2020.03.30 コラム
ファネル分析を活用したマーケティング事例やメリット・注意点を解説
ファネル分析とは一言でユーザーが購買に至るまでの過程でどこで離脱したのか、つまり「離脱率」に焦点を当て分析することをいいます。より明確に課題を見つけ、企業の成長につながるマーケティング戦略を立てることができます。
ファネル分析とは?
ファネル分析とはユーザーがオンライン広告やモバイルアプリを通して購入するまでの道のりを把握し、どこで多く離脱しているのかに注目して分析する手法をいいます。
ユーザーが離脱しているポイントや原因を分析し、その結果に基づいてより戦略的にマーケティング施策を考案、修正できます。ファネル(funnel)とは「漏斗」の意味です。
ファネル分析の種類
3つの種類に分けることができます。それぞれ詳しくご紹介します。
1.パーチェスファネル
パーチェスファネルとは一般的に使われているファネルで、AIDMA(アイドマ)という5つに分類された顧客心理を基に生まれた考え方です。
▼AIDMA(アイドマ)
Attention:認知
Interest:関心
Desire:欲求
Memory:記憶
Action:行動
「注意」の段階から順にたどり「行動」に近づくほど顧客数は絞られてきます。
2.インフルエンスファネル
インフルエンスファネルとは、顧客が購買した後にどのように意識変化があったかを図式化したものです。
インターネットやSNSなどの発展に伴い、企業側からの発信力だけでなく消費者側の発信、レビュー評価などによる影響が高まり生まれたファネルです。パーチェスファネルのAIDMAではなくAISASに近い考え方です。
AISAS(アイサス)とは「Attention:認知、Interest:興味、Search:検索、Action:購入、Share:共有」の5つに分ける考え方で、それぞれの頭文字をとってAISAS(アイサス)と呼ばれています。
発信、紹介、継続が基本的な流れで顧客の行動分析を行うので、商品やサービスに満足してもらうことができれば継続的に利用してくれるリピーターを獲得することがきるので重要な概念として注目を集めています。
3.ダブルファネル
ダブルファネルとは、一言でまとめるとパーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせたものです。
商品を購入した顧客が発信し、情報を拡散することで新たな顧客獲得につながります。
ファネル分析のメリット
◎顧客の離脱ポイントがわかる
目標到達までのプロセスを視覚化することで、訪問者と潜在的な顧客がWebサイトを離れる時期と場所を理解するのに役立ちます。
顧客がどこで商品やサービスに立ち寄り離脱するかを知ることで、より緻密にマーケティング戦略を立てることができるのが最大のメリットです。
◎質の高い顧客の到達ルートがわかる
ファネル分析は修正が必要な問題を見つけることが出来るだけでなく、コンバージョン率の高いトラフィックがどこから来ているのかを明らかにし、数を倍増するための方法を見つけることができます。
なかでもGoogle Analyticsのような高度なツールは、ページの閲覧数や何に興味をもって訪問してきたのかを知ることができ、Webサイト内でのユーザーの動きやコンバージョンに至った経緯、どの端末で閲覧されているかまで分析してくれます。
その分析から課題や問題点が洗いだされ、どのように改善していくのか方向性を提示することができます。
◎効率的にCVRを高められる
ファネル分析の最終目的はコンバージョンに至るユーザー数を増やすことです。データを使って販売方法やペルソナの設定行い、購買までの各段階を最適化することでCVRの向上につながります。
◎ペルソナ設定に役立つ
ペルソナ設定とは商品を購買する顧客を具体的に絞り出し表した人間像をいいます。
例えば年齢は20代後半、未婚女性で医療事務に勤務、趣味はアウトドアと仮定したうえで企画や方向性などを決めていきます。ファネル分析の導入で段階ごとで心理がどう変わったかを知ることができ、より具体的なペルソナの設定にアプローチすることができます。
ファネル分析で気を付けたいこと
ファネル分析で注意したい点は市場で何が求められているかを明確に把握したうえで行わなければ、CVの向上には繋がりません。
また、分析をより効果的に活用するためにはITツールの導入をおすすめします。サイト分析、顧客へのアプローチ状況などを効率よく行うことで、より最適化した情報を基に施策を考案できます。
ファネル分析の活用方法
ファネル分析は顧客がどこに立ち寄っているのかのコンバージョン経路を表します。これはどのポイントで改善するのがベストなのかを特定することで、顧客をより多く獲得できます。
ファネル分析はまずファネルを選択します。WEBサイトのファネル分析を行う場合、コンバージョンを資料請求に設定し、資料請求の件数を最大化にするための分析を行うとします。この場合、コンバージョンの最大化となるため、パーチェスファネルを用います。
次に顧客のアクションを段階ごとに分類します。段階は「TOFU」、「MOFU」、「BOFU」の3つがあります。
TOFUとはTop of the Funnelの略で、リードを獲得し見込み顧客を増やすことに効果的です。
MOFUとはMiddle of the Funnelの略で、ファネルの中間部分を指します。TOFUを経て増えた見込み客のニーズから商品やサービスの購入など、企業が期待するコンバージョンにつなげていきます。
BOFUとはBottom of the Funnelの略で、ファネルの最下部を指します。最後のステージであるBOFUは商品やサービスで評価を獲得し購買までつながることが最終ゴールとなります。
最後に分析を通して改善策を検討します。分析にはGoogleが提供する無料のアクセス解析ツール「Google Analytics」が優秀で各段階の数値を見ることができます。各フェーズの数値から離脱しているポイントを絞りだし、その要因を顧客の立場になって考えます。そして改善策を見つけ出します。
ファネル分析の事例
ファネル分析の目的は、ユーザーが次の段階に進むためにドロップポイントを特定することです。問題点を見つけ、あらゆる解決策を試して顧客を購買へと導くことができます。今回は5つの企業の事例をご紹介します。
(1)大手メディア「NBC」
メディア企業は利用者の消費行動を把握するために何度も分析を実行します。
NBCはVizioTV(ヴィジオ・ティーヴィ―)での消費行動を理解するためにファネル分析を使いました。そして少数の利用者を対象に、サイトに構築した新たなユーザーエクスペリエンスに関するテストを実行しました。実験は成功しなんと視聴者数は10%増加しました。
(2)宅配サービスアプリ「Rappi」
ラテンアメリカの宅配サービスRappi(ラッピ)は、Amplitude(アンプリチュード)を使用してコンバージョンファネルのA/Bテストを実施しました。
同社は無料トライアルまたは低コストのトライアルが高い確率でサブスクリプションの登録に移行するのか分析しました。すると 1ヵ月のトライアル(低価格)を体験した利用者は、トライアル終了時にメンバーシップを購買する確率が25%高いことが分かりました。
また、同社はプライムプログラムを利用していない利用者が注文の際に送料が追加された場合どのように行動するのかを実験しました。そこで注文に送料が追加されると購入のファネルが大幅に低下している問題点を見つけました。よって、注文時に特定の金額を超えた利用者に送料無料のサービスを提供した場合、その行動がどう変わるのかを試してみました。賭けは見事成功し、送料無料は注文量を15%増加させたという結果に至りました。
(3)プラットフォーム「MINDBODY」
MINDBODYは、利用者とフィットネス提供者がつながるのに便利なデジタルプラットフォームです。利用者はアプリを使ってクラスを見つけ予約し、フィットネスの目標に向けた進度を追うことができます。
同社は新機能「アクティビティダッシュボード」を開始したあとに、利用者にどう変化をもたらしたのかを調べました。すると新機能の利用者は1週間に予約したクラス数が2割以上多かったことを把握できました。この情報に基づいて、ナビゲーションバーの目立つ場所に新機能を加えました。
(4)会計ソフトウェア「QuickBooks」
QuickBooks(クイックブックス)は大手企業Intuit(インテュイット)が提供するコアブランドです。同社はファネル分析で多くの利用者がオンボーディングのプロセスを完了していないことを発見しました。そこで同社はオンボーディング中に利用者が次の段階に進むことが難しいポイントを減らすためにできる3つの不要なステップを特定し削除しました。新たなプロセスではプッシュ通知にサインアップするユーザーが25%増加しました。
(5)8×8 社の「Jitsi.org」
B2B SaaS製品は、利用者がビジネスタスクを完了するのをサポートするツールです。多くはサブスクリプションモデルで動作します。同社はより多くのユーザーを取り込むために製品の無料バージョンを提供し、その後有料版へとユーザーを誘います。
8×8のビデオ会議ツールJitsi.orgは、成長率が横ばいであることに気付いたとき、AmplitudeのファネルおよびConversionDrivers機能を使用して原因を調査しました。
ファネル分析中に8×8はChrome拡張機能を使用しているユーザー利用者が非常に少ないことを発見しました。そこでChromeの拡張機能を目立たせた結果、利用者の保持率が7日目に倍増しました。
まとめ:ファネル分析を使ってマーケ加速!
ファネル分析の種類、メリット、活用方法、企業の事例をご紹介しました。
一番の目的はコンバージョンを最適化することです。利用者、顧客の購買までの過程を分析し、ゴールに至らなかった原因を探ることで課題を洗い出すことができ、より緻密なマーケティング戦略を打ち出すことができます。
効果的かつ効率的な施策を見つけ、自社の商品やサービスをより多くの方に使ってもらえるようファネル分析を取り入れてみるのはいかがでしょうか。
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