セブン&アイグループの完全子会社となった(株)ニッセンホールディングスが、新たな事業をスタートした。(株)ニッセンは4月6日、大きいサイズのファションアイテム(L~10L)を取り揃えたプラスサイズのファッションECモール「Alinoma(アリノマ)」をオープンした。
「Alinoma」に国内39ブランドが集結
女性のファッションアイテムは3L程度までしかないものが多く、ぽっちゃり体型の女性は気に入った商品があってもサイズがないという悩みがあった。「Alinoma」には、プラスサイズを扱う国内39ブランドが集まり、プラスサイズに対応した700アイテムを取り揃えた。
プラスサイズのアイテムを購入する場合、販売チャネルが分散して比較検討することが困難だったが、「Alinoma」によって、さまざまなブランドによるプラスサイズのファッションアイテムを比較して購入することができるようになった。ニッセンはプラスサイズのECモールをオープンすることで新たな価値を創出し、新規顧客の獲得を図る。
ニッセンはラージサイズの専門ブランド「SMILELAND」を展開しており、既存の230万人のユーザーに向けても、購買単価やLTV拡大など、ECモールでの買い回りの増加を見込む。「Alinoma」の出店企業は、(株)東京スタイル、(株)オンワード樫山、(株)ラ・クープ、小泉アパレル(株)、(株)ストライプインターナショナル、(株)エドウィン、イトキン(株)、(株)フランドル、(株)ニッセンなど。
ファッションショーでポーズを取るバービーさん
ゆいPさん「好きな服より着られる服を探すことが多い」
同日に六本木ヒルズ(東京港区)で開催されたファッションイベント「Alinoma LAUNCH COLLECTION」では、ファッションショーやトークショーが行われ、ダレノガレ明美さん、バービーさん、おかずクラブさんが出演した。
おかずクラブのゆいPさんは、洋服を購入する際の悩みについて「洋服を買いに行っても、好きな洋服というよりは、着られる洋服から探すことが多いです。かわいいな、と思って気に入った服はサイズがないことが多いので、(アリノマのように)たくさんのブランドがあるとありがたい」と語った。バービーさんは「ぽっちゃりさんとしては、股ずれがすごく困る。だいたい股ずれで破れていくんです。上のシャツも前かがみになるとピシピシと破けていったりします。よく服を買いますが、サイズとブランドが少なく、それほど多くの種類を買うことができないので、ワンパターンになってしまいますね」と悩みを明かした。
「Alinoma」でラージサイズ市場を拡大
女性のファッション市場は推計5兆8290億円とされているが、LL以上のプラスサイズ市場は、その3.5%にあたる2059億円。しかし、LL以上のサイズが対象となる人口は、全体の11.5%が該当しており、市場の大きさと需要にギャップがある。ニッセンは、ラージサイズでは通販業界トップとなる230万人のユーザーを抱え、実用新案・意匠登録を有するヒット商品や、最適な着心地に仕上げる製造ノウハウを持つ。この分野では圧倒的な優位性を持つことから、ECモールをオープンし、プラスサイズの市場の拡大を図る。また、高価格のアイテムなど、これまでとは異なるさまざまなブランドを取り扱うことで、異なる利用者層も取り込む。
市場拡大の取り組みとして、「Alinoma」ではこれまで3Lサイズまでしかなかったブランドに対し、サイズアップの企画(仕様)を提案するほか、生産受託によってプラスサイズ市場の底上げを図る。
その他、有料会員向けの返品無料サービス、股ずれなどのお悩み別検索機能、リアル店舗と連動した試着予約など、サイトの利便性を向上させている。
ニッセンは「脱・総合カタログ」戦略へ
ニッセンは、新たに「脱・総合カタログ」と「サイズ事業戦略の強化」を打ち出した。これはカタログ通販会社全体に言えることで、スマートフォンから簡単に商品が購入できるようになった現在では、場所を取り、持ち歩きにも不便な総合カタログを利用して商品を購入する人は少なくなってきている。2月には(株)スクロールがアパレル事業から撤退し、化粧品・健康食品事業や、ソリューション事業(物流代行)に特化しくことを発表した。このような業界変革の波に乗り、ニッセンも「総合カタログ」から脱却し、「サイズ事業」に特化する方針を掲げた。今後の業績回復は、サイズ事業の売れ行きに委ねられる。
(株)ニッセンホールディングスの脇田珠樹社長は「ファッション分野のなかにも、強化する戦略カテゴリーがあり、その中の代表格が今回のプラスサイズ。プラスサイズに関しては、メンズであったり、トールサイズもある。そういった分野も強化したい」と脱・総合カタログへの意気込みを語った。また、「すべての取扱商品のなかで、強みを持つカテゴリーがいくつかあり、今後はそれを絞り込んでいく。大型家具は撤退したが、インテリアの中でも、特定のジャンルで強みを持つものもある」と話し、サイズ事業以外でも、専門分野に特化した新たな事業の開始を示唆した。新たなECモール「Alinoma」の今後に注目が集まる。
(山本 剛資)
■Alinoma
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