『ビーレジェンドプロテイン』や『豆乳クッキーダイエット』の開発にかかわるなど、数々のヒット商品を生み出してきた通販コンサルタントの岡崎太郎さん。自らの経験に裏打ちされた『通販の成功セオリー』は、数多くの事業者を惹き付けてやみません。前回より、全ての通販事業者にとって重要ながら、その多くがうまくいっていない『CRM』について、なぜダメなのか? うまくいくには? という両面から説明してもらっています。 第二回は、じゃあどこから始めたら良いの? という実践的なお話です。
全部一気にやろうと思わなくて良い! できるところからコツコツと
前回は、CRMの意味と基本的な考え方について説明しました。今回はより実践的なお話をしたいと思います。 すでにCRMに取り組んでいる企業も、これから始めますという企業も、もしお客様とのコミュニケーションがうまくいっていないと思うのであれば、そうした問題や課題を一つずつ洗い出して行くことが、CRMを成功に導いて行く秘訣です。 真剣にお客様のことを考えるのだから、課題はたくさん出てくるかもしれません。でも、もしたくさん出てきたとしても、一気に全部解決に持って行こうと思う必要はなく、出来るところからひとつずつ答えを出し、一番効果が高いところを重点的にやっていく。これが最も早く、そして効果的にお客様との関係性を良いものしていく方法だと私は考えます。
「私たちのことを分かってほしいし、できればお客様のことも分かってあげたい」。これがCRM
結局のところCRMに取り組む理由というのは、「分かってほしい」ということなんです。私たちがどうして会社をやっていて、こういう商品を作っているのか分かってほしいし、できればお客様のことも知りたい理解したい。お互いに「分かり合う」ことで、関係性がどんどん強くなっていくから、それが信頼へとつながっていく。こういう良い循環を作っていくことが、CRMの本質です。 製品に広告や店舗などのデザイン、また企業姿勢やズバリ経営者に好感をもっているお客様に突然、「売り売りのセールス電話」をしたら、お客様はどう感じるでしょう。 わざわざ売込みの電話ありがとうと感謝してくれるでしょうか? それとも裏切られたと感じるでしょうか? 企業と消費者、お互いが同じポイントに価値を見出して、「この会社は言わなくても分かってくれる」「よくわかっている」と信頼しているからこそファンが生まれるのです。これが関係性というもの。世界中に熱狂的なファンを多く抱える、アップルやスターバックスが良い例でしょう。 でも多くの会社は、簡単にはこうはなれません。だからこそ、自分たちの思いをしっかり伝え、お客さんの気持ちも理解しようと一生懸命コミュニケーションし、関係性を作っていく必要があるのです。
見せかけのポーズはいらない。表面的な言葉よりも大切なのは、その時々の本心
分かり合いたいとか、分かってほしい。これは対お客様に限った話ではなく、社内においてもできていない企業が多過ぎます。 どういう目的で会社を設立し、何を目指して行きたいのかといったポリシーを公開する企業が多くありますが、以前私はそれが苦手でした。見る度に違和感しかないので。 「社長、本当にそんなこと思っていますか?」「これ何年前に書いたんですか?」。そう聞いて回ったものです。話を聞くたびに、大半が「ポーズ」で書かれているんだなぁとやはり違和感になりました。
「3年前に書いたもの」と言われると、「今でもそう思っていますか?」と質問しました。「ええ、もちろん。」3年間も言い続けていると意外と板について、それが普通になっていくのでしょう。でも私は、普通だと思っていることを疑う、常識だと思っていることを疑うことが大切だと考えています。だって、本来は思ってもいなかったことだけれど、言い続けているうちにそう思っている気がする、ということもあるかもしれないですからね。 都度自問自答し、これで間違いないか、いや今はそうは思わないと、会社の現在位置を確認していかないと、そもそもお客様のことを理解することなんてできないでしょう。 多くの社長が、「お客様、社員、世の中を思い、良い会社にしていきたい」と言います。では、「良い会社」ってどういう会社でしょうか? 「社員を思っている」と言いますが、どのように、どれくらい思っているのでしょうか? あそこの席に座っている社員の方のフルネームが言えますか? 書けますか? 家族構成は? 好きな食べ物は? ほとんどが答えられないでしょう。 これで、「社員を思っている」と言えるのでしょうか? なぜ大半の社長がそう答えるのかというと、こう言えば社会的に間違いがないことが多いからですね。 これはCRMにも通じるところがあります。言葉だけが一人歩きし、「CRMをちゃんとしたら会社が儲かるよね」と考えている企業があまりに多過ぎます。もちろん、ちゃんとしたらお客様に継続的にファンになってもらえるので、最終的には儲かるでしょう。でも、「儲かるよね」が一番前になっては、必ずお客様にバレてしまいます。透けて見えちゃうのです。そんな姿勢では働いている社員もかわいそうです。 うちの会社は、CRMの目的を本質的に見失っていないだろうかと、ぜひこの機会に見直してみてはいかがでしょうか?
(取材、構成:公文紫都)
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■岡崎太郎(おかざき たろう)氏
■URL:岡崎太郎オフィシャルサイト
1970年生まれ、福岡在住の通販コンサルタント。 著書は通販マーケティングからリーダーシップに自己啓発まで17冊を数える。 商品開発には定評があり100種類を超えるサプリや化粧品の開発にかかわる。 単品で100億円を年間に売り上げたモンスター商材もある。 2001年から主催するitm通販勉強会は東京と福岡で月に一回開催されている。
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