アスクル(株)が15日発表した2021年5月期第2四半期(20年5月~11月)連結決算は、売上高が前年同期比3.4%増の2064億5200万円、営業利益が同70.9%増の59億2600万円、純利益が同57.5%増の34億5300万円となった。
新型コロナ感染対策商品の特需が継続
初めて2000億円を突破した売上高をはじめ、営業利益、純利益とも、それぞれ同期間での 過去最高益となった。主力分野であるEC事業のBtoB事業の売上高成長率が5月の緊急事態宣言解除後は着実に回復。手指消毒液やマスクなどの新型コロナウイルス感染対策商品の特需が継続していることから、増収大幅増益となり、BtoC事業の「LOHACO」も損益改善が計画通り進捗した。
セグメント別でみると、「eコマース事業」の売上高は2026億6700万円(前年同期比3.6%増)、営業利益は66億3300万円(同101.3%増)。うち、BtoB事業の売上高は1689億1500万円(同3.0%増)、また、23年5月期の「LOHACO」営業利益黒字化の実現に向けて構造改革に取り組んでいるBtoC事業は、前年同期比で20億9200万円増収の337億5100万円(同6.6%増)、「LOHACO」の売上高は同15億98百万円増収の256億51百万円(前年同期比6.6%増)となった。
※アスクルの公表資料より
メディカル・感染対策・ロングテール商材も売上増、LOHACOも好調
BtoB事業の売上高成長率は想定よりも早く回復。メディカル商材に加え、従来からの手指消毒液やマスクに加え、使い捨てグローブやパーティションなどの感染対策商品の需要増が継続している。またEC需要の増加による梱包資材などのMRO商材や、取扱い商材数が800万アイテムを超え、品揃え強化に注力しているロングテール商材の売上高も伸長したことから、増収となった。
BtoC事業については、「サイバーサンデー」や「超PayPay祭」などの販促効果もあり、売上高は順調に伸長。損益改善については、コロナ禍にあって付加価値の高い商品の提案や、販売価格の適正化などにより商品粗利率の向上が進むとともに、第1四半期で大きく落ち込んだ広告収入も回復傾向にあり、「LOHACO」を含めて売上総利益率の改善に寄与した。
ヤフーとの連携で「LOHACO」の固定費が減少へ
大型販促により、着実に収益改善が進んでいる「LOHACO」に関しては、今期中は限界利益率のさらなる改善を図り、来期以降はサービス・機能の改廃やヤフー(株)との連携によるシステム基盤の活用など、固定費を中心に削減を図る方針でいる。
ロジスティクス事業は、売上高が34億2200万円(前年同期比2.2%減)、営業損失は7億4200万円 (前年同期は1億5400万円の営業利益)となった。11月に開始した物流業務受託の準備期間に係る物流センター賃料などの費用負担があったことから、営業損失となった。
これらの業績動向を踏まえ、9月に発表した21年5月期の通期業績予想を上方修正した。売上高は4063億円から4100億円(前期比2.4%増)、営業利益は92億円から108億円(同22.4%増)、純利益は50億円から60億円(同6.1%増)を見込んだ。
※アスクルの公表資料より
BtoB事業では大規模な投資へ、「プロジェクト トライオン」に60億円の投資
主力のBtoB事業の売上高、売上総利益率が計画比で順調に推移している。下期については慎重な見方を継続するとともに、動向を見ながら来期以降の持続的成長に向けたコスト投下も視野に入れている。
この中には23年5月期下期に稼働を予定する「PJ Trylion(プロジェクト トライオン)」が含まれる。中小企業向けサイトと中堅・大企業向けサイトを統合し、新しいサイトを構築。外部検索エンジンから直接、新サイトに訪問・購入が可能にする改革で、ソフトウェア投資額60億円を見込んでいる。
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