「ネットで売れない」を変えた 常識破りの商品戦略
ECサイトには不向き」の代表格とされてきたメガネ。レンズの度数が分からない、フィッティングができないことなどから、「買いにくい」と思われやすい商材だ。 それを払しょくするため、JINSブランドを展開するジェイアイエヌがまず始めたのが、ECサイトだけで完結させることにこだわらず、全国に146店舗ある実店舗も活用しながら、「ネットも、店舗も」行き来できるしくみを作ったことだ。その象徴が、「レンズ交換券」を同封して送付するサービスだ。 「ECサイトでお気に入りのフレームを選び、注文画面内で『レンズ交換券同封』にチェックを入れて購入したお客さまには、メガネフレームとレンズ交換券をご自宅にお届けします。それを持って最寄りの店舗に足を運んでいただければ、度付きのレンズを提供するサービスです。今まで使っていたメガネを持参していただければ、それと同じ度数のレンズにもできますし、改めて視力測定をして新規にレンズも作れます」(アイウエア事業部Eコマースグループマネジャー 新井 仁氏)。
これは、4990円、5990円、7990円、9990円の料金体系にレンズ代が含まれ、度数が強い人でも追加料金0円というシンプルなシステムだからこそ、提供できるサービスだ。メガネの度数を知らなくても気軽に購入できる意味では、ギフト需要も見込めるだろう。 「ネット上で完結できないことは、実店舗と連動してフォローしていけばいい。そう考えて始めたサービスですが、評判は上々でした。実店舗は特に土日は混雑するので、ECサイトでゆっくりと好みのフレームを選んでおき、お店ではレンズ交換のみで済ませる使い方をするお客さまもいらっしゃいます。また、実店舗があるからこそ、ECサイトでも安心して買い物できると感じてくださるお客さまも多いようです」
斬新な商品開発でネットの売り上げも後押し!
フィッティングができない、というECサイトの弱みは、商品開発力により、かなりカバーされたと言える。例えば、前回お伝えした、樹脂素材で軽量なメガネ「Air frame(エア・フレーム)」は、フレームそのものが柔らかく、弾力性や復元性があるので、自然に人の顔にフィットしやすい。フィッティングに神経質にならずに済むところが、ECサイトの販売に向いている商品なのだ。 「1本目は、どんな商品か分からないゆえ、実店舗に出向いてかけ心地を確かめてから購入した人が、2本目以降は、わざわざお店に行く必要がないからとネットで買うパターンは非常に多いです」 さらに、そもそも度付きレンズの必要ないメガネ、いわゆる伊達メガネだけでなく、視力補正が必要のない人向けの商品も開発し、「機能性アイウエア」と銘打って多彩なラインアップを揃えていった。その軸になるのが、「プロテクトシリーズ」と「スポーツシリーズ」だ。
「プロテクトシリーズ」は、パソコン専用、ドライアイ専用など、機能に特化したメガネのこと。例えば、「パソコンにはメガネ、という新習慣。」というキャッチコピーが目を引く「JINS PC」。LEDディスプレイの普及により、ブルーライトに接触する機会が増えたが、これが、今まで以上に目がかすむ、疲れる、重いなどの症状を引き起こす可能性があると言われている。 このブルーライトをカットし、目の疲労を和らげることを目的にしているのが、「JINS PC」だ。日本マイクロソフトをはじめ、社員用にすでに導入している企業もあるほど、注目度は高い。
「ドライアイのお客さまに好評なのが『JINS Moisture』です。フレームの側面にある着脱可能な水の入った容器、ウォーター・ポケットの細かな穴から水が蒸発し、眼の周囲に適度な湿気を保つように開発されたメガネです。もちろんフレームはエア・フレームです」
「スポーツシリーズ」では、プロゴルファーと共同開発した、芝目や傾斜がよく見えるゴルフ専用サングラス「JINS GOLF」、走りに適したランニング専用サングラス「JINS Run」、風、塵、砂ぼこり、紫外線、衝撃などから目を守る自転車専用サングラス「JINS Cycle」など、スポーツごとに特化したラインアップを続々と発売した。
「プロテクトシリーズ」も「スポーツシリーズ」も、度なしが基本。サングラス感覚でかけられるので、ネット販売にはぴったりだ。 「実は、これらのシリーズは、メガネ市場が年々縮小している中で、今後拡大する可能性を考えて開発したメガネでもあるんです。そもそも視力補正を必要としない人達の人口も多く、視力補正が必要な人でも最近はレーシック手術を受ける人が急増し、メガネやコンタクトレンズが不要になった人もたくさんいます。そういう人にも欲しいメガネって何だろう、と考えた答えが機能やスポーツに特化したメガネでした。結果として、度がないサングラスタイプなので、ネットから気軽に購入してくださるお客さまが増えたんです」 以前から、ファッションの一部としての伊達メガネに興味を持つ若い層はいたが、「プロテクトシリーズ」や「スポーツシリーズ」のおかげで、年代問わず、幅広い層に受け入れてもらえるようになった。もともとあった潜在需要を掘り起こしたことが、人気に火がつき、ネットの購入率アップにも結びついたといえるだろう。
Facebookからの集客が大幅にアップ
商品やサービスが優れていても、“集客”ができなければ売り上げは見込めない。同社は、2009年の9月以降、実店舗を精力的に拡大したり、著名人を起用したテレビCMを大量に流すなどして、ブランドイメージの向上にも注力してきた。それは、当然ながら、ECサイトの集客にもおおいに結びついている。 ECサイト独自の集客策として大きな効果があったのが、ソーシャルメディアの活用だ。なかでも、昨年12月に、Facebookで試みたクリスマスキャンペーンの反響は大きかった。 「JINSのFacebookページを『いいね!』ボタンを押してくださった方に対し、ECサイトのみで使えるクーポンをお配りしたんです。商品価格から1000円オフにするというクーポンだったのですが、それまで4500人だったファンが、キャンペーン終了時には1万人を超えるまでに一気に増えました。しかも、クーポン利用率も、12月の全売り上げの2割を占めたんです。正直、こんなに手応えがあるとは思いませんでした。今後は、もっとソーシャルメディアに力を入れた企画をたくさん打ち出していきたいですね」 ECサイトへの集客という意味では、メガネを“試着”できるという画期的なサービスを3月から開始した。次回で詳しくお伝えしよう。(続く)
(出典:ASCII.jp - Web Professional) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― JINS http://www.jins-jp.com/ http://www.rakuten.co.jp/jins-ec/ http://bidders.jp/user/26436262/ 運営会社:株式会社ジェイアイエヌ オープン:2007年(創業1988年) 従業員数:1096名(2011年8月) 年商:146億円(2011年8月) 1988年、群馬県前橋市に、服飾雑貨並びに生活雑貨の企画・製造・卸売を目的に、有限会社ジェイアイエヌを設立し、2001年よりアイウエア事業を開始。2006年、大阪証券取引所ヘラクレス(現JASDAQ)に株式を上場。2010年、中国遼寧省瀋陽市に海外第1号店「JINS瀋陽店」を出店し、海外へ進出。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
★成功ネットショップ:『JINS』(1)
★成功ネットショップ:『JINS』(3) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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