チェリーピッカーという言葉を聞いたことはあるでしょうか。チェリーピッカーとはECサイトや店舗の特売やセール時の格安商品だけを購入していく顧客のことです。本記事ではチェリーピッカーが店舗に及ぼす影響や原因、その対策について解説していきます。
チェリーピッカーとは
チェリーピッカーとは小売業などの物販業界におけるマーケティング用語の一つで、「割引やセール価格で売られている商品だけを購入する顧客」のことをいいます。
「バーゲンハンター」という言葉が使われることもありますが、基本的にはチェリーピッカーと同義語です。チェリーピッカーの語源は「cherry pick」から来ており、サクランボの中から熟したものだけを取っていく人を比喩した「良いものだけを刈り取っていく人」という意味になります。
通常の顧客は通常価格の商品も購入しながら、お得な割引商品も買っていくことが多いです、しかし、特売品などの格安商品だけを購入していく顧客は販売店にとって利益を生みづらい存在と考えられます。そのためチェリーピッカーを放置しておくのではなく、しっかり対策をしていく必要があります。
チェリーピッカーに対する考え方
チェリーピッカーも顧客の一人と考えることもできますが、経営の面から考えるとマイナスと考えることが多くなります。まずはチェリーピッカーに対する考え方について整理しておきましょう。
企業の販売戦略を分析されている
小売業では、割引商品やセール商品などの特売をおこなうことで利益を高める戦略がよく用いられます。特売をおこなうことで宣伝効果が高まったり、アップセル施策に役立てたり、より効率的なマーケティング活動を促進できるためです。
しかし、チェリーピッカーは企業の販売戦略を読み取ることで、特定の期間だけ商品を購入するといった行動を取ることができます。そのため定期的なセールや特売をおこなっている企業やECサイトはチェリーピッカーにマークされやすくなります。
チェリーピッカーはリピート購入をする優良顧客に見えることがあるため注意が必要です。チェリーピッカーがいくら商品を購入していても利益率が増加することはなく、最悪の場合赤字経営につながる恐れもあるため、チェリーピッカーを見極める仕組みや手段が必要となります。
放置しておくと損失につながる
チェリーピッカーを放置しておくと膨大な損失につながる恐れがあります。特売商品の購入率が上がるのは普通のことですが、それらの商品の多くがチェリーピッカーの手に渡ることで平均顧客単価や利益率が下がり、数年間続くと思わぬ赤字を生み出すことがあるためです。
特売商品を買うついでに他の欲しい商品を購入している顧客は、優良顧客としてリピートしてくれるメリットがありますが、セールの度にチェリーピッカーが集まってくるお店になってしまうと経営改善が難しくなるでしょう。
確実に阻止することは難しい存在である
チェリーピッカーを確実に阻止することは難しいといえます。特売や割引セールをおこなうことは企業にとって欠かせないマーケティング戦略であり、チェリーピッカーを阻止するために戦略を中止してしまうことはさらに経営状況を悪化させる可能性があるためです。
ECサイトでは顧客の購買データを可視化できるため、特売商品だけを購入しているユーザーを割り出すことはできます。しかし基本的に特定のユーザーをブロックすることができず、対策として特売商品を減らすことで優良顧客の購買も減ってしまう恐れがあるため、確実に阻止する施策が難しいとされています。
チェリーピッカーが引き起こす問題とは
チェリーピッカーが引き起こす具体的な問題について考えてみましょう。
まずはECサイトの場合です。ECサイトは気軽に購入できたり、他社価格との比較がしやすいといったメリットがあります。そのため特定の商品で特売をおこなっている状況がチェリーピッカーにも伝わりやすく、狙われてしまいやすいといった問題が発生します。
次に実店舗での販売の場合です。実店舗では来店数が増えることが売り上げを増加させる一つのポイントになりますが、チェリーピッカーは実際に店舗に訪れている顧客の満足度を下げてしまう可能性があります。
優良顧客は特売やセール商品をきっかけに他の商品の購入も検討することがありますが、特売商品を買いつくされてしまうことで優良顧客の機会損失や顧客離れにつながることも考えられます。
また実店舗の場合は駐車場のスペースが限られていますので、チェリーピッカーが多く来店することで本当の優良顧客が駐車できないといった問題も発生してしまいます。
リピート施策が成功しない原因
新規の優良顧客が増えずにチェリーピッカーが増加している店舗は、リピート施策が上手くいっていない可能性があります。リピーターが少ない店舗はチェリーピッカーによる購買がしやすい状況と考えられるためです。
リピート施策が上手くいかない店舗の特徴や原因について解説していきます。
日常的な値引きやサービス価格の設定をしている
値引きやサービス価格の設定が日常化している店舗はリピート施策が上手くいかない傾向があります。決められた曜日や同じ時間帯に値引きをしている店舗はチェリーピッカーに狙われやすくなるためです。
優良顧客は値引き商品を目当てに来店することもあるため、マイナスな施策とは言えませんが、チェリーピッカーが増加することで既存顧客の満足度が下がり、リピート購入率が下がる可能性があるため注意が必要です。
リピートするメリットが顧客に伝わらない
リピートするメリットが伝わりづらい店舗もリピート施策が上手くいきづらいでしょう。単純に特売をおこなうだけでは顧客は集まりづらく、チェリーピッカーが発生するリスクを考えると効果的とは言えません。
商品の価格を下げるだけでなく、他の注力商品をアピールしたり特典をつけたりするなど工夫を凝らすことでリピート顧客を増やすことができるはずです。
リピート施策を成功させるためのポイント
次にリピート施策を成功させるためのポイントを解説します。
優良顧客を把握する
多くのリピート顧客を獲得するためには、優良顧客とチェリーピッカーを見極めることが大切です。店舗によってはハードルが高いかもしれませんが、顧客一人一人の来店回数や購入内容を可視化できる仕組みがあると見極めやすくなります。
ECサイトであればユーザー登録データから、必要なデータを収集できる可能性が高いため、ECサイトに仕組みを導入することが可能か確認してみるとよいでしょう。
電子クーポンやポイントカードを発行する
電子クーポンやポイントカードを導入することでリピート購入を促進することができます。お得なクーポンや特典付きポイントカードなどは、顧客が購入する店舗を決定する動機になることも多いです。
最近では紙のクーポンやカードから、電子クーポンや会員証にシフトしている店舗も多いため、カードを忘れたり膨大なカードを整理したりといった面倒やトラブルを防ぐこともできるためおすすめの施策です。
チェリーピッカーへの対策方法
チェリーピッカーへの対策方法について解説していきます。チェリーピッカーは対策が難しい存在ですが、何も対処しないことで利益を損失してしまう恐れもあります。
またチェリーピッカー対策だけが目的ではなく、既存の優良顧客を獲得していくために施策を打つことも大切です。以下をぜひご確認ください。
安易な値下げをしない
顧客を集めようとする企業がやりがちな施策として「値下げ」がありますが、安易な値下げはチェリーピッカーを防げないだけではなく、顧客離れや他店との価格競争にもつながってしまいます。
特売や割引で販売する際は、在庫処分や意図的なマーケティング戦略を実施するなどのタイミングでおこなうとよいでしょう。
既存顧客に向けたマーケティング戦略に注力する
既存顧客に向けたマーケティング戦略に注力することが、間接的にチェリーピッカーの抑制につながることがあります。既存顧客やリピート客の購買行動や傾向を分析して、そのニーズに応じたキャンペーンや商品を展開していく方法などがあります。
値引き価格に頼らずに自社商品やサービス自体で集客することで、チェリーピッカーの防止につながるでしょう。
チェリーピッカー対策にはマーケティング戦略が重要
チェリーピッカーとは値引き商品だけを購入している顧客層のことをいいます。チェリーピッカーの行動は決して違法ではありませんが、企業や店舗側からすると利益率が低く、既存顧客の集客にも影響してしまうことから、対策をするべきという考え方があります。
具体的な対策としては既存顧客やリピート客を増やすための施策に注力したり、安易な値引きを実施しないといった方法がありますが、確実に阻止する方法はないということを覚えておきましょう。
既存顧客向けの施策に関しては、本記事でも触れましたが、本サイトでさらに詳しく解説している記事もあります。紹介している関連リンクからぜひご確認ください。
リピート顧客に関連する資料
当サイト「通販通信ECMO」では、リピート顧客に関する資料を多数掲載しています。ぜひご確認ください。
リピート顧客に関連する記事
まずは情報収集から始めたいという方向けにリピート顧客に関する記事をまとめています。以下のリンクからご確認ください。
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