2023.02.01 コラム
特定商取引法(特商法)とは?押さえておくべきポイントを徹底解説
ECサイトを運営する人なら必ず知っておくべきなのが特定商取引法です。特商法では「特定商取引に基づく表記」をECサイトに掲載しなくてはなりません。そこで今回は、特商法の概要と規定内容や罰則、記載項目など押さえておくべきポイントを解説します。
特定商取引法(特商法)とは?
消費者と事業者との間で交わされた契約に関して定められた法律が特定商取引法(特商法)です。主に消費者を保護するための法律ともいえます。とくに訪問販売や電話勧誘販売など消費者がトラブルに巻き込まれやすい取引について、事業者が守るべき一定のルールを定めることで、消費者を悪徳商法から守ることを目的としています。
特商法は定期的にアップデートされており、直近では2022年に改定が実施されています。そのためECサイトなどを運営している場合は、最新の内容を参照しましょう。
特商法の対象となる7つの取引
特商法の対象となる取引には、具体的に以下の7つが挙げられます。
・訪問販売
事業者のセールスパーソンが消費者宅に訪問し、商品や権利を販売する取引のことです。キャッチセールスやアポイントメントセールスが含まれています。
・通信販売
新聞や雑誌、インターネットなどで広告をみた消費者が電話や郵便をつかって事業者に商品購入を申し込む取引のことです。
・電話勧誘販売
事業者のセールスパーソンが消費者に電話をかけて購入申し込みを促す取引のことです。電話口だけでなく、電話が終わった後に郵便やインターネット上で申し込みする場合にも適用されます。
・連鎖販売取引
いわゆるマルチ商法などと呼ばれる取引形態である「MLM」「ネットワークビジネス」を指します。個人がセールスパーソンとなり、他の個人にもセールスパーソンにならないかと勧誘することで組織を拡大しつつ、売上を上げる仕組みです。
・特定継続的役務提供
エステや英会話教室など、継続的なサービスの提供に対して対価を支払う取引のことです。現在はエステ、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスの7つの役務が指定されています。
・業務提供誘引販売取引
事業者が消費者に対して仕事を提供すると言い、仕事をするために必要なものとして商品を売り、消費者に金銭的な負担を負わせる取引のことです。内職や在宅ワークなどで、あらかじめ必要な備品を購入させるといった場合に対象になります。
・訪問購入
事業者が消費者の自宅など、店舗以外の場所で商品を販売する取引のことです。
【資料でくわしく】EC表示規制「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」解説資料
特商法による規制内容と罰則について
特商法は行政規制と民事ルールを規定しています。ECサイトなどを運営している場合は特商法の通信販売に該当するため、内容をしっかり理解しておく必要があります。ここからは行政規制と民事ルールの内容と、違反した際の罰金について詳しく見ていきましょう。
行政規制
特商法には事業者が消費者に適切な情報提供をすべきであるとして、下記のような規制があります。
・氏名や勧誘目的等の明示義務
事業者は勧誘を開始する前に、事業者名や勧誘の目的、商品・サービスの内容などを消費者に伝えておかなければなりません。この義務が対象となる取引は、前述の7つのうち通信販売と特定継続的役務提供以外のすべての取引です。
・不当な勧誘行為や故意の不告知及び威迫の禁止
事業者は消費者に対して、価格や支払い条件などについて虚偽の説明をすることを禁止しています。または故意に告知しなかったり、消費者を威迫したりなどの行為も禁止されています。対象となる取引は、通信販売以外のすべての取引です。
・広告の表示義務及び誇大広告等の禁止等の規制
事業者が広告を配信する際は、重要事項の表示が義務付けられています。また、誇大広告や虚偽の内容を記載した広告を禁止しています。対象となる取引は、通信販売、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引、連鎖販売取引です。
・書面交付義務
事業者は契約を締結する際に、商品やサービスなどの重要事項を記載した書面を消費者に交付しなければなりません。対象となる取引は、通信販売以外のすべての取引です。
民事ルール
特商法の民事ルールでは、消費者が契約の取り消しを訴えた際に事業者からの損害賠償請求を制限する内容が定められています。主に下記の3つが挙げられます。
・クーリング・オフ
商品やサービスを購入する契約を締結したあとでも、定められた期間内であれば契約を解除できるという制度がクーリング・オフです。可能な期間は取引によって異なりますが、連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引は20日間、そのほかの取引は8日間と定められています。通信販売はクーリング・オフの対象となりません。
・意思表示の取り消し
事業者が重要事項について故意に告知しなかったり、虚偽の説明をしたりしたために消費者が誤った判断をしてしまった場合には、消費者が意思表示の取り消しができるとされています。取り消しができる期間は、不告知や虚偽の説明に気付いた時点から1年間、または契約を締結してから5年間と定められています。意思表示の取り消しの対象となるのは、通信販売、訪問購入以外の取引です。
・損害賠償額等の制限
クーリング・オフ可能期間が過ぎた後に消費者が契約を解除した場合に、事業者が請求する損害賠償額の上限が定められています。これは消費者を高額な損害賠償から保護することを目的としています。対象となるのは通信販売以外のすべての取引です。
特商法に違反した際の罰則
特商法に違反した際の罰則は、対象が個人の場合と法人の場合とで罰則内容が異なります。対象が個人の場合、最大で300万円以下の罰金か最大で3年以下の懲役、またはその両方が科せられます。対象が法人の場合、最大で3億円以下の罰金が科せられます。
また、場合によっては刑罰だけでなく行政処分が発せられる可能性もあります。行政処分には改善命令や業務停止命令、業務禁止命令などがあります。さらに特商法に基づいた行政処分が執行された際には、事業者名や処分の内容などが世間に公表されます。このように企業の信用問題に関わることなので、特商法の対象となる取引をしている場合は充分に注意しましょう。
「特定商取引法に基づく表記」の記載方法
ECサイトを運営するうえで必須の情報が「特定商取引法に基づく表記」です。見たことはあっても、実際にどのような内容を記載すべきか知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、記載すべき内容を詳しく解説していきます。
「特定商取引法に基づく表記」に記載すべき内容
ECサイトを運営するにあたり「特定商取引法に基づく表記」のページを用意する必要があります。記載すべき内容は下記の通りです。
・事業者名、運営の責任者名
事業者の法人名や、個人で運営している場合は氏名を記載します。また、法人の場合は販売に関する責任者の氏名を記載する必要があります。
・事業者の住所、電話番号、連絡先のメールアドレス
事業者の本社や、個人の所在地を記載します。電話番号や連絡先のメールアドレスはトラブルがあった際など必要なので、確実に連絡がとれるものを記載しましょう。
・商品の販売価格と、商品以外に必要となる料金の説明
商品の販売価格と、送料や手数料など商品以外に必要となる料金の詳細を記載します。
・商品の引渡し時期
注文を受けた後に、商品が消費者の手元に届くまでの期間や期限を記載します。後払いと前払いで引渡し時期が異なる場合は、その旨も表記しておきましょう。
・支払方法と支払期限
クレジットカードや振り込み、代引きなどECサイトで利用できる支払い方法をすべて記載します。注文を受けてから何日以内に支払うべきかなどの期限もあわせて表記しておくといいでしょう。
・返品、交換、不良に関する対応方法
返品や交換が可能かどうか、また可能な場合は受け取りから何日以内だと対応できるか記載します。とくに食品やオーダーメイドなど、返品不可の商品を販売している場合はその旨を表記しておきます。また、不良品が届いた場合の交換や返金の条件なども記載します。
・資格・免許
免許や許可が必要な商品をECサイトで扱う場合には販売資格を記載します。"
まとめ
今回は特商法の概要と「特定商取引法に基づく表記」の記載方法について解説しました。内容を簡単に下記にまとめます。
▽特商法とは?
消費者と事業者との間で交わされた契約に関して、消費者を保護するために定められた法律です。
▽特商法による規制内容と罰則
→行政規制
・氏名や勧誘目的等の明示義務
・不当な勧誘行為や故意の不告知及び威迫の禁止
・広告の表示義務及び誇大広告等の禁止等の規制
・書面交付義務
→民事ルール
・クーリング・オフ
・意思表示の取り消し
・損害賠償額等の制限
▽特商法に違反した際の罰則
・対象が個人の場合:最大で300万円以下の罰金か最大で3年以下の懲役またはその両方
・対象が法人の場合:最大で3億円以下の罰金
▽「特定商取引法に基づく表記」の記載方法
必要と定められた内容について漏れなく記載しておきましょう。ECサイトの信頼につながるため、消費者が見つけやすい位置にページを表示するようにしてください。
また、特商法についてより詳しく知りたい方は、以下の資料のダウンロードをおすすめします。
この機会に、あらためて特商法について確認しておきましょう。
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