ダイレクトマーケの”型”習得したい…DM0導入へ
ーーDM0のコンサル導入の経緯や導入前の課題について教えてください。
森永乳業 平山洋介グループ長(以下、平山氏):当社の現在の通販部隊の組織は2020年に立ち上がりました。2021年の後半に約2年が経過するタイミングでこれまでの振り返りをする中で壁に突き当たったという感じでした。というのもまず通販部隊のメンバーそれぞれが、もともとスーパーマーケットなど小売店向けの卸といったBtoBtoCのマーケティングしかやってきていなかったんです。そんな中でいきなり通販部隊に入ったためダイレクトマーケティングに関する知識が少なく、KPIの考え方や見方なども手探り状態でした。
色々と模索するなか、このままのやり方では時間がかかりすぎてしまう、なんとか事業を成長させるための道のりをショートカットがしたいと考え、コンサルの導入を検討しました。いわばコンサルの導入によって時間を買うといいますか。ショートカットするためにも通販を成功させる”型”を習得したいと考えながら、3カ月くらいかけて調べていました。
DM0さんに興味を持ったのは、ネット検索で情報収集をする中で導入事例記事を見つけたことです。記事を見てから何度か田村社長が登壇するセミナーも聴講しました。当社がブレークスルーするには普通の”型”では足りないのではないかと思っていました。そんな中、セミナーで田村社長が紹介されていた施策や事例は、ひとつひとつがどれも非常にレベルの高いものでした。DM0さんは質の高い”型”を多くお持ちだと感じ、助力をお願いしました。お話し自体が面白かったのも決め手の一つです(笑)
DM0田村雅樹社長(以下、田村):ありがとうございます(笑)。最初にお話を頂いたのは2021年の秋ごろでしたね。契約後、「森永ビヒダス 大腸のキホン」の数値を見させていただいて衝撃を受けたのを覚えています。LTVよりCPAが高かったので。「CPAとLTVの数値が逆じゃないか?」と思ったほどで。
平山:はい。お恥ずかしながらそうした状況でした。
田村:とにかくCPAとLTVの状況を逆転させましょう、大きな数字から動かしていきましょう、ということで手を入れていきましたね。新規獲得のテストPDCAが少なく、CPAが高値安定、且つ、初回の定期率が低く全体のLTVが低いという状態でしたので、まずは新規獲得の効率化と定期率の改善から手をつけました。オファーの最適化など獲得面見直しや、チャットボットの改善など手を尽くしました。
平山:LTV観点で最初に手をつけていただいたのはF1時アップセル率でした。たった半年の間でF1時定期購入率が3倍くらいに上がり、LTVに対して非常に大きなインパクトがありました。
アップセルのクリエイティブもDM0さんは何パタンも提案をくれて、数値が改善しても、更に上を目指すために、ブラッシュアップ案を次々に出し、実行へと導いてくれるのがすごく印象的でした。
CPAの観点で言うと、最初はとにかく訴求とクリエイティブパタンの投下によるCTR改善のインパクトが大きかったです。細かいですが、ボット内離脱率の改善も大きかったと思います。CVRとボット内アップセル率を両立させたり、離脱の大きい設問の文言や順番を変えたり、不要な設問を削除するなど細かくチューニングして15%以上ボット内CVRが改善しました。
LTVとCPAを大幅改善→継続率改善に着手
田村:約1年でLTVは倍増、CPAは3割減まで何とか改善できましたね。
平山:はい。導入わずか1年でLTVがCPAを上回る状況が作れました! ユニットエコノミクスの課題の部分がひと段落して、本質的課題である継続率の改善に目を向けることができるようになりました!
田村:そうそう! それで、初期継続を上げるために、まずは顧客理解を実施させていただきました。初回パッケージや継続プログラムで、本格的に継続にメスを入れていきましたね
森永乳業 並木亜希子氏(以下、並木):はい。DM0さんの継続・解約者分析により、「腸内環境の改善」に対する「期待」を高めること、「するっと」の「実感」を上げることが鍵だということが定量的にわかったので、思い切って、初回箱から全てクリエイティブをおまかせすることにしました!
田村:数値に基づいたクリエイティブ設計があるから質の高いアウトプットが提供できたんじゃないかと思います。
並木:小売向けのプロモーションだと、施策がどのように売上やリピート率に影響したのかそうでないのかわかりにくくブランディングの世界を重視しがちな部分がありましたが、DM0さんのクリエイティブはそのすべてに論理的な組み立てがあって、ひとつひとつの打ち手に明確な根拠があって。たとえば継続ツールの場合、最終的に重要なKPIはもちろん継続率なんですが、その手前でお客様の意識とかイメージが変化するというのが中間KPIとして見えていたので、信頼感を持って任せることができました。
田村:お客様に商品イメージを実感してもらったり、メッセージを伝えるうえで、初回箱ってすごく大切だと思うんですよね。弊社ではこれまでも、ていねい通販さん、ロートさん、マナラさん、アテニアさん、ディセンシアさん等、数々の初回箱を手がけていますが、そこを含めて継続全体の世界観を任せてもらえたのは遣り甲斐がありました。刷新された初回パッケージは「するっと直行便」をテーマにした自信作です笑笑 それだけでなく、日別解約率分析からフォローメールのタイミングや内容もすべて精緻化しました!
平山:DM0さんは細かい所に気付かれるのですよね。クリエイティブも一言一言をお客さま目線でこだわりぬく。メールの細かい部分も指摘いただきました。このあたりも意識が大きく変わったポイントですね。
田村:常にお客さま目線でいることは僕がずっと大切にしている姿勢ですからね。この点はDM0らしさかもしれません。継続率も目を見張る成果が出ましたね!
平山:継続率改善でいうと「おまとめエコ配送」の導入も大きかったですね! 初速でおまとめ率70%を超えて本当に驚きました! 継続率の改善はもちろん、配送コストの削減など大きな成果が出ました。
田村: SDGsに取り組む森永さんの姿勢を前面に押し出したのもでかかったですね。
森永さんは解約理由との向き合い方も誠実だったのが印象的です。「『定期覚えなし」の解約理由を減らしたい」と言ってくれたのも非常に共感できました。
平山:アップセル率を上げすぎないようにボット内の表現を調整してくれたり、価格を敢えて上げる提案を実施したりしました。
森永乳業「データに対する意識が大きく変化」
ーーDM0との取り組みの中で印象に残っているエピソードなどあれば教えてください。
平山:おまとめエコ配送のDMが「全日本DM大賞」の銀賞を受賞できたのはとても嬉しかったですね。それ以外ですと、組織全体でデータに対する意識が大きく変わったことです。一緒に取り組みを進めていく中で「数字は嘘をつかない」というのを強く実感しましたね。数字を見て数字で考えて実行したとき、ちゃんと数字が動く。もちろんアクションによって数値が下がってしまうというようなことも起きるのですが、データとちゃんと向き合っていくというのが我々のチームの文化として根付きました。
田村:データの出し方もだいぶ変わってきたと思います。「このデータも追加で必要ですか?」といったことを森永さんから聞かれたりもするようになりましたね。
森永乳業 田辺知香氏(以下、田辺):LTVマップを導入することで、事業構造が把握しやすくなったのも大きかったです。マップを見て、数値を改善するためデータと向き合って狙いを定めてアクションする。数値を動かすためにどこに手を入れればいいかというのがわかるようになったので、本当に感謝しています!
田村:ありがとうございます! ほかにもサンクスクロスやサンクスまとめ、またクレカ率改善などもよく覚えています。
変化の部分でいうと、森永の皆さんの、他ブランドに対する意識もかなり上がってきているように思います。質問も段々高度な内容が増えていって一緒にやりながら非常に楽しいですね。
平山・田辺・並木:ありがとうございます!
森永乳業株式会社のダイレクトマーケティングは第2フェーズへ…売上高を数百億円規模へ
ーー今後の展望はいかがでしょうか。
平山:当社の事業としては第2フェーズに突入という状態かと思っています。市場環境も変化が激しい中で、さらに伸ばしていくためにはお客さま理解に基づいた本質的なマーケティングが求められてきていると強く感じています。そのためにはチャネルの拡大や商品カテゴリの拡充といった部分も必要になってくると思いますし、組織もそれにあわせて変化させていく必要があると感じています。事業としては100億円規模の売上を目指していきたいと考えているなかで、またこれまでとは違った戦略に舵をきらなくてはいけないところですね。
田村:まずは、基幹ブランドで、大きく数値改善ができ、定期者数も事業全体の売上もうなぎ上りな状態を一緒に作れたこと、また、ここで培った信頼関係と自信というのが鍵になると思います。そして、さらに成長スピードを上げていくために、実際、1ブランドではなく複数ブランドで成功例を積み上げていきたいと思っています。また、ブランド横断の事業構造なども支援していく必要があります。身が引締まります!
実際、「ビヒダス 大腸のキホン」での成功例は、他商品にも応用しまくってますもんね笑
平山:DM0さんに指導いただいた”型”を他商品の施策にも活用させていただいています。こちらもおかげさまで順調なのですが・・・
田村:そちらも奏功していて良かったです! 最終的には自走していけるのがベストだと思っていますので笑
平山:そう言っていただきありがとうございます。ただ、正に当初の希望通り”型”を取得してショートカットを実現出来たと思います。ただ、もっと伸ばしていくのは簡単なことじゃないと思っていますので、これからは”型”を破って進化させていかないといけないとも考えている段階です。
田村:ダイレクトマーケティングは総合格闘技化といいますか、トータルで勝負していく時代に突入していると思います。たとえば新規獲得の部分でも、これまでのようにただ広告を出して獲得、というよりもオフラインの店舗だったり、Instagramなど各SNSを上手く使って認知をとった上で、広告での獲得を最適化していくといったように高度化していると思います。
平山:まさにそういった会社さんをベンチマークするようになってきましたね。
田村:より面を広げて1商品だけじゃなく多ブランドの展開で、お客さまのニーズにあわせていくというような全体戦略が求められるようになってきていると思います。
これまで森永さんと当社の関係性は、データ分析をして打ち手を提示するといった伴走型、課題解決型でした。これからは事業全体を伸ばしていくといった一つ上位概念の部分にも携わらせていただきます。ダイレクトマーケティング事業を100億規模への成長をめざして事業展開していく中で伴走できることが楽しみですね。
平山・田辺・並木:はい。よろしくお願いいたします!
田村:こちらこそ引き続きよろしくお願いします!