楽天ＩＴ学校の総売上高は２８１３万円

　「楽天ＩＴ学校」は、地域を担う次世代の育成や、地域の人材交流の機会を創出することを目的にとした楽天のＣＳＲ活動。年間８回の授業で、マーケティングから販売ページの制作、宿泊プランの企画の仕方などを実践的に学習する。また、授業で制作した販売ページなどは、楽天市場や楽天トラベルで実際に販売する。楽天ＩＴ学校を通じたこれまでの総売上高は、２８１３万３９６８円に上る。

　「楽天ＩＴ学校甲子園」は、「楽天ＩＴ学校」の参加校が1年間の授業で学んだ成果を披露する場で、２０１１年から開催。７回目となる今回は、「楽天市場」部門と「楽天トラベル」部門の２部門から、優勝、準優勝、審査員特別賞、売上Ｎｏ．１賞を表彰した。

　「楽天市場」部門は、優勝が新潟県立三条商業高校（講師：オリジナル家電のシバデンライフ）、準優勝は愛知県立南陽高校 （講師：Ｚ―Ｃｒａｆｔ）、売上Ｎｏ．１賞は青森県立弘前実業高校 （講師：コンプモト 楽天市場店）となった。

　「楽天トラベル部門」は、優勝が富山県立高岡商業高校（講師：雨晴温泉 磯はなび）、準優勝が神奈川県立商工高校 （講師：新横浜プリンスホテル）、売上Ｎｏ．１賞が熊本県立熊本商業高校 （講師：阿蘇ファームランド（阿蘇ファームヴィレッジ））だった。

「授業を受けて良かった」の回答が１００％の高校も

　「楽天市場」部門で優勝した三条商業は、ハンディタイプの掃除機『サイクロンハンディクリーナー』のプレゼンを実施。主婦に向けた商品の魅力、ベネフィットなどを、自作のプラカードやボードを使ってプレゼンした。

　「楽天トラベル」部門で優勝した高岡商業は、旅館「雨晴温泉『磯はなび』」の宿泊プラン「『女に生まれて、よかった～！』お部屋でゆっくり女子トーク！　色浴衣＆限定スイーツ付き！　一日５組限定！」を紹介。プランで提供される色浴衣を着用した宿泊者役と、ＯＬ役に別れ、仕事で忙しいＯＬを癒やす女性向けプランを、寸劇を交えてプレゼンした。

　「楽天ＩＴ学校」は、楽天の１０周年事業として２００８年にスタートし、当初の導入高校は３校だったが、１３年に「電子商取引」が商業高校の科目に入ったことから導入校が拡大し、１５年に全国規模になった。１７年には、導入校が５５校・生徒数１５７７人、参加する地域企業（店舗・宿泊施設）が５４、講師は６５人に拡大した。

　これまでの１０年間の実績としては、講師数が２４５人、総授業時間が２３２８時間、卒業生が６９９５人、授業を行った高校は２４５校に達している。また、商品ページは１７５ページ、宿泊プランは１４９ページに上る。

　楽天ＩＴ学校の参加者からの評価も高い。参加した高校の先生は、「実際に販売してビジネスに携わるという経験は普通の授業では得がたい」、「授業を受けてよかったという生徒は１００％（３年間で）。この取り組みは生徒の伸び率が高い」とコメントしている。また、協力企業（店舗・宿泊施設）側からは「私たちの経験を伝えられることに大きな意義を感じる。業界を志す生徒さんが増えることが期待でき、楽天にしかない取り組みと言える」などの声が上がっている。

　通販・ＥＣ業界では、慢性的な人材不足の状況が続いている状況だが、楽天ＩＴ学校では、卒業生が楽天市場の出店店舗や楽天トラベルの店舗に就職する事例もあり、人材育成の底上げに貢献している。また、実際に物を販売することができるという実践的な授業は、学校ではなかなか体験することは難しく、生徒からは他の科目と比較しても面白いと感じることができるだろう。これでまでの卒業生は６９９５人で、楽天の社員数を超えているといい、ＥＣビジネスの人材教育では、業界で最も実績を上げていると言える。ＥＣ・通販業界での卒業生の活躍が期待される。

■入賞高校（講師の店舗・施設）

【「楽天市場」部門】

・東京都立大田桜台高校（ＳＩＬＶＥＲ　ＢＵＬＬＥＴ　シルバーバレット）

・神奈川県立小田原東高校（Ｈａｍｅｅ　楽天市場店）

・神戸市神港橘高校（ベル　ａｎｄ　ソファ）

・下関市立下関商業高校（やまぐち旬彩　海峡本舗）

【「楽天トラベル」部門】

・甲府市立甲府商業高校（河口湖温泉　湖楽おんどや富士吟景）

・京都府立京都すばる高校（京都　嵐山温泉　渡月亭）

・愛媛県立今治北高校（道後温泉　ふなや）

・沖縄県立八重山商工高校（グランヴィリオ　リゾート石垣島　グランヴィリオガーデン）

（山本剛資）