2人の著者が、800店のコンサルティング経験で得た、取扱商品ごとの成功パターンと販売ノウハウを余すことなく公開。ネットショップ運営者だけでなく、広告担当者、デザイナー、ライター必見の一冊である。

　「ネットショップのあらゆる売上アップ法を体系立て、一冊にまとめる」というコンセプトのもと、ネットショップの販売施策を「集客・接客・追客（リピート促進）」に明確に分類し、各章で解説。ネットショップを開業する人や、現存のネットショップの売り上げを伸ばしたい人など、EC業界にかかわる人にとっては、自身のビジネスに取り入れやすい「教科書」的な構成となっている。また、フルカラーで図解や表、キャプチャ画面ふんだんに掲載しており、分かりやすく読み進めることができる。

　第1章「ショップ運営の全体像を把握」、第2章「集客」、第3章「接客」、第4章「追客」、第5章「ショップ運営の実務上の要点」の全5章で構成。

　第１章では、「空回りしないためのネットショップの基本の法則」として、ネットショップのあらゆる販売施策はすべて「集客・接客・追客（リピート促進）」にあてはまることを分かりやすく解説。また、ネットショップでの取扱商品を4タイプ「有名ブランド」「総合」「ニッチ」「オリジナル」に分け、各タイプの強みを生かした集客・接客・追客の方法を詳しく紹介している。

　第２章では、「商品タイプを踏まえた集客の法則」として、SEOやリスティング広告、純広告での効果的な集客方法を公開。検索エンジン側の意向を先読みして手を打つ「SEO対策」や、条件反射的に消費者の注意をひく「『パブロフの犬』的な広告原稿の作り方」など、経験に裏打ちされた知識と情報が余すことなく詰まっている。全５章のなかで、もっとも読み応えのある章である。

　第３章は、「店舗コンセプトを生かした接客の法則」の解説。店と商品の魅力を端的にまとめて、消費者に分かりやすく伝え、スムーズに購入へと導く方法や、「『客層、購入動機』をイメージしたキャッチコピーの作り方」を画像をまじえて丁寧に紹介。さらに、「店舗コンセプトをデザインに反映する方法」として、「客層にはまるファッション雑誌の、色使いや言葉使いを参考にするといい」とアドバイスしている。

　第４章は、「『長く売れる』ための追客の法則」。集客・接客に成功して獲得した購入客をリピート客へと育てる施策を講じている。なかでも参考になるのは、メルマガの書き方を詳細に記載している点。著者がメルマガ1通で5倍以上の売り上げに導いた実力を持つライターだけに、「開封率を高める件名」「読みやすいメルマガのレイアウト」など、“メルマガの虎の巻”ともいえる内容となっている。

　このほか、「価格競争とうまくつきあう方法」や、すぐに実践できて売り上げが伸びる「有名店の定番テクニック」、商品タイプ別の「開業・運営ノウハウ」、自身の店のタイプをチェックする「タイプ診断ツール（無料）」も掲載。

　ネットショップを始めたもののなかなか成果が出ず、何を優先すればいいのか分からない人は、この本を読むことで混乱していた頭がすっきりし、優先順位が明確になり、空回りしていた歯車がカチリと噛み合うはずだ。また、ネットショップ運営の基本が、成長段階に合わせて明確に整理されているため、「社内研修」にも最適。難点をあげるとすれば、スキャン画像の字が細かく、少し読みづらい点ぐらいだろうか。

売れるネットショップ開業・運営 eコマース担当者・店長が身につけておくべき新・100の法則。

【著者プロフィール】――――――――――――――――――――――――――――――――――

坂本 悟史(さかもと さとし) コマースデザイン株式会社 代表取締役。楽天㈱にてマーケティングおよびECコンサルタント（ECC）業務に従事。担当したネットショップは累計800店以上。数多くのヒット商品・人気店舗の誕生に貢献した。2008年2月にコマースデザイン株式会社を設立。企業の大小を問わず、商品特性を踏まえたECコンサルティングや商品企画を多数行う。企業内コンサルにアドバイスを行う「コンサルのコンサル」や、複数のASPから表彰されたトップアフィリエイターとしての一面もある。 川村　トモエ(かわむら ともえ) コマースデザイン株式会社 取締役。コピーライター。キャッチコピーやメルマガなど、主にライティング全般を担当。商品・ショップに合わせて書き分けるメルマガは、一通でそれまでの5倍以上の売り上げを記録するなどの成功事例も多い。無名商品の企画や再生も手がける。徹底した商品リサーチと独自メソッドから、アピールポイントを導き出して効果的なキャッチコピーを量産、人気商品の育成に貢献している。