2022.10.02 コラム
アドフラウドの被害と手口を徹底解説!対策方法も詳しく紹介
アドフラウドとは、デジタル広告における詐欺や不正のことです。アドフラウドを放置すると広告費が無駄になり、企業の信用力にも悪影響を与えます。本記事では、アドフラウドの危険性や具体的な手口、対策方法などを解説します。
アドフラウドとは
アドフラウドとは、デジタル広告配信の詐欺や不正行為のことです。英語では「ad(広告)+詐欺(fraud)=広告詐欺」と呼ばれ、世界的な問題となっています。
アドフラウドは広告成果の水増しが行われるため、広告主に多額の金額的損失を与えます。しかし、不正が行われている箇所の特定は難しいため、被害に遭っていることに気づかないことも少なくありません。
アドフラウドの具体的な仕組みは、下記のとおりです。
1.悪質業者が詐欺サイトを作成する。
2.詐欺サイトにボットやトラフィックエクスチェンジなどの不正を仕込む
3.インプレッション数やクリック数が水増しされる
水増しされた成果は実態を伴わないため、悪質業者に広告料を騙し取られてしまいます。
アドフラウドの危険性と被害
アドフラウドの対策ツールを提供している「Spider AF」の発表によると、2021年下半期に調査した国内Web広告の約4.4%がアドフラウドに該当しています。
2021年の国内デジタル広告市場は2兆4,300億円と推定されているため、市場全体のアドフラウド被害額は年間で1,072億円にも達するのです。
アドフラウドの被害を詳しく見ていきましょう。
▲顧客獲得単価が上がる
アドフラウドは実態を伴わない成果を発生させるため、顧客獲得単価が上がります。本来であれば払う必要がない水増しされた広告費は、すべて無駄になると考えてください。
たとえば、10万円の広告費で顧客を10人獲得する広告運用をすれば、顧客獲得単価は1万円です。しかし、アドフラウドによる水増しで4万円が不当に搾取された場合、ユーザーに届く広告は6万円分になってしまうため、獲得できる顧客が6人になってしまいます。
実態のないアクセス数やクリック数が発生すればするほど顧客単価が上がるため、早急な対策が必要です。
▲広告運用の効率が低下する
水増しされたデータを基に運用をすれば正しい判断ができず、広告運用の効率が低下してしまいます。
たとえば、「クリック数が多い」という理由で出稿を続けても、クリック数そのものが水増しされていれば、成果に結びつきません。
不正なアクセスが増加するほど、適切な広告配信先を見極められなくなります。
▲企業の信用力が失墜する
アドフラウドによる広告の差し替え操作が行われると、意図していなかったサイトに広告が掲載されることもあります。不適切な箇所への出稿は企業ブランドの低下を招くので注意が必要です。
代表的な例としては、アダルトサイトや暴力的なサイトへの広告表示が挙げられるでしょう。火事のニュースを報じるWebサイトに新築住宅の広告が表示されるといったケースも考えられます。
アドフラウドの種類
アドフラウドには、複数の広告不正カテゴリーがあります。不正手口の詳細を理解して対策をするためにも、しっかり確認しておきましょう。
▽隠し広告
目に見えないほどの小さな広告や、Webサイトの表示領域外に広告を表示して不正にインプレッション数を稼ぐ手口です。ユーザーは広告が見えませんが、「表示」はされているため広告料が発生します。
具体的には、タグやCSSなどの操作によって、ユーザーに見えないように広告を表示させます。データ上のインプレッション数は増えますが、ユーザーには届かないために広告料はすべて無駄になると考えていいでしょう。
とくに、CSSで操作された場合は被害に気づきにくくなるため、対応や対策が難しくなります。
▽自動リロード
広告を自動的に更新してインプレッション数を稼ぐ手口です。広告枠を秒単位でリロードして、価値のない広告表示を大量に行ないます。ユーザーのスクロールに合わせて広告を更新する手口も少なくありません。
最近では、YouTubeのような動画コンテンツに自動更新広告を掲載する手口も目立ってきています。動画の終了までに価値のない1,000インプレッションが発生するといった被害もあるので注意が必要です。
▽ボット
プログラムの操作によって、不正にインプレッションやクリックを量産する手口です。サーバー上で不正行為をする悪質事業者も増えているのが現状です。広告主は、偽造されたインストール数やクリック数などに対して費用を支払うことになります。
なお、マルウェアに感染した端末でもボットは実行されます。もっとも多いのは、フリーソフトをダウンロードした際に端末がマルウェアに感染するケースです。このようなケースでは、端末所有者が気がつかない間に不正操作に加担してしまいます。
▽デバイスファーム
デバイスファームとは、同じ端末でIDのリセットを繰り返し、複数の端末からアプリをダウンロードされたように見せるアドフラウドです。
端末のIDは1台につき1つですが、このIDを不正に増やすのでデバイスファーム(端末の養殖場)と呼ばれています。データ上に新規デバイスの割合が多い場合は、デバイスファームを疑った方がいいでしょう。
▽クリックフローティング
クリックフローティングとは、クリック数を不正に水増しするアドフラウドです。「クリック洪水」とも呼ばれます。複数の人間が人海戦術で不正にクリック数を増やしたり、ボットを使って不正にクリック数を水増ししたりする手口が一般的です。
この被害に遭ってしまうと、データ上のクリック数が増えても成果に直結しません。ただし、洪水のようにクリック数が急増するため、他の手口に比べて不正が発覚しやすいという特徴があります。
▽インストールハイジャック
インストールハイジャックとは、インストール中に不正なクリックログを送信する手口です。ユーザーの端末をマルウェアに感染させて行われるため、行動の起点がボットではなくユーザーになります。
通常、アプリをインストールする場合は「広告をクリック」→「インストール」という手順になります。そのため、インストールが完了するまでに要する時間は10分が一般的です。しかし、マルウェアによる不正インストールが行われると、10秒から30秒ですべての手順が完了します。
広告のクリックからインストールまでの時間が極端に短い場合は、インストールハイジャックの被害を疑った方がいいでしょう。
アドフラウドの対策方法
アドフラウドは、広告主に大きな損失を与えます。被害を未然に防ぐためにも、対策方法を確認しておきましょう。
◎解析用タグによるモニタリング
解析用のタグを使って、ユーザーの行動をリアルタイムでモニタリングする方法です。タグで解析できるアドフラウドの不審な挙動としては、「異常な速さによるリロードの繰り返し」や「同一端末からの膨大なアクセス」などがあります。
異常な行動をしているユーザーには、広告の出稿停止やダミー広告の表示などを行って被害を防ぎましょう。比較的簡単にできる対策方法なので、広告を出稿する際には必ずタグを設置するようにしてください。
◎出稿先別のパフォーマンスの測定
出稿先別の広告パフォーマンスを測定して、不審な出稿先を判別する方法です。次のような出稿先は不正リスクが高いと判断していいでしょう。
・配信回数と成果が比例していない
・不正な注文が多い
・ネガティブなコンテンツを掲載している
など
不正な出稿先を除外すれば、金銭的な被害だけではなく、ブランドイメージの低下も防げます。
ただし、表示回数や成果の低さだけでアドフラウドと断定することはできません。また、すべての出稿先を目視で確認するのは困難です。そのため、事前に一定の基準を設定するか、データを取得・分析できるツールの導入を検討した方がいいでしょう。
◎アドベリフィケーションツールの導入
アドフラウドの検知と防止をリアルタイムに行えるのが「アドベリフィケーションツール」です。ツールを利用すれば不正なデータや出稿先の正当性を計測できるため、効率的にアドフラウドの被害を防げます。
解析用タグによるモニタリングや出稿先別のパフォーマンス測定も被害防止に役立ちますが、人的労力と時間が必要です。しかし、アドリフィケーションツールを活用すれば、被害防止のために割くリソースを大幅に削減できます。
アドフラウド以外に意識すべき問題
Web広告の運用では、アドフラウド以外にも「ブランドセーフティ」と「ビューアビリティ」の理解と対策が必要です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
◇ブランドセーフティ
ブランドセーフティとは、企業ブランドを毀損する恐れがあるサイトへの広告出稿を防いで、安全性を確保する取り組みです。取り組みの事例を見てみましょう。
・資生堂
2018年からブランドセーフティツールやホワイトリストを導入している資生堂では、確実に安全なサイト以外に出稿しないと明言しています。出稿先の安全性は各種数値から判断し、出稿するサイトの整理を行なっています。
・ネスレ
ネスレは、2016年にスイスの本社で、「ビューアビリティ」、「アドフラウド」、「ブランドセーフティ」の3項目に関するガイドラインを作成しました。同年10月頃からは日本でも取り組みを始め、広告運用効率の改善を実現しています。
◇ビューアビリティ
ビューアビリティとは、広告のインプレッションに対する閲覧可能な比率です。たとえば、スクロールが必要な画面の下部に広告が表示される場合は、広告が表示される前にサイトを離脱するユーザーもいます。しかし、広告は配信されているため、ユーザーが閲覧しなくても費用がしてしまいます。
このような問題を防ぐために、Google広告とYahoo!広告では「広告面積の50%以上が画面に1秒以上(動画広告は2秒以上)表示される」ことをビューアブルインプレッションと定義して課金する仕組みになっています。
ビューアビリティを意識しないで出稿すると、広告運用効果が悪化する恐れもあるので注意が必要です。ユーザーに広告を見てもらうためにも、自社にとって最適な広告枠を選択しましょう。
アドフラウド対策に役立つツール
ここからは、アドフラウド対策に特化したツールを2種類ご紹介します。各ツールの機能や料金を比較して、自社に適したツールを選択しましょう。
SpiderAF
不正なクリックやアクセスなどをブロックして、不要な広告費を削減するツールです。低品質なサイトへの出稿を防いで、起業のブランドイメージを守ることもできます。初期費用は無料、月額30,000円から利用することが可能です。
X-log.ai
AIが不正なクリックを除外してアドフラウドの被害を防ぐツールです。操作がシンプルであるため、初めてアドフラウド対策ツールを導入するという企業にも適しているでしょう。初期費用33,000円から、基本利用料は22,000円からとなっています。月10万PV以内のサイトが対象の無料版が用意されているのも特徴です。
まとめ
今回は、アドフラウドの危険性と被害、対策方法などについて詳しく解説しました。改めて本記事のポイントをまとめます。
アドフラウドとは…
デジタル広告配信の詐欺や不正行為のことです。被害に遭うと、実態のない成果に対して広告費を支払うことになってしまいます。
アドフラウドの危険性と被害…
▲顧客獲得単価が上がる
▲広告運用の効率が低下する
▲企業の信用力が失墜する
アドフラウドの種類…
・隠し広告
・自動リロード
・ボッド
・デバイスファーム
・クリックフローリング
・インストールハイジャック
アドフラウドの対策方法…
・解析用タグを使ってモニタリングする
・出稿先別のパフォーマンスを測定する
・アドベリフィケーションツールを導入する
アドフラウドの被害を放置すると、広告主は多大な金銭的損失を被ります。被害に気づきにくいケースもあるので、定期的にデータをチェックして正当性を確認するようにしましょう。
アドフラウド対策に割く人的リソースが不足している場合には、アドベリフィケーションツールの導入を検討してみてください。
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