楽天(株)が6日発表した2018年12月期第2四半期連結決算(1月~6月)は、売上高にあたる売上収益が前年同期比16.4%増の5121億6100万円、営業利益が同30.7%増の896億7000万円、四半期利益は同60%増の645億2200万円と、増収増益となった。第2四半期(4~6月)の営業利益は同118.3%増の584億円となり、第2四半期として過去最高を更新した。
国内ECの減益を好調な海外投資がカバー
Fintech事業が好調
総量規制や送料値上げなどの影響で物流関連費が向上したことや、CtoC事業への投資などで国内ECが減益となったが、ライドシェアサービスを提供する米Lyft社などの株式評価益を306億円計上したことで、第1四半期は30%減だった営業利益が30%.7%増の896億7000万円に改善した。
Fintechの売上収益は前年同期比22%増の1952億5300万円、セグメント利益は同26.4%増の445億4400万円となった。楽天市場など国内ECを含むインターネットサービスは、売上収益が同16.1%増の3624億8200円、セグメント利益は同28.8%増の535億1300万円となり、売上・利益ともにインターネットサービスがFintechを上回った。
第2四半期(4~6月)は、インターネットサービスのうち、国内ECの売上収益が6.8%増の1015億円で、セグメント利益は19.1%減の148億円となった。国内ECの減益の理由は、配送コストの上昇、SPUのコスト、CtoC事業のマーケティング強化など。
2Q国内EC流通総額は11.1%増の9023億円
第2四半期の国内EC流通総額は、同11.1%増の9023億円だった。ファッション分野では、テレビCMの効果などで「楽天ブランドアベニュー」の流通総額が同57.6%増と大幅に伸長した。SPUの効果で、楽天ブックスの流通総額は同32.6%増に上った。第2四半期の楽天市場モバイル流通総額比率は、前年同期比3.3ポイント増の66.6%となった。
CtoCサービスのフリマアプリ「ラクマ」は、6月から販売手数料を無料から3.5%に変更したが、その後も高い成長率を維持している。同社の常務執行役員・コマースカンパニー シニアヴァイスプレジデントの河野奈保氏は、CtoC事業について「CtoC特有のユーザー層を、楽天のエコシステムに招き入れる効果が出ている。日本のフリマアプリ市場でNo1を目指す」と話した。
MNO設備投資金額は6000億円下回る、モデルはインド・ジオ社の最先端ネットワーク
第4のキャリアを目指すMNO事業では、設備投資計画が2月時点で見込んでいた約6000億円を下回る計画を示した。この根拠として、同社の副社長執行役員・コミュニケーションズ&エナジーカンパニー プレジデントの山田善久氏は、「時期が来たら話せる」としつつ、「1つ言えるのは、これまでのやり方にとらわれずに取り組み、先進的で新しいネットワークの作り方を採用した。他社とは異なるコスト構造となる」と話した。
また、MNO事業では、5月に楽天グループに入社したAmin Tareq氏が、8月1日付で楽天モバイルネットワーク社のCTO(最高技術責任者)に就任。同氏はインドの携帯事業者・ジオ社で、インドのユーザーに向けたネットワークデザインやパフォーマンス向上などに務め、2年間で2億2000万人の加入者を集めた。先進的なネットワーク構築とは、Amin Tareq氏によるインドでの事例がモデルになると見られる。
2019年4月から新グループ体制に移行へ
注力分野としては、ECは「ワンデリバリー」、FinTechは「決済」、通信は「MNO」とした。
「ワンデリバリー」は、ユーザーが欲しい物を欲しいときに一度で届け、注文から配送を一気通貫し、外部企業と協力して物流を一元管理すること。ワンデリバリーについて、副社長執行役員・コマースカンパニープレジデントの武田和徳氏は「物流を一元管理することによって、いろいろなことができる。一度に複数の店舗で購入したものを、まとめて1回で届けることは、これまでにない物流へのチャレンジ。物流を効率化することで、ユーザーに喜んでもらえるだけでなく、店舗側の物流の心配を軽減する。次世代の物流のバリューを提案したい」と語った。
決算発表説明会では、意思決定の迅速化や楽天エコシステム(経済圏)の拡大強化に向け、2019年4月から新グループ体制に移行すると発表。新体制では、楽天からインターネットサービス事業を分割して子会社に継承し、商号を楽天イーコマース(株)(仮称)に変更する。楽天はID・ポイント・データ・ブランドを主な事業とし、インターネットサービス、Fintech、モバイル事業などの親会社となる。
(山本 剛資)
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