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通販通信ECMOニュース・記事コラム★成功ネットショップ:『革小物専門店Cカンパニー』(1)

2012.02.17 コラム

★成功ネットショップ:『革小物専門店Cカンパニー』(1)

「直販だからできる」に全力を注ぐ、革小物専門店

 厳しい経済状況が続いている中小製造業の、ネット直販への関心は高い。製品には自信がある、しかし、これまでに経験のしたことのない『販売』というハードルをどのように超えればよいのか。中小製造業からネット販売に乗り出したECサイトの運営者に、成功・失敗から学んだこと、具体的なマーケティング施策などを聞いた。


 2000年にオープンした『Cカンパニー』は、システム手帳をはじめ、財布、名刺入れなどを企画製造販売する革小物専門店。全商品の企画やデザインを担当しているのは、店主でもある佐藤明美さんだ。1959年、先代の父がバッグ職人として独立以降、製造業、製造卸売業へと着実に歩みを進め、父の夢だった「いつかお店を持ちたい」を娘の佐藤さんが叶える形でネットショップをオープンした。



 製造業がネットショップを通して直販する大きなメリットのひとつが、お客さまの意見を商品にダイレクトに反映できること。つまり、一度発売した商品をお客さまの意見を取り入れ改良を重ね、再び、世に出せるのだ。仕入れ商品を販売しているお店と決定的に違う強みだ。

「ネットショップを始めるまで、営業から聞こえてきた声といえば、商品が売れたか、売れないかだけ。でも、私が知りたかったのは、実際の使い勝手でした。何が気に入ったのか、どこに不満があるのか。今は、それが分かります。常連のお客さまが、メールなどで商品の感想や意見を述べてくれますから。それを、モノ作りのヒントにしています」

その代表例がシステム手帳だ。一般的な手帳のペンホルダーは右側についている。しかし、実際に右側を下にして使ってみると、凹凸が「モノを書くとき邪魔になる」と感じることがある。その意見を反映したのが、左側にペンホルダーを移動したシステム手帳だ。お客さまの声をそのまま反映するだけではなく、佐藤さんは、自らの感覚でデザインの幅を広げていく。

「ペンホルダー同様、ベルトも、モノを書くとき邪魔になりやすいので、ベルトホルダーを作り、そのなかに収納できるようにしました。実際、販売してみたところ、左利きのお客さまにも好評でした」

 他にも、ペンホルダーが必要ない場合は革の切り込みに目いっぱいしまえるようにした手帳や、「手帳にカード入れは必要ない」という声から生まれた、メモホルダーのみのシンプル設計にした手帳など、お客さまの声をヒントに、細かい部分まで使い勝手の良さを追求したさまざまなタイプの手帳を用意している。

 

“作ったそのあと”まで意識して商品作り、サイト作りを

 お客さまの声を商品に反映させれば、即、売り上げに結びつく、というほど甘いものではない。佐藤さんはこう振り返る。

「『使い勝手が良く、質が高いモノを作る』というのは、いわば、スタート地点に立ったに過ぎません。どこかに卸してあとは売ってもらう卸売業のスタンスでお店をやっていてはダメ。こちらから積極的に“仕掛け”る姿勢が大事なんだと痛感しました」

 同社は、東急ハンズやロフトなどにも製品を卸している。佐藤さんは、機会があれば店頭に足を運び、お客さまが、どういうときに商品を手に取るのか推測していった。

「たとえば、男性用の財布を買うとき、カップルで財布を選びに来て、彼女の方が『これ、いいね』って言った一言が、購入を後押しすることってありますよね。ECサイトで商品を選ぶ場合も同じで、一緒に画面を見ながら購入ボタンを押す可能性がある。ならば、男性向け商品も、女性の視点を取り入れてサイト作りをしたらどうかと。たとえば、おしゃれなスーツを着た男性が財布を使っているシーンを商品写真のメインに使ってみるなど、リアル店舗の“手に取りたい”を、サイトで表現したいと思いました」



 B to Bの視点から、B to Cの視点へ。佐藤さんの意識が大きく変わったのだ。つい最近、同店では、「クリスマススペシャルフェア」を開催した。ギフト包装の無料、名入れ刻印の半額のサービスを期間限定で実施したところ好評だった。佐藤さんのイベント企画は、お客さまにとって、どのようなサービスが嬉しいのか、買いたい気持ちを後押しするのかを考えて開催する。今でこそ当然の感覚だが、サイトオープン直後の“作ること”でいっぱいだった佐藤さんにとって、“作ったあと”まで考えるのは、まさに手探りの連続だった。

 

自店の商品に合う販促活動をすればいい

 セールを開催する、メルマガを発行する、イベントを計画する。他店を参考にしながら、ひととおりのことはトライした。結果、佐藤さんは実感したことがある。

「何より大事なのは、自社商品の特性を見極めて戦略を立てるべきということ。たとえば、アウトレットセール。もともと、うちの商品は職人の手作り品なので安売り前提でモノ作りはしません。それでも、革そのものの生産が終了したため廃番になる商品や、リアル店舗で展示品として飾られていた状態の良いものなど、多少値を下げてでも売り切ってしまいたい商品はある。それをセールしたところ、まったく売れなかったんです。セール=(自分たちは)忙しいというイメージがありましたから拍子抜けでした。うちに来店してくださるお客さまは、安いだけものを求めているわけではないんだと実感しました」

 メルマガは週に1回は発行するというネットショップの“常識”も、Cカンパニーでは当てはまらなかった。Cカンパニーの主力商品である手帳や財布などは、基本的に1年に1度しか新製品を発表しない。そういうお店が、週に1回メルマガを発行したところで、ネタが尽きるのがオチなのだ。

「手を変え、品を変え、いろいろなメルマガを書いてみましたが、新商品の情報をアップしたときのメルマガのみ顕著な反応があります。毎週のように新しい仕入れ商品があるお店なら別ですけど、うちのようなスタイルで製造と販売をしているお店のメルマガは、新商品が出るとき、イベントを開催するときなどに限定して送れば十分だと思うようになりました」

 

一度は楽天市場を撤退

 現在、本店(独自ドメイン)と楽天市場の2店舗を運営しているCカンパニー。実は、楽天市場は、“二度目”の出店だ。はじめは本店をオープン後、しばらくして楽天へ出店するも、2004年に撤退した。

「手が回らなかった。その一言に尽きます。実は私、商品の企画デザイン以外にも、サイト制作や更新作業、メルマガ執筆など、商品の出荷以外の業務は、ほぼひとりでやっているんです。2004年は、ブロードバンドが一般化した時期で、注文が一気に増えた頃でした。とてもじゃないけど、楽天まで運営するのは無理がありました」

 なにもかも自力でやることに限界を感じた佐藤さんは、パートを増やす、サイト制作を外注に出すなどして、対応しようと試みた。

 ところが、どちらも、“泥沼”にはまりこんでいくのである。(続く)



(出典:ASCII.jp - Web Professional

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Cカンパニー

http://www.hot-c.com/
http://www.rakuten.co.jp/ccompanystore/
ECサイトを2000年(前身は1959年創業)にオープンしたシーカンパニーが運営する革小物専門店。独自ドメインの本店と楽天に出店している。2012年には上海に進出予定。
・運営会社:株式会社シーカンパニー
・オープン:2000年
・従業員数:11名(うちネット通販事業専業2〜3名)
・年商:非公開
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