【NY通信】ニューヨーク在住のフリーライター・公文紫都が現地のEC事情をレポートする通販コラム(Vol.19)
NY在住ライターの公文紫都です。今回はAmazonがNYにオープンしたリアル書店「Amazon Books」に行ってきたのでレポートします。
「Amazon Books」NY1号店
リアル店舗戦略を進めるAmazon
Amazonのリアル店舗戦略が加速しています。自然・有機食品小売り大手のWhole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)を137億ドル(約1.5兆円)で買収すると発表したのは記憶に新しいところですが、ほかにもレジを通さずに商品を購入し外に持ち出させる「Amazon Go(アマゾン・ゴー)」(※現在は、シアトルの本社1階のみ)、ECで注文した生鮮食品を店舗で受け取れる「Amazon Fresh Pickup(アマゾン・フレッシュ・ピックアップ)」、リアル書店「Amazon Books(アマゾン・ブックス)」などを展開しています。
今日詳しくご紹介するリアル書店「Amazon Books(アマゾン・ブックス)」については、どんどん店舗数を拡大したりしています。
また、シアトルで開始している「Amazon Fresh Pickup(アマゾン・フレッシュ・ピックアップ)」は、日本でも始まった生鮮食品のECサービス「Amazon Fresh(アマゾン・フレッシュ)」で注文した商品を、専用店舗で直接受け取ることができるというもの。ユーザーは店舗のなかをグルグル回って商品を探さなくても、予めオンライン上で注文を済ませそれを店頭で受け取ることができるので、買い物にかける時間や手間をうんと減らすことができます。いずれWhole Foodsとの連携もしていくのではないかと考えられます。
今日は、NY・マンハッタンにオープンしたばかりのAmazon Booksについてご紹介していきましょう。
★4.8以上を獲得した本だけを集めたコーナー
NY1号店は高級ショッピングモールに
6月上旬、NY・マンハッタンにある高級ショッピングモールの「ザ・ショップス・アット・コロンバスサークル」3階に、Amazonのリアル書店「Amazon Books」がオープンしました。
同店は、Amazon Booksとしては7店舗目、NYでは1号店となります。店舗の大きさは4,000平方フィート(約370平方メートル)で、取扱書籍数は約3,000冊。NYでは今後ニュージャージー州に1店舗、NY市にもう1店舗オープン予定とのこと。
Amazon Booksは、ECでAmazonが長年育ててきた「レビュー」という資産が存分に生かされた造りになっています。
たとえば店内に置かれているのは、新刊以外は、Amazon.comで評価「★4以上」を獲得したトップセラー本ばかり。ほかにも、「★4.8以上を獲得した子ども本」だけを集めたコーナーや、「Amazonで1万以上のレビューがついた本」だけを並べた棚、「左側の本が好きだったら、右側の本も好きでしょう」というAmazonのリコメンド機能を彷彿とさせる棚、またNY在住ユーザーから評価の高い本を並べた棚もあります。
それぞれの書籍の前には、「本のタイトル」「著者名」「Amazon.comユーザーからの評価」「レビュー数」「レビュー」などの情報が書かれたプレートがあるのですが、実はここには値段が書かれていません。
プレート例。新刊は「Not Yet Rated」(まだ評価されていない)と書かれている
値段を知りたかったら自分のスマホからAmazonのスマホアプリにログインし、プレートにあるバーコードをスキャンして確認するか、店内にいくつかある専用端末を使います。
スマホを使って値段を確認
Amazon Prime会員だと安く購入できる
値段をチェックすると、Amazon Prime会員か、そうじゃないかによって差があることに気づきます。
店内の専用端末で値段を確認。非会員は27.99ドル。Prime会員だと19.53ドルで購入できる
結構値段に開きがあるので、この機会にAmazon Prime会員になっておくか……と考えるお客さんもいそうです。ちなみに米国ではAmazon Primeの年会費は99ドルと、日本に比べると高めです。
店内には書籍だけでなく、オモチャやガジェット類などもあり、特にガジェット類コーナーは多くのお客さんで賑わっていました。
ガジェット類コーナー
Amazon Booksは子ども向け商品に力を入れているのか、年齢別、カテゴリ別、シーン別といろいろな棚があります。
年齢別に分けられた絵本コーナー
購入はスマホから
さていよいよ購入です。クレジットカードやデビットカード払いもできますが(現金の取り扱いはなし)、Prime会員だったらスマホを使って支払うこともできます。我が家はPrime会員なので、スマホで会計してみることにしました。まずはレジの前に貼ってあるポスターからこちらのバーコードを読み取ります。
スマホアプリからバーコードを読み取る
スマホ画面にバーコードが大きく表示されるので、レジで購入希望の商品を渡した後、店員さんにその画面を見せます。店員さんがスマホ画面上に表示されたバーコードをリーダーで読み取ってくれます。それで支払いはおしまい。レシートはメールで送られてきます。
スマホを見せて会計
Amazon Booksの魅力はなんといっても、評価の高い本だばかり並んでいるので、「外れはなさそう」という期待感を持って商品を購入できることでしょう。また気になった商品をAmazonのスマホアプリからカートに入れてしまえば、普段のオンラインショッピングと同じく自宅配送することもできるので、重たい本を持ち帰ることなく引き続き他の店舗で買い物を楽しむことができます。
次はどんなリアル店舗戦略を仕掛てくるのでしょうか。引き続きAmazonの動向から目が離せません。
(公文紫都)
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