予約販売が始まった中国最大のショッピングイベント『天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバル(W11)』の海外メディア向け説明会が、このほど開かれた。アリババのタオバオ・Tモール産業発展と運営センターのプレジデントを務める楊光氏は席上、W11がブランドにとって顧客を増加させる起爆剤の役割を果たすことを期待しているとした上、「顧客ロイヤリティと消費体験こそがブランド成長の源になる」と強調した。
楊光氏「プラットフォームは消費体験をアップデートしていく場」
W11は、10月31日夜8時からイベント第1弾の決済期間(11月3日終日まで、北京時間)が始まっている。今年は29万のブランドが参加し、販売商品の種類は1700万点に上る。商品は世界90余りの国と地域から集まり、品目は7000以上のカテゴリーをカバー。中国国内からも各業界のブランドが参加し、老舗・有名ブランドとともに、90后(1990年代生まれ)、00后(2000年代生まれ)が立ち上げたブランドや店舗、新ブランドなどが参加している。
楊光氏は、特に「消費体験の重要性」に言及。プラットフォームはデータによって解決方法を提示し、ブランドや販売者を支え、ともに消費者の「消費体験」を絶えずアップデートしていく場と位置付けた。「私たちは、アリババのサービスを利用するブランド、マーチャントとともに、技術やデータを用いながら新たなものを生み出していく。それによりW11が成長の起爆剤となり、そしてその効果がイベント後も続いていくことを望んでいる」とした。
2000を超えるブランドが新技術でOL商品発表会を実施へ
アリババはすでに、海外企業を対象とした物流支援策を明らかにし、資金流動性の懸念にも対策を示している。さらに、多くの新技術も投入。AR技術でのショートムービー市場やライブコマース市場は、さらなる広がりを見せている。また、ライブコマースの配信、視聴仕様にも変化が加わった。すでに、没入型の体験空間として新商品の発表会を行える技術がリリースされ、販売者やブランドが使用できるようになっている。
W11では、2000を超えるブランドが、こうした新たな技術を使ってオンラインで商品発表会を行う予定だ。楊光氏は「新たな技術が広く生かされ、消費者に新しい体験をもたらすことを望む」と話し、プラットフォームを利用するブランドが、新しい技術の力で魅力をさらに発揮でき、消費者へのサービス、消費者の獲得と定着につながることを期待した。
ロイヤルカナンはTモール・ペットとタオバオライブで初のライブストリーミングを実施
仏のペットフード「ロイヤルカナン」はOLと実店舗の双方で消費体験・サービスを提供
多数のブランドが、Tmall新商品イノベーションセンター(TMIC)の消費者インサイトに基づいて、開発された製品を披露するW11。説明会では、出店企業が築く顧客との関係や、精度の高い細やかな運営について、各ブランドの代表が語った。
フランスのペットフードブランド「ロイヤルカナン」は、Tmalの店舗会員制度を利用し、消費者ニーズにあったサービスを提供し、確実な成長を見せている。同社のTmall公式店舗は店舗サイト内のサービスの自由度が高く、新たな顧客の獲得や顧客とのコミュニケーション強化に非常に有効だとした。
「ロイヤルカナン」は、オンライン店舗と実店舗会員それぞれに提供するサービス目標は異なるが、今後もアリババが提供するプラットフォームの力を借りながら、会員制度を通じてオンライン上の顧客、実店舗の顧客双方の消費者にとってよりよい消費体験とサービスを提供していくことをめざしている。
豪の乳酸菌サプリメントブランド「Inner Health」はVR利用のライブコマースを実施
アメリカの大手食品会社「マース」は、自社が持つサプライチェーンを活かし、自社のチョコレートブランド・ダブではTMICと業界の垣根を超えた共同開発を行った。TMICが提供する消費者インサイトの分析データを活用することで、新製品の研究開発期間を大幅に短縮し、8か月で新製品を作り出すことに成功した。これによって、より市場のニーズに応えることができるようになったという。
オーストラリア発の乳酸菌サプリメントブランド「Inner Health」は、Tmallの公式店舗で、VRを使用したライブコマースやショートムービーによる店舗紹介で、サプリの効果や知識を消費者に向けて紹介している。Tモールグローバルとツァイニャオの協力のもと、商品在庫を預ける倉庫を増やし、商品を複数の倉庫に分散させることで物流制限を受けるリスクを軽減させ、サプライチェーンの安定化を図ることに成功しているとした。
この続きは、通販通信ECMO会員の方のみお読みいただけます。(登録無料)
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。