1999年、日本で最初の「アフィリエイト・サービス・プロバイダー(以下ASP)」として誕生したバリューコマース(東京都港区)。主力事業のECサイトを対象とした成果報酬型広告「アフィリエイトサービス」では、約2,000社の提携広告主と、約100万のアフィリエイトサイトを有し、アフィリエイト・ネットワークの業界で最大規模を誇っている。今回は、同社がサービス開始から15年にわたって蓄積した実績とデータを基に、アフィリエイト業界の現状と、アフィリエイトで成果を上げるためのノウハウ、そして新たな戦略について、同社営業企画部セールス企画チームリーダーの小坂洋輔氏に話を聞いた。
広告主とアフィリエイターの両者に価値をもたらす
1999年、日本で初めて成果報酬型広告「アフィリエイトプログラム」を開始し、業界のリーディングカンパニーとして進化を遂げてきたバリューコマース。 現在は、 (1)「アフィリエイトプログラム」 (2)オンラインモールに出店するストア向けの検索連動型広告「ストアマッチサービス」 (3)自社運営のキャッシュバックサイト「バリューポイントクラブ」 (4)「スマートフォンアプリのプラットフォーム事業」 などの事業を展開し、EC市場の拡大とともに中長期的な利益成長を続けている。25年度の連結売上は前期比26.4%増の120億1,339万円となり、業績も好調だ。 同社の最大の柱といえる「アフェリエイトプログラム」とは、商品やサービスをウェブサイト上で販売している企業(広告主)の広告を、法人・個人が自身のアフィリエイトサイトに掲載し、成果(商品購入、会員登録、クリック数等)に応じて報酬を得るサービス。バリューコマースは、主に金融や旅行、化粧品、健康食品、ファッションなどのショッピング分野における成果型広告出稿に強みをもち、現在は約2,000社の広告主と、約100万の有力なアフィリエイトサイトが登録。これは、アフィリエイト業界でも最大級の規模である。 「弊社のアフィリエイトサービスの特徴は、広告主、アフィリエイターともに、とても質が高いことです。登録の際、厳しい審査を設けることで、広告主とアフィリエイターの両者に価値をもたらす関係を築いています」。
中小企業がアフィリエイトで成果をあげる方法
近年のアフィリエイト業界の傾向について、小坂氏は「アフィリエイトのマーケット自体は、EC市場やネット広告市場の伸びに従い、年々成長しています。今までは比較的大手のクライアントが、手法として使う機会が多かったのですが、最近では中小企業や個人事業主のお客様も徐々にアフィリエイトに興味を持ち始めている状況です」と語る。
規模の小さい中小企業では、担当者を置いたり、アフィリエイトに時間を割くことが難しく、売り上げを伸ばしていくことは難しいようにも感じるが、 「事業規模が小さくても、成功されているクライアントさんは沢山いらっしゃいます。やはり当たり前のことをきちんとやっていただくことが大切ですね。例えば、報酬設定を他社よりも高く設定する、広告素材を豊富にそろえる、情報発信をこまめにするということ。こういったことの積み重ねが、リレーションのマーケティングになります。アフィリエイターとつながりを強くしていくことで、徐々にネットワークができて、3カ月から半年ほどで一定の売り上げが出せるようになります」という。 また、気になる効果については、3カ月ほどで「自社のECサイトに集客してくれるアフィリエイトサイトの傾向が分かる」とのこと。「『売り上げが高いサイト』『新規のお客様を沢山運んでくれるサイト』『売りたい商品をすぐに売ってくれるサイト』と、いろいろな傾向が見えてきます。そこに対して特別な報酬や特典、キャンペーンを提供することで、売り上げをさらに上げることが可能になるのです」。 実際、どの程度売り上げが伸びるのか聞いてみると、「すでにECを運営している広告主であれば、『今の売り上げの30~50%の上積みができると思ってください』とお伝えしています」。これは、同社がこれまでの様々な業種のクライアントのデータを分析した結果、導き出された平均的なパターンだという。
新プラン、低コストの「ライトプラン」を発表
■中小企業のコンサルティングとサポートを強化 アフィリエイトが売り上げを伸ばす有力なツールになることが分かっても、実際に始めるにはやはり、コストや手間、知識不足などの心配が出てくるのも事実。そこで、バリューコマースは「気軽にアフィリエイトを試してもらおう」と、中小企業を対象にした新プラン「ライトプラン」(4月25日~7月22日)を期間限定で試験的に行っている。 「今までアフィリエイトをやってみたいなと思っても、初回入金額や月にかかるランニングコストが障害となって踏みとどまるケースが多くありました。特に中小企業にとっては、コスト面から参入しづらい点があったので、『ライトプラン』を出して、クレジットカード決済の導入で、初期登録費用0円、月額料金3万5000円(通常のベーシックプランは5万円)とぐんと下げたシステムを作りました。気軽に『じゃ、まずやってみよう』と始めていただき、私たちがしっかりと運営をサポートして売り上げを上げていただく。これは、アフィリエイト業界では初めての取り組みで、今後の強みになると自負しています」。 これまでバリューコマースでは、機能やシステムよりも、人のリレーションや提案力、コンサルティング力を重視し、大手クライアントに一人の担当者がついて、課題を見つけ施策を提案するスタイルが特徴だった。しかし、今後はこれまでのスタイルに加えて「インターネット広告をやってみたい」という中小企業に、気軽に始めてもらい成功へと導く「サポートの充実」も積極的に打ち出していく。 ちなみに「ライトプラン」は予想以上に好評で、予想を5倍近く上回る申し込みがきているという。
売り上げを伸ばすセミナーや動画配信を強化
さらに今年1月、同社は新規顧客の取り込みを目指し、広告主とアフィリエイターが安心して始められる環境整備にも力を入れ始めた。 企業に対しては、オンライン上でアフィリエイト広告の基礎的な運用方法などを「初級編」「中級編」「上級編」に分けて紹介する動画コンテンツを用意しているほか、企業向けの無料セミナーも月3回開催。セミナーでは「売り上げを上げるネットワークの使い方」や「アフィリエイターとのリレーション強化の方法」などを紹介し、毎回多くの広告主が参加する。 アフィリエイターに対しても、月3回程度、無料セミナーを実施。「初心者向けアフィリエイト基礎セミナー」「ブログ開始1カ月目から報酬ゲット!セミナー」「目指せ報酬10万円突破!セミナー」などを開催し、サイトテーマの決め方や競合サイト調査のポイント、コンテンツの見直しの仕方などを目的別に分かりやすく解説。なかでも「10万円突破セミナー」は、毎回申し込みが殺到する人気ぶりだ。今後は、全国各地でのセミナーや勉強会の開催を目指していく。
アフィリエイターと良好な関係を続き、売り上げを上げるために
広告主がアフィリエイターに飽きられず、良好な関係を長く続ける秘訣としては、「アフィリエイターは報酬の高さはもちろん、商品のブランド認知度、注文発生後の承認率を総合的にみて、優先するクライアントを決めています。そのため、よい条件を一つでも多く提案することで、自社ECを優先的に選んでもらえる関係性を築くことができます。 例えば、雑貨やファッションでは、ブロガーさんに商品を貸し出したり、プレゼントするケースがあります。実際に使っていただいて、使い勝手や感想をレビューに書いてもらうことでアフィリエイターとの関係性が深まり、かつ今まで入ってこなかったようなユーザーの流入や、新規顧客の獲得につながるのです。この施策は今後も盛り上がっていくと思います」。 また、近年では、スマートフォンなどのデバイスの変化に従って、若い人がアクションしやすい商品単価が低めのファッション関連や、スマートフォンで予約ができる旅行関連など、今までになかったものも伸びてきている。こういった、時代のニーズとデバイスの変化に合わせた施策も、有力なアフィリエイターに飽きられず、良好な関係を長持ちさせる方法だという。
「近年、ネット広告には、アトリビューション分析やDSP、SSPと、いろいろな手法が出てきて、広告主が広告を選ぶ際の選択肢が広がりました。しかし、やはり広告主は成果報酬型、コンバージョンで見たい気持ちが強いので、アフィリエイト広告はこれからも切り離せない手法であることには変わりありません。むしろ、スマートフォンなどのデバイスの変化によって可能性はさらに広がっています。今後も厳正な審査を行い、有益かつ質の高いネットワーク環境を引き続き整えていきたい」と、アフィリエイト業界のさらなる発展に向けた新たなアクションに熱意を見せた。
(文章:三国雅子)
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■会社名:バリューコマース株式会社 ■設立:1996年 ■URL:http://www.valuecommerce.co.jp/ ======================================
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