理系博士コンサルタント・栗山雄司のコラム 「販売重視型の健康食品OEM製造＆原料開発」より

ここ最近、秋のドラックストアの棚取りの関係上、新機能性表示制度への対応について見解を求められることが増えています。ドライに調査書が回ってくることもあります。あまりに漠然とし過ぎていて答えることができない調査書も少なくないですね・・・。まあ、まだまだ詳細が不明瞭ですから。

今回は、中間の指針報告として新機能性表示制度への対応についての見解を述べたいと思います。 新機能性表示制度には、弊社原料も対応していかなければならないと考えています。ヒト臨床試験の実施も検討しております。ナチュラルメディシン・データベースなどの関係を考慮して、まずは赤ワインエキスからと考えています。 一方、まだ明確な試験条件が示されていないため、正直、どのタイミングでプロトコールなどを確定しようか迷っています。そんな状況です。 仲の良い原料会社さんの中には、すでに弊社と同じような指針で動き始めている会社さんもあります。このコストは、初年度でペイはできなくても、データの有無で長期的に差が出てくると思うので、データがない場合、ヒト臨床試験の実施は避けられないのでしょう。 ちなみに、単味処方であれば、原料メーカーのエビデンスは利用しやすいと思います。一方、複合処方は、各成分の相互作用を加味しなければならないので、安全性情報のエビデンス（同等性を示すデータなど）が必要でしょうね。 現在、市場にある多くの商品は、複合処方が大部分を占めます。新機能性表示制度の商品は、この部分でかなり新規参入のハードルを上げてしまう可能性もあります。関与成分の安定性試験なども必須になると考えられるので、結構なコストになると思います。 （ビルベリーエキスのアントシアニジンなど、ソフトカプセルに乳化して配合されている関与成分は、安定化しにくいです。また、ソフトカプセルの基材油などは、どう取り扱われるか疑問です。剤形でも有利不利が生じ、ソフトカプセルの設備を持つ受託製造加工会社などは、死活問題になりかねません。） 何れにしろ、市場動向をいち早く察知しながら、的確な対応を取っていきたいと思います。 引き続き、弊社原料製品のご愛顧、何卒よろしくお願い申し上げます。

（９月１６日時点の見解）

======================================

■プロフィール 理系博士コンサルタント・栗山雄司 博士(水産学)、食品保健指導士、健康管理士。富山県滑川市出身。 (株)アンチエイジング・プロに所属し、健康食品の商品戦略と販売戦略のコンサルを行っている。

======================================

【関連コラム】 支持され続ける「生き残るスムージー」商品の条件 新機能性表示制度、大手広告代理店の動向は？ 新・機能性表示制度で「表示できます」と断言、その根拠は？ 消えるスムージー、次の流行はココナッツオイル？ライスミルク？ 特許の嘘とマーケティング面から見た特許戦略 新機能性表示のコスト負担と販売戦略 中国に輸出できる酵素商品 バストアップサプリとプエラリア（葛）花抽出物 包装仕様・デザインとマーケティング マカの価格高騰と中国向け商品 健康食品通販会社の最新動向：利益重視の内販型に