「Amazonマーケットプレイス」に出店してみたいと思っていても、どのようなメリットがあるのかよくわからない、出店する場合はどのようなことに注意すればよいかわからない、このような悩みを抱えている企業や個人事業主は多い。Amazonマーケットプレイスのメリットと注意点について、サヴァリ(株)のECマーケティング事業部マネージャー・大山悠帆氏に聞いた。
「Amazonマーケットプレイス」は個人でも出品可能
Amazonが運営するECプラットフォームのAmazonマーケットプレイスでは、法人はもちろん、個人であっても出品できる。出品者は新品の商品に限らず、中古品、再生品、コレクター商品なども販売することが可能だ。買い物をするユーザーからすると、中古品なども販売されているため、通常よりも安価で購入できるというメリットがある。
出品者にとっては、膨大なAmazonユーザーにアピールできるという魅力がある。一方、Amazonには、在庫の仕入れなしに販売拡大できるというメリットがある。公式のAmazon.comが出品・配送する商品と比べると、信用度が低くなるという側面もあるが、「Amazonマーケットプレイス保証 」というフォロー制度も用意されている。
公式出品者との違いは?
Amazonのショッピングモールでは、公式にAmazonが出品した商品とマーケットプレイスの出品者の商品が、混在した状態で販売されている。ユーザーはどちらなのかを理解した上で買い物を楽しみたいわけだが、どのように見分ければよいのだろうか?
サヴァリ(株)のECマーケティング事業部マネージャー・大山悠帆氏は、次のように解説する。
「Amazonの商品ページには、カートボタンの下あたりに『出荷元』『販売元』の2つの記載があることが多く、Amazonが出品者の場合は『Amazon.co.jp』と記載されています。もし、この表記がない場合であっても、『この商品はAmazon.co.jpが販売、発送します』と表示されていれば、Amazon出品の商品です。一方、マーケットプレイスの出品者の場合、『販売元』の欄が必ずそのショップ名になっています」。
これに加えて、マーケットプレイスの出品者には2種類あるという。その1つが「販売も発送も出品者が行うタイプ」。この場合、出荷元・販売元の両方がショップ名となる。
もう1つは「販売は出品者だが、商品在庫はAmazonの倉庫にあり、注文が入るとAmazonが発送を行うタイプ」。この場合、出荷元がAmazon.co.jp、販売元がショップ名になる。表記がやや異なるケースもあるが、おおよそこのような表記になっているという。
ユーザーが注意すべきポイントとは?
公式のAmazonとの見分け方は理解できたとしても、そもそもサービス内容が異なるため、ユーザーがAmazonマーケットプレイスで買い物をする時に、いくつか点で注意が必要になる。
Amazonでは、カスタマーファーストに基づく対応を重視する。この方針に基づき、支払い方法についても、クレジット・コンビニ払いをはじめ、銀行振り込み、ネットバンキング払いなど多様な方法に対応している。
これに対し、マーケットプレイスでは、全ての出品者に共通して利用できる支払い方法が限定されており、「クレジットカード支払い」と「Amazonギフト券、Amazonショッピングカード」の2種類しかない。
大山氏は「出品者によってはAmazonと同じような支払い方法を用意していることもあり、一概には言えないが、可能な支払方法についてページに記載がない場合は、支払い方法に注意する必要がある」と指摘する。
送料もマーケットプレイスの出品者が決定する。これも、Amazonの出品者と異なる点の1つだ。例えば、プライム会員対象の送料無料サービスなども、購入時に選択できなければ送料無料ではなく、ユーザーは注意しなければならない。
「お急ぎ便なども選択できないか、または、マケプレお急ぎ便として有料サービスとなり、高くつく場合がある」(大山氏)という。送料をめぐるトラブルを未然に防ぐため、注意を払いながら利用することが求められる。
サヴァリ(株)のECマーケティング事業部マネージャー・大山悠帆氏
Amazonマーケットプレイスのメリットとは?
出品者がAmazonマーケットプレイスを利用するメリットは何か?
まず、Amazonの莫大な集客力を活かせることもその1つだ。「Amazonでは月に合計で5000万人以上の訪問者がいると推計され、ECサイト運営で重要となる集客の点で、とても魅力的なサービスといえる」(大山氏)。
ECを展開するうえで集客が重要となるが、自社サイトを立ち上げてスタートする場合と異なり、0からのスタートではないという点も、出店者にとって心強い。
このほか、FBAサービスを利用できることも魅力的。これは、出品者が商品をAmazonのフルフィルメントセンターに預けておけば、注文が入ってから処理・梱包・配送までをAmazonが代行してくれる有料サービス。このサービスを利用することで、初心者でも出品しやすく、初期投資も減らせる。
大山氏は、「業務の負担軽減、カスタマーサービスをはじめ、Amazonプライムの対象商品、専任スタッフの電話・メールでのサポート、出品について基礎から学べるオンライン講座、ショップの分析レポートなど、多くのサービスが用意されていることは大きな強み」と出店のメリットを説明する。
出品手数料は大口と小口の2種類
マーケットプレイスの出品プランには、大口出品と小口出品の2つがある。
大口出品は月額4900円の固定費用を設定。多様な決済プランや分析レポートの利用など、小口出品プランでは利用できないサービスを用意している。毎月50点以上の商品を販売する場合に適したプランだ。
一方、小口出品プランの場合、いくつかのサービスが対象外になるが、月額無料で初期投資も不要。毎月50点未満の出品など、小規模展開に適している。
支払いは、購入商品ごとに100円の手数料と販売手数料のみ。細かい販売手数料は商品カテゴリーによって異なるが、基本的には商品代金の総額(配送料、ギフト包装料を含む)の8~15%程度となっている。
悪質カスタマーから出品者を守る仕組みは不十分
Amazonマーケットプレイスは、システムや集客力が整っているという強みがあり、初心者であっても安心して出品することが可能だ。
その半面、悪質な嫌がらせを行うユーザーから出品者を守る仕組みは不十分だ。大山氏は「そうした点に注意しながら、Amazonマーケットプレイスの利用を検討してほしい」とアドバイスしている。
(通販通信ECMO編集部)
この続きは、通販通信ECMO会員の方のみお読みいただけます。(登録無料)
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。