2015.07.02 コラム
機能性表示食品が好調、各社の広告戦略は?(2)
「機能性表示食品」であることを訴求
キリンビールのテレビCMは、「ノンアルコールビール」としてのプロモーションに機能性に関する訴求を加えた内容となっている。宇宙戦艦ヤマトの音楽をバックに「のどにゆけ。」「脂肪に糖にゆけ。」といった力強いナレーションで、ノンアルコールビールのおいしさと機能性を訴求している。小さい文字で見にくいのだが、「機能性表示食品」という文字や「本品は疾病の診断、治療、予防を目的としたものではなりません。」とする免責表示、届出をした機能性表示の内容がCM中にテロップで表示されている。
キユーピーとファンケルは、新聞広告で無料モニターや初回割引を案内するプロモーションを展開。どちらの広告も「機能性表示食品」を前面に押し出した内容で、臨床試験データを記載している。キユーピーは、「キユーピー初の『機能性表示食品』新登場!」と表示し、臨床試験データは、システマティック・レビュー(文献検索)で機能性の根拠とした臨床試験データを使用している。 ファンケルは「目のサプリメントで日本初の機能性表示食品」「手元のピント調整力が4週間で改善」と機能性を訴求。特に「臨床試験 済」というハンコを大きく表示するなど、製品で臨床試験を実施している点をアピールしている。ただ、ファンケルの広告には届出表示の内容が記載されていないため、届出表示の正確な内容が把握しにくい。 消費者庁が6月19日に発表した「機能性表示食品の広告等に関する主な留意点」では、届出表示の省略・簡略化によって、製品による臨床試験をしていないのに、機能性関与成分でなく、商品自体に機能があるかのように示す広告や、届け出た機能性関与成分以外の機能性を強調した広告について警告している。機能性表示の根拠となった臨床試験を広告に掲載することは、禁止されていない。ただ、臨床試験を広告に使用する場合、システマティック・レビューの根拠となった臨床試験の掲載は、製品による臨床試験ではないとわかるようにしなければならないだろう。 今後発売される機能性表示食品の広告も、臨床試験や機能性表示食品である点が訴求ポイントの1つになってくると思われる。機能性表示食品の露出量が増えれば、認知度も向上し、相乗効果につながる。現在は販売開始から1カ月未満で、販売量や売上などの正確な数値が発表されていないが、販売から1~3カ月後に発表される売上数値の結果によっては、大きな話題となる可能性もある。機能性表示食品が、ブレイクの予兆を見せ始めている。
(山本剛資)
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