UNCOVER TRUTHがマーケッターイベント開催
富士フィルム・ディーエイチシーも登壇
(株)UNCOVER TRUTH(アンカバー・トゥルース)は11月14日、ユーザーイベント「USERDIVE connect(ユーザーダイブ・コネクト)」を都内で開催、約300人のマーケッターらが参集した。通販関連では富士フイルム(株)や(株)ディーエイチシーの気鋭マーケッターらが登壇した。
UNCOVER TRUTHは、ヒートマップツール「USERDIVE」を提供する通販・EC支援企業。同社ではカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)でツタヤオンラインのEC部門や、ガシー・レンカー・ジャパン(現ザ・プロアクティブ・カンパニー)でデジタルマーケティング責任者、化粧品メーカーの(株)マードゥレクス取締役社長などを務めた藤原尚也氏をCCO(チーフ・コンテンツ・オフィサー)に迎えている。藤原CCOは、現在(株)ドゥクラッセのCMO兼web事業部長も務めている。
UNCOVER TRUTHの藤原尚也CCO
さらにウェブアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパンなどを歴任した小川卓氏をCAO(チーフ・アナリティクス・オフィサー)として迎えるなど、通販業界内でも注目が高まっている企業のひとつだ。今年10月には三井物産をリードインベスターとする約6億円の資金調達を行うなど、勢いを増して成長している。
UNCOVER TRUTHの小川卓CAO
ブランド創出には「一次情報の取得」「ユーザー理解」が必要不可欠
今回開催された、ユーザーイベントは3部制で展開。第1部は「0→1」の世界観である「ブランド創設」についてのセッションを行った。セッション名を「ブランドを生み出し、成長させるためにマーケティング部は何をするべきか」とし、(株)ウォーターデザインの代表取締役/コンセプターである坂井直樹氏とP&Gの副社長を歴任したOffice WaDaの和田浩子代表がパネラーとして登壇。モデレーターは、UNCOVER TRUTHの石川 敬三CEOが努めた。
ウォーターデザインの坂井社長(写真左)とOfficeWaDaの和田代表
和田氏は「ブランドとはエンドユーザーを理解した上で作っていくべきであり、マーケティングにあたってはユーザーに目を向けるというマインドが必要」との見解を述べた。そのうえで、「日本企業は上司ばかりを見ていて、コンシューマーという言葉すら出て来ないような現状ではないか」と指摘。「上司に物を言える外部を活用する」とアドバイスを送った。
坂井氏は「一次情報の重要度は非常に高い。そこに目を向けてほしい。ネットを検索しても出てこない情報は沢山あり、取りにいかなければ得られない」と参加者に呼びかけた。
社内理解を得るには「泣き落とし」「代案なし」も有効
第2部では富士フイルム「アスタリフト」のEC立ち上げに深く関与したe戦略推進室 一色昭典マネージャーを迎えマーケティングの「1→10」についてのセッションを実施した。「マーケティング組織の構築と運営」をテーマに、SEIYUの「KY(カカクヤスク)」の広告宣伝の仕掛人でもあった(株)イトーヨーカ堂の営業本部長 補佐 富永朋信氏と藤原尚也氏の3人が熱く語った。
イトーヨーカ堂の富永氏(写真左)と、富士フイルムの一色氏
16年に、富士フイルムのデジタル領域の集約を目指しICT戦略推進室の立ち上げに携わった一色氏は「マーケティングにおいて普遍的なものは市場と生活者。デジタルの時代では、データであらゆることを把握できる。データをもってユーザーの期待値以上のプロダクトを提供することによってブランドやマーケティングが成熟する」などと語った。
富永氏は「マーケッターが途中から組織に入る場合は『否定しないこと』が大事。一緒に、小さな成功体験を少しずつ積み重ねていくことで寄り添い合える」と組織内におけるマーケッターの心得について説いた。SEIYUの「KY」広告戦略の裏側についても語った。「当時KYは『空気が読めない』と言う意味の流行り言葉だった。衝撃的なファーストインプレッションを与えるためには、あえてネガティブに捉えかねない表現を使っていくことも一手」と話した。大胆な施策の社内理解を得るコツとして「『泣き落とし』と『代案を持たない』というのも手」と来場者にアドバイスを送った。
ディーエイチシーなどがウェブサイト改善について言及
最終セッションでは「Webサイト改善セッション」と題した。モデレーターの小川卓CAOを中心に(株)パソナ CE募集企画室 webディレクターの石井邦利氏、バニラ・エア(株)の販売促進部・桑本豊彰シニアマネージャー、(株)ディーエイチシー IT推進部 IT戦略課の小森谷裕之課長を迎えてディスカッションした。
写真左から、ディーエイチシー小森谷氏・バニラエア桑本氏・パソナ石井氏
このセッションでは、ウェブサイトのデータ分析による気付き・取り組みや、サイト改善による事業成長のブレイクポイントなどについて言及した。
小川卓CAOは「データ分析もサイト改善も、何もやらないよりは何かをやったほうがいい。もし失敗してもそこで何か気づきが出てくる。そこから改善につなげられる」ことを説明。
パネラー各社の実際の取り組みについても話した。
バニラエアでは、台湾からの利用者が多いという。ウェブサイトのユーザーの特性が日本と台湾では違うことに着目し、改善を行った。「日本のユーザーはメルマガ登録者のCVが高い傾向があるのに対し、台湾ではセール時のトラフィックが多いなど違いがある」と言う。サイト内行動も異なっていると言い、グローバルナビの位置を日本と台湾で変えている。サイト内のコンテンツ自体は日本も台湾も同じだが、順番だったり見せ方を変えていくだけで成果を出せる」と話した。
ディーエイチシーでは、データ分析の中でサイト下部まで見ている人はCVがあるという要因を発見。その中で、CVする人が注目しているサイト下部のコンテンツである「カテゴリ検索」を上部に移動し、成果が出つつあるという。
各セッション終了後には懇親会も開催され、イベントは盛況のうちに終了した。
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