楽天(株)は17日、都内で開催した「Rakuten EXPO2018」で自社の配送ネットワークで商品を配送する「ワンデリバリー」構想の概要を明らかにした。楽天は今年1月30日に開催された「楽天新春カンファレンス2018」で、すでに独自の配送ネットワークを2年以内に構築する方針を示していたが、今回のEXPOで初めてその内容が公開された。
全出店者が「楽天スーパーロジスティクス」に対応へ
楽天の提唱する「ワンデリバリー」構想とは、商品の注文から商品の配送までを、楽天が一貫して担うこと。楽天がすでに実施している、商品保管から発送までを代行する物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」、独自運営の配送サービス「Rakuten─EXPRESS」、置き場所を指定する配送サービス「置き配」など、既存の配送サービスの対象となる範囲を拡大し、同社のすべての配送・物流サービスや関連企業とデータを連携させ、楽天に関する物流を一元化する。今後は「ワンデリバリー」構想の実現に向けた取り組みを、本格化させる。
「ワンデリバリー」のイメージビデオでは、購入者がさまざまな受取方法を選択し、商品を購入した後も、受け取り時間や場所をスマートフォンで簡単に変更できる点、購買データやAI技術を活用した受注予測、在庫情報の連携により各拠点間の在庫配置を最適化することなどで、物流を効率化する点が強調されていた。
楽天の三木谷浩史会長兼社長は、「置き配のニーズなど、届ける側は受け取る側のことを、まったくわかっていない。現在の宅配の仕組みに、無理が来ている。ワンデリバリーは大きなチャレンジ。やりたいというより、将来のためにやらなければならないこと」とし、自社による物流ネットワーク構築が、商品の配送スピードの向上、楽天出店者の配送コストの縮小、物流の労働力不足の緩和につながると話した。
既存の物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」では、物流を効率化するため、倉庫を省人化・自動化する機器を導入した物流センターを全国に拡大している。現在は楽天市場出店者の一部が同サービスを利用しているが、将来的には全店舗が「楽天スーパーロジスティクス」を利用することを目指す。同サービスを利用した際には、配送費などの経費が既存の物流会社を利用するよりも安い料金体系にする。
物流センター2施設の稼働で全国90%以上をカバー
18年中には千葉県流山市に、19年中には大阪府枚方市に、それぞれ新たな物流センターを稼働させる。新たな2施設が稼働すれば、楽天の持つ物流センターは日本全国の90%以上をカバーすることになる。
新たな物流施設は、日本GLP(株)が開発する大型物流施設。流山の物流センターは、「GLP流山Ⅱ」(千葉県流山市/賃借面積約2.4万坪・地上4階建)の全フロアを賃借し、「Rakuten Fulfillment Center Nagareyama(仮)」としてオープンする予定。
枚方の物流センターでは、「GLP枚方Ⅲ」(大阪府枚方市/賃借面積2.3万坪・地上5階建)の一部を賃借し、「Rakuten Fulfillment Center Hirakata(仮)」としてオープンする。
「Rakuten─EXPRESS」は現在、23区を対象に、書籍ECの「楽天ブックス」と日用品の直販サービス「Rakuten Direct」の商品配送を実施している。年内には関西の主要都市でも実施していくという。将来的には全国での展開を目指す。
三木谷氏「キャリア市場で楽天がトップに」
携帯キャリアの新規参入について三木谷会長兼社長は「楽天市場は将来、85~90%がモバイル経由になってくる。エコシステムの根っこであるモバイルサービスを抑えたい。日本人の半分ぐらいが楽天のモバイルネットワークを使っているという世界を実現して、モバイル利用者の全員を楽天市場に連れてくる。ソフトバンク、NTTドコモ、KDDIでなく、トップに楽天が来る。そこにショッピングやグループの各種サービスを紐付けたい。これは絵空事でなく、実現の可能性が高い」と話し、携帯キャリア市場でもトップを目指す方針を掲げた。
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