生活者起点のリサーチ&マーケティング支援を行っている(株)ネオマーケティングが実施した「D2C」に関する生活者のオンラインでの購買行動やブランドへの意識調査によると、「価格差がなければ直販で購入する」という人が半数以上に達していることが分かった。
商品が欲しいと思うきっかけは「ショッピングサイト」が68.6%と最多
いま、消費者向けブランド業界でD2Cという「テクノロジー×小売」を実現した新しい業態への注目度が高まっている。背景にあるのはデジタル化や消費行動の変化で、顧客の詳細なデータ分析・顧客とのダイレクトな対話が可能となったこと。また、機能的価値より情緒的価値(ブランドが創出する世界観やストーリー)を重視する流れがある中、独自の世界観でユニークな体験を生み出し、大企業を驚かせるスタートアップが出てきている。
調査日は10月22~26日。これまでに一度でもメーカー直販の通販サイトで購入したことがある、半年に1回はオンラインショッピングをする、という全国の男女1000人に聞いた。それによると、利用したことのある通販サイトは94.2%が楽天やAmazon、ZOZOTOWN、Yahoo!ショッピングなどの「ショッピングモール系」。一方で、「メーカー・ブランド直販サイト」(ワールドオンラインストア、DELL公式オンラインストアなど)は40.9%だった。
商品が欲しいと思うきっかけは、「ショッピングサイトをみて」が68.6%と最多。次いで「メルマガやメーカーのHP」が36.5%で、「比較サイト/クチコミサイト」(34.6%)や「友人・知人・家族のクチコミ」(32.9%)よりも高いことが分かった。
メーカー直販ECサイトでの不満は「送料が高い」が53.0%でトップ
メーカー直販ECサイトで不満に思った点は、「送料が高い」が53.0%。複数ブランドでの買い物を1つの窓口で行えるショッピングモール系サイトに対し、それぞれの直販サイトでネックになりそうな「登録などが面倒」は18.7%だった。サイト情報の不備で商品をよく理解できないなどの戸惑いも。サポート体制の充実や、利便性について改善を求める声も多かった。
これまでに経験した購買行動については、「商品自体の質は微妙だがそのブランドが好きで商品を購入したことがある」が19.3%。「ブランドが発信するコンテンツに興味を持ったことで、商品を購入したことがある」が17.7%だった。
64%が「ファンといえるブランドがある」
優れたD2Cブランドは商品そのものの品質よりも、ブランドの世界観のレイヤーで顧客と繋がることを重要視している。消費者は「ブランドの提案するライフスタイルが自分とフィットしているか」「ストーリーや語り口は自分のセンスとマッチするか」を意識すると考えられる。ネオマーケティングは、これからのブランドは、ものづくりを大事にしつつも、商品が人の心に響くか、共有したくなるかといった観点で世界観の構築を考えるべきではないかと提案している。
ファンだといえる商品のブランドがあるかという質問には、64.4%が「ある」。ファンといえるブランドが思い浮かぶ人が多いため、ブランドへの愛着で購買につながることが少なくないと考えられる。ファンであるブランドの商品を購入する際の行動について。「だいたい直販を選ぶ」が20.2%、「他のサイトと値段に差が無いのであれば直販を選ぶ」は35.7%だった。
また、直販を選ぶ理由を聞いたところ、アフターサービスについて期待する意見が多く見受けられた。しかし、メーカー直販への改善点で、「交換返品が面倒」「発送時など、タイミングごとにこまめに連絡がほしい」といった保証や連絡不足などのサービス体制に関する意見もあるため、期待するサービスと現実のサービスには乖離があると考えられる。そのほか、直販特有の梱包の独自性やサンプルなど、特典に期待する声やブランドへの愛着によるメーカーへの貢献を期待する意見、安全・安心という感覚があるといった意見もあった。
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