中国越境ECを開始する日本企業が増えているなか、投資した割に思ったような成果が上げられず、市場から撤退する企業も見え始めてきた。中国最大のECイベント「双11(独身の日、W11)」が近づくなか、すでに越境ECに参入している各社は、中国最大のECイベントに向けた準備に余念がない。ただ、こうした大規模イベントで大きな収益を期待する現在の傾向に、中国のEC事情に精通する専門家は警鐘を鳴らしている。中国家電メーカーでECの売上を3年間で140倍に拡大させた実績を持つ24ABC(株)の韓徳鵬氏に、中国の越境EC市場で成功する秘訣を聞いた。
24ABC(株)の韓徳鵬氏
メイドインジャパンの信頼は不動、価格の低下で越境ECユーザーが急増
――中国での日本製品が人気になっている要因についてお聞かせ下さい
韓氏 現在、大手メーカーやブランドなど、多くの日本企業が積極的に中国向けの越境ECに乗り出し、中国人ユーザーにも受け入れられ、中国市場でのシェアを獲得しています。偽物や粗悪品がはびこる中国のECマーケットでは、メイドインジャパンの品質に対する信頼は不動のものになっています。加えて、中国人ユーザーのモノに対する価値観も変わってきており、物価も日本とさほど変わらなくなってきていることから、ECで日本製品を購入する中国人ユーザーは日に日に増えています。
――日本のEC・通販業界では越境ECブームが到来していますが、中国のEC専門家として、感じていることはありますか?
韓氏 中国の越境EC市場はここ数年急速に成長しています。日本の中小企業や地方の店舗などが中国の巨大なマーケットを上手に利用できれば、一気に一流ブランドに発展することも不可能ではありません。これは、千載一遇のチャンスと言っても過言ではありません。
また、中国への越境ECに進出する企業が増えるのと同時に、さまざまなソリューションが提供されるようになりました。どういったソリューションをどのように利用すればいいのか? また、そもそも越境ECを開始して成功できるのか? 越境ECを開始する際に、こうした質問を受けることが多くなっています。
中国向け越境ECでまず心がけることは?
――越境ECを開始したい企業がまず心がけることは何でしょうか?
韓氏 日本の中小ブランドが中国のECマーケットに進出するために、肝心なことは成功を急がないこと。製品の良さが口コミで広まるには時間が必要になります。すぐに成果が出ないからと諦めてはもったいない。
多くの失敗例を紹介するメディアもありますが、それだけに目を向けないことです。失敗例は教訓にとどめ、挑戦を止めるべきではありません。まずは、じっくりと中国人ユーザーの趣向を理解し、どんな商品が求められているのかを研究することです。失敗を恐れて臆病になってしまえば、目の前にあるチャンスを取り逃がしてしまうかもしれないのです。
双11では日本のクチコミや評価も参考に
――どのようにして自社の商品を中国市場でマーケティングすればいいのでしょうか?
韓氏 ECプラットフォームで出店し、運営会社に代理運営を頼んで、中国の有名人や網紅(KOL)を使って宣伝してもらうという王道的な手法もあります。もちろん、表面上の宣伝も必要ではありますが、大切なのは、越境ECの立ち上げと同時に、日本国内と海外両方で一歩一歩着実に、ブランドを育てることです。
現在の越境ECユーザーの主力消費者層は、28~38歳の人たちで、買い物に対して非常に客観的かつ理性的です。有名人が勧めているからといって盲目的に商品を購入することはありません。
宣伝はもちろん欠かせませんし、長期にわたって継続的に行う必要がありますが、かといって、中国国内でのマーケティングだけに頼っていても、あまり効果的ではないのです。
最近の中国の消費者は、中国国内での商品の口コミだけでなく、日本を含む海外での受賞歴や評価なども参考にしています。例えば、日本の「楽天市場」「Amazon」「Yahoo!ショッピング」「価格.com」といったプラットフォーム上での販売量やユーザーの評価をチェックする中国人ユーザーも少なくないのです。こうした日本のプラットフォームで評価をチェックする傾向は、「双11」のセールイベントでも顕著となります。
越境ECユーザーは多数のモールを活用
――越境ECで成功するためには、何が必要ですか?
韓氏 中国で有名な大型のECモールに出店するだけで、売れると思い込んでいる日本の企業も多いと感じています。
確かに、大型ECモールのユーザー数は膨大ですが、1つの店舗しか利用しないというユーザーは、実際にはほとんどいません。
大量の商品があふれるEC市場では、広告やイベントを打ち出さなければ、海外で無名のブランドが注目されることは非常に難しいのです。
さらに、大型のモールに出店する場合、保証金や技術サービス料、決済手数料などの基本費用に加え、顧客獲得のための広告やイベントにかかるコストなどを計算すると、結局相当な金額を注ぎ込まなければならないということを覚悟しなければなりません。
既存の大型モールなどのプラットフォームに出店する方が、労力は小さくなりますが、その分、中間コストとして運営費用がかかります。それも非常に高額な場合が多いことも確かです。
さらに、万が一、何らかの問題が発生して出店するプラットフォームでの販売ができなくなったとしたら、それまでの投資は一瞬で無駄になってしまいます。登録していた会員も注文も、すべてプラットフォーム上で行われていたわけですから、ブランドがユーザーを取り戻したり、確保したりすることはほぼ不可能になってしまいます。
リスクの少ないプラットフォームの活用を
――大型のECモールに偏るのではなく、さまざまなプラットフォームを利用した方がいいということですか?
韓氏 その通りです。越境ECは単なるセールス方式の1つであり、商品の販売に近道はありません。リアル店舗と同じように、自社ブランドを確立し、商品の品質も確保しなければなりませんが、消費者に一度気に入ってもらえれば、リピーターとなってまた訪れてくれるのです。
――どのようなプラットフォームが有効なのでしょうか?
韓氏 現在はさまざまなプラットフォームが存在しますが、中国マーケットへの進出の第一歩としては、ほぼリスクがない「24ABC」のリーズナブルなプラットフォームを、お勧めしたいです。
「24ABC」の事例を紹介すると、「24ABC」の出店者である福岡のドラッグストアには、毎週一定数の中国人観光客が買い物に訪れていました。リアル店舗で買い物をした消費者は、実際に商品を使用して、品質の良さも実感済み。このドラッグストアが「24ABC」に店舗を開設し、同時にリアル店舗内でもEC店舗の宣伝を行ったところ、帰国してからEC店舗で買い物をする消費者が増え、半年近くで売上が急増しました。
このように、「24ABC」は、中国の越境ECブランドサイトを構築し、店舗とネット上でのブランディングにより、基礎となる商品のデータベースの確立をサポートいたします。中国への越境ECは、覚悟が必要となる長い道のりですが、中国市場を知り尽くした「24ABC」であれば、さまざまなプランやアドバイスで、越境ECが成功するまで、サポートすることができます。
――本日はありがとうございました。中国向けの越境ECを開始するにあたり、リスクを最小限に抑え、長期的な戦略で越境ECに取り組むには、「24ABC」の利用価値が高いことがわかりました。
(山本 剛資)
※「24ABC」にご興味がある方は、下記より問い合わせください。
■「24ABC」
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※韓徳鵬(Han Depeng)氏 プロフィール
中国家電メーカーのハイアールグループや家電量販店国美電器グループで、小売業やEC事業を経験。国美電器グループのオンライン事業責任者として、インターネット戦略を策定し、売上を大幅に拡大させた経歴を持つ。中国小売業界のEC領域で著名な専門家。中国国家のEC取引法の制定に貢献。中国EC業界での影響力も高い。
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