInstagram、Facebook、LINEに代表されるSNSを誰もが活用する時代になり、その影響力も多大になってきました。現代の通販は、自社サイト=HPを出す、モールに出店する、メルマガを出すだけでなく、SNSでも見込み客や顧客との接点を増やし、最終的に商品やサービスの永続的購入へと結びつけていく「D2C」モデルのようなことが今後のEC戦略において不可欠になってくる、と見ています。
ですが、みんながみんな「これからのECはD2Cモデルだ!」と一方向に向かえば、当然また競争がますます激化してきます。そこでおすすめしたいのが、「ギフト」を軸にした「ギフトD2C」モデルです。
第4章 なぜギフトがいいのか?稼ぐ力も大きい「ギフトD2C」モデルとは
モノやサービスが溢れかえり、これらはネットにより世界中で普及し、これを提供する事業者はSNSでも繋がってユーザーを囲い込み、どこにいても大抵の欲しいモノやサービスがネット上で手に入る・・・。高額な美術品や車、時計、住宅に至るまで。
こうした状況がますます加速していくのは、疑いの余地はないところでしょう。
もう少し、ここ日本で現実的なところから落とし込んで考えますと、例えばお取り寄せと言われる食品の地方名産品のネット通販ですとこうなります。
北海道の食材を、東京にいても沖縄にいても欲しくなればネット注文し、在庫さえあれば2-3日後には食卓に並べることも可能ですし、提供者が近隣県や本州内とかだと翌日に届く場合もあるでしょう。
これを日常の食事なのか、非日常なのかで考えると、大半の人にとってはたまに楽しむための非日常の世界ですよね。特に今コロナでGOTOが始まったとはいえ、まだまだ旅行にいけないと考える人にとっては、旅行に行かなくとも、自宅でお取り寄せをして楽しむといったコト、いわゆる体験型です。
一方、ギフトは日常生活から派生するものではありますが、毎日誰かに何かを贈ることはありません。ですが、たまたまではなく、自分の家族や恋人、友人、子供、親、親戚、お世話になった人など、年間を通じてさまざまなギフトイベントが発生します。
シーズンイベントでは、母の日・父の日・クリスマス・中元歳暮などの贈り物。年間を通じ誰かに発生するハレの日イベント、誕生日、結婚祝い、結婚記念日、出産祝い、新入学祝い、合格祝い、新築祝い、退職祝い、還暦祝い、快気祝いなどでのハレの日の贈り物。(葬儀など仏事からの派生もあります)
自分で楽しむための「お取り寄せ=非日常の体験型」をギフト化し、価格検討だけで選ばれない、「価値検討で選ばれる=値段が安いから買おう」の世界から脱却できるのがギフト化の最大メリットです。
単純にギフトでもどうぞ!という安直的なセールスでなく、また商品スペックの良さや安さを訴えるのでもなく、パッケージ・デザイン・サービスなどを総合的に、先に述べたようなシーズンイベントや晴れの日のギフトとして相応しいモノすること。
贈り手にとってはセンスがいい、贈り先に喜ばれたいという気持ちの充足感を得たい。贈られた方は、「なんて素敵なものをいただいた」「嬉しい」といった「気持ちを喚起させる商品とサービスを提供する形=上質かつ上品で価値を感じていただけるモノやサービス」を作り上げ、さまざまな現代のタッチポイント(自社サイト、メルマガ、SNS、自社実店舗など)から、いきなり売るのではなく、共感を呼び、ファン、コミュニティを形成するためのコンテンツなどの情報発信をいかにしていくか。
その先には色々と発生するギフトでのリピート利用が生まれ、さらには「ギフト仕様だけど自分用にも欲しい・・・」と思ってもらえるレベルに、商品もサービスもクリエイティブも昇華させる必要もあります。
ギフトはこのように商品もサービスも本気で取り組むには難しい側面がありますが、その分、簡単に競合が真似できない独自のものが組み上がり、そのギフトを軸にした通販・EC事業の組み立てが、私の考える「ギフトD2C」の概念です。
第5章 「ギフトD2C」で競合他社から脱却し、事業を飛躍させるために
ここ日本では私の知るかぎり、D2Cモデルで大成功を収めている企業・お店はまだなく、今ようやくスタートラインに立ち、EC・通販に取り組む各社、それに伴うサービスの提供会社ともに、D2Cモデルへの取り組みを加速させていっているところかと思います。そして今後、ますますEC市場では競争が激化する状態になってくるのは明白です。
第4章で述べた通り、本物のギフト化を実現し、小さくてもいいからブランド指名買いされるほどに、自分でも思わず欲しくなるようなギフト通販を作り上げていただきたいのです。
大切な人、お世話になった人に贈るギフトで、しかも価格がそれなりに高いものであればあるほどブランドが立っていないと決して利用されることがないのがギフトの世界です。
要するにギフトは安いから買おう、安いから贈ろうとはならない世界ですので、自分用に買うのとは180度、消費者の思考が真逆に違うのがギフトなのです。だから利益も大きくなります。
当社クライアント企業の中では5社が、本物のギフト化を軸にして、実店舗+自社サイト通販(SNS情報発信含む、一部DM通販も)+Amazon、楽天へのモール出店+卸販売といった複数の販売チャネルを出されています。
これを今、足し算ではなく掛け算になるように事業全体設計を見直し、最終的に必ず自社サイトのハウスリストになるように再構築していっています。
とにもかくにも、通販事業ではハウスリストの獲得が命。さらに顧客離れを起こしにくい上質なハウスリストが通販の事業基盤を大きく支えます。その上質なハウスリスト獲得において、ギフトはその効力を大きく発揮します。
なぜなら、もう一度申し上げますが、安いから買おう贈ろうとならない、商品価値、サービス価値を認めた人々が信頼し、安心して利用するのがギフトだからです。
あなたの会社やお店のEC・ネット通販事業を飛躍させたいのであれば、指名買いされるほどのギフト化に取り組まれたいのであれば、ぜひ当社の経営者・経営者層向けのセミナーにお越しください。多くの事例も含めて、さらに深く詳しく、ギフト通販の世界をお伝えいたします。
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著者プロフィール:園 和弘(その・かずひろ) | 株式会社売れるギフト通販研究所 代表取締役
日本で唯一のギフト通販コンサルタント。1967年大阪生まれ。日本ダイレクトマーケティング学会員。日本で初めてギフトを通販ビジネスの視点から解説した『「ギフト商品」を通販で売る-売上3倍・利益10倍にする戦略-』の著者。同書はAmazon商品開発第1位・E-コマース2位を記録。主宰するコンサルティング機関「売れるギフト通販研究所」を運営。セミナー・コラム・出版等の活動から、ギフト通販の商品開発からブランディング・マーケティング・販売に至るまで、独自コンサルティングプログラムを通じ、主に全国の中小企業をサポートしている。たった半年で売上3倍・利益額10倍を達成した企業など、幾多のクライアントを成功・成長に導いた実績を持つ。新規通販・ギフト事業立ち上げ10回以上、通販売上通算500億円以上、商品企画開発数400点以上、関わったメーカー数2000社以上、通算媒体企画数400本以上、媒体/商品デザイン監修50点以上。