福岡市に本社を構える、アンダス株式会社。2004年の創業以来、サイト制作から集客、マーケティング、運用まで、ECのトータルプランニングを手がけている。ドクターシーラボやエバーライフなど、大手通販企業をサポートする同社が、これまでの知見を生かし開発したのが、単品ネット通販向けの『スマイルツールズ』だ。「営業はほとんどしていないが、問い合わせが後を絶たない」(前田哲郎社長)というそのワケとは? スマイルツールズに搭載された独自機能から、「売れるEC」のヒントを探る。
ミッションは、LTVを最大化させること
アンダスの前田哲郎社長が会社を立ち上げたのは、ウェブ制作会社に勤務していた頃、「クライアントが本当に求めていること」に気づいたからだという。 「ウェブサイトを納品した後に、『アクセスが増えない』『ものが売れない』と問い合わせを頂くことがあり、クライアントが求めているのは、ウェブサイトそのものではなくそこから生まれる注文や問い合わせなどのレスポンスなんだと気づきました」(前田社長)。 2004年、前田社長は、同志9名とアンダスを設立。目指したのは、ECサイトの立ち上げから、新規顧客獲得の為のプロモーション及びリピート顧客向けのCRM対策まで、トータルで通販・EC事業者をサポートできる会社だ。 「クライアントの真のゴールである、LTV(ライフタイムバリュー、一人あたりの生涯売り上げ)を最大化させること」が同社のミッション。コンサルティングを含めたトータルプランニングから、単品通販に精通した独自ツールの提供まで、幅広くEC事業者の支援体制を整えている。
単品通販に精通したワンストップソリューションをわずか9万円で販売
そんなアンダスが今最も力を入れているのが、自社製品の『スマイルツールズ』だ。食品、化粧品、健康食品など、いわゆる「単品通販」に特化したEC専用ツールである。月額9万円とリーズナブルな価格ながら、「売れる単品ネット通販」に必要な機能が全て揃った優秀なツールとして、口コミでの広まりを中心に導入社数が増え続けている。 「単品ネット通販で売り上げを最大化させるためには、ターゲットを誘い込むための広告などの集客施策。ユーザーの接点を増やし、購買意欲を高めるクリエイティブ。買いやすいインフラ、この3つを揃える必要があります」(前田社長)。 その土台となるインフラが、『スマイルツールズ』というわけだ。競合他社とは一線を画す、スマイルツールズ独自の機能を見ていきたい。
1. ABテスト機能『スマイルLPO』
前田社長によると、「1回の購入というアクションは、2つに分解できる」という。同社では、その2つのアクションを「ファーストコンバージョン」「セカンドコンバージョン」と呼ぶ。 ファーストコンバージョンとは、LP(ランディングページ)内の購入ボタンを押すアクションのことを指す。 「購入率の最大化」を図るために、LP全体のABテストに始まり、LP内のメインのキャッチコピーのABテスト。コピーが固まったら、背景のイメージ画像をABテスト。ボタンの位置、色などパーツごとにABテスト。 こうして細かくABテストを重ねていくことで、最もレスポンスの高いパーツが見えてくる。それらのパーツを組み合わせたLPが最も購入率が高くなる、というロジックだ。 このABテストができる機能として、『スマイルLPO』を用意。 ABそれぞれの購入率を集計するなど、効率的にABテストを行うことができる。
2. シンプルな入力フォーム『スマイルフォーム』
「セカンドコンバージョン」とは、購入完了後のサンキューページまで進んだ状態のことを指す。通常ECサイトは、商品を買い物カゴに入れたら購入が完了するわけではない。その後に個人情報を入力し、最終確認画面で入力情報に誤りがないかをチェックして、初めて購入完了となる。 ところがECサイトの中には、個人情報の入力フォームが複雑過ぎたり、遷移する画面数が多すぎたり…とユーザーにとっては使い勝手の悪いUI(ユーザーインターフェース)を採用しているところもある。こうした使い勝手の悪いUIは、顧客の離脱にもつながりかねない。それを防ぐのが、『スマイルフォーム』の役割である。 『スマイルフォーム』の採用例として、前田社長は、江崎グリコ株式会社が販売するスキンケア『gg』のECサイトを挙げる。 「以前は、複雑な入力フォームと、購入完了までの画面遷移数の多さなどを理由に、カートに入ってからの顧客の離脱率が、80%もありましが、スマイルツールズを導入したことで、『セカンドコンバージョン』が最大化し、導入当日から離脱率が40%まで下がりました。広告費が変わらなければ、購入数が倍になる=CPOが半額になったということですから、非常に大きな効果と言えるでしょう」(前田社長)。 ECサイトによっては、一度個人情報を入力しても、次ページの確認画面に行くまで、ミスや入力漏れを教えてくれないサイトも多い。さらにそういうサイトの中には、ミスを正そうと再び1ページ前の入力画面に戻ると、時間をかけて入力した内容が全て消えている…と、顧客のイライラを助長させるだけのものもある。どれだけ購入モチベーションが高くても、これでは顧客が離れてしまうのは仕方がない。 『スマイルフォーム』は、入力画面から購入完了まで、実質2画面で済む。同時に、入力したそばから、記入漏れ・入力ミスの案内や、住所の自動反映(郵便番号から把握)などの入力補助をしてくれるため、「買いたい」という顧客の熱量を変えることなく、購入完了まで持っていくことができる。「ユーザーの入力負荷を軽減することが、セカンドコンバージョンを最大化させるポイント」(前田社長)だという。
「購入動機」こそが、定期コース引き上げの重要なキー
『スマイルフォーム』のユニークな点は、アンケート機能にもある。顧客は商品を買う際、必ず何かしらの目的を持っている。前田社長は、「この購入動機こそが重要なキー」と指摘する。なぜなら、その購入動機には、顧客が商品に対して感じている「価値」が存在するからだ。
アンケート(フォームデモ)
その価値が分かれば、LTVを引き上げるためのコミュニケーションが容易になる。逆に言えば、この価値が分からないからトンチンカンなコミュニケーションとなり、顧客が離れていく。
そこで同社が採用しているのが、「この商品に何を期待されますか?」というアンケートだ。顧客には、「ハリ」「シワ」「乾燥対策」など予め用意された選択肢の中から、該当するものを選択してもらう。ここで選んだ回答が、のちに重要なキーとなってくる。 単品通販の場合、一つの指標となるのは、「定期コースへの引き上げ」だろう。LTVの最大化には、定期コースに加入してもらうことが不可欠だ。しかしここが非常に難しいポイントとも言える。 スマイルツールズは引き上げ率を向上させるため、2つの機能を用意している。1つは顧客が選択した「購入動機」別にクリエイティブが異なる、確認画面でのアップセルだ。 前田社長は、定期コースへの引き上げには、「買いたいという気持ちの強い、初回購入時が最も適している」と説明する。そのため、新規顧客を対象とした、1,980円などのお試し商品を販売する確認画面で、いきなり定期コースへと誘導する。
ワンチャンスキャンペーン
その際、「この画面から定期コースを申し込んだ場合に限り、20%オフ」などの特典をつける。一見無謀にも見えるチャレンジだが、ここでワンタイムオファー機能により「この画面だけのオファー」をアピールする事で、「今しか買えない」という気持ちを後押し、低くても2割もの新規顧客が、定期コースへ加入するのだという。なかには、新規顧客の46%が定期コースに加入したという驚きの実例もある。「定期コースへの加入率は、お試し買いから時間がたてばたつほど、下がっていく」(前田社長)。鉄は熱いうちに打て、ということらしい。 2つ目の機能は、「定期コースへの加入は、お試し商品を使い終わってから…」という慎重派を対象としたツールだ。顧客には、お試し商品発送から3日後、7日後、14日後と繰り返しステップメールを送り反応を伺う。もちろんこの時も、「購入動機」が生きてくる。 スマイルツールズ内の「スマイルメール」には、顧客の購入動機別に用意された文面が、全自動で生成、配信される機能を搭載している。顧客のリアクションを見ながら、無制限に作成可能な「シナリオ」(いつ、どんな文面を送るかというスケジュール)で、定期コースへの引き上げを目指す。 また、「一度加入してもらっても、単品通販は2ヶ月半で定期コースをやめてしまう顧客が多い」(前田社長)ことから、顧客の離脱を防ぐために、購入動機を生かした使い方指導など、メールでの細かいフォローが必要となってくる。もちろん、これらのフォローも、スマイルメールの全自動配信メールで対応可能だ。 紹介した機能以外にも、スマイルツールズには、多くの独自機能が搭載されており、その一つひとつにECでの売上最大化を目指すヒントが存在している。 今後は、海外展開も視野に入れているというスマイルツールズの、さらなる進化に期待したい。
(取材と文 公文紫都)
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<プロフィール> 前田 哲郎(まえだ てつろう) 1990~約10年間、情報通信サービス販売大手にてテレマーケティングに従事。株式店頭公開及び東証1部上場を経験する。 その後WEB制作会社を経て、2004年にダイレクトレスポンスに特化したWEBマーケティング事業を手がけるアンダス株式会社を設立。 中堅から大手企業のプロモーション~CRMまでをWEB広告・制作・システムのワンストップソリューションでサポートする。 2013年、単品通販のレスポンス最大化を実現するスマイルツールズをリリース。 Web Marketing Workshop 九州 会長。福岡県出身1971年生まれ。
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