消費者庁は29日、根拠なくダイエット表示をしていたとして酵素の健康食品を販売する通販会社5社に対して一斉に措置命令を出した。措置命令を受けたのは、ジェイフロンティア(株)、(株)ビーボ、(株)ユニヴァ・フュージョン、(株)ジプソフィラ、(株)モイストの5社。
酵素ドリンクや酵素サプリで5社5商品を摘発、モイストは2度目の措置命令
今回措置命令の対象となった商品と表示媒体は次の通り。
・ジェイフロンティア「酵水素328選生サプリメント」(ECと新聞折込チラシ、ポスティングチラシ)
・ビーボ「ベルタ酵素ドリンク」(EC)
・ユニヴァ・フュージョン「コンブチャクレンズ」(EC)
・ジプソフィラ「生酵素」(EC)
・モイスト「雑穀麹の生酵素」(EC)
各社は、それぞれの商品について、くびれのある細身の女性の写真などと合わせて「ダイエット」「痩せ」などとする文言を用いた表示をしていた。消費者庁は5社の表示を「あたかも本件商品を摂取するだけで、本件商品に含まれる成分の作用により、容易に痩身効果が得られるかのように示す表示」と判断。不実証広告規制に基づき、各社に表示の根拠となる資料の提出を求めた。各社は含有成分に関する資料などを提出したが、表示を裏付ける根拠とは認められなかった。
消費者庁によるとジプソフィラとモイストの2社については、3月29日までに一般消費者に対する誤認排除措置を講じていた。具体的には、社告を一般紙とホームページ上で誤認排除措置を行なっている。
なお、モイストについては13年9月にダイエットサプリ「烏龍減肥」のダイエット表示について措置命令を受けており、今回が2回目の違反となる。消費者庁の担当官によると「社員の入れ替わりも激しいこともあり、1度目の措置命令の際の再発防止策の徹底が薄れてしまっていたようだ」としている。
ちなみに、近頃は2回目の景表法措置命令を受けたことになる通販会社が複数いるが、措置命令を複数回受けたことによるペナルティは景表法上は存在しない。ただし、措置命令違反をした場合は刑事罰が科される。
(▽関連記事:ライフサポート、おせちの二重価格で2度目の景表法違反)
今回措置命令を受けた5社の中で、過去2年間に全国の消費生活センターに寄せられた相談件数は、ジェイフロンティアは28件、ユニヴァ・フュージョンが13件、モイストが171件だったと言う。消費者庁によると「相談件数は、必ずしも今回の措置命令に関する商品についての相談ではない」としている。また、酵素サプリに関する健康被害情報についても「把握していない」と消費者庁の担当官は話している。
ブーム商材は牽制?過去には水素一斉摘発の事案も
サプリの素材を軸に、一斉に措置命令を出されたことは過去にも例がある。巷で空前の「水素」ブームが巻き起こっていた時分には、水素関連商材を販売する3社が一斉に措置命令を受けたケースもあった。(▽関連記事:水素商品で痩身効果などを表示、消費者庁が3社に措置命令(17年3月6日))
近年、「酵素」や「酵母」も美容・健康業界において、にわかに活気立っていた。そんな中、今回の件はブームを牽制するような形になっていると言えそうだ。なお、ここ半年の間には少なくとも2件の酵素サプリに関する景表法の措置命令が出ている。
(▽関連記事1:はぴねすくらぶ、酵素サプリで景表法違反…ダイエット表示に根拠なし(19年1月17日))
(▽関連記事2:アイケア酵素ドリンクで景表法違反、課徴金額は1814万円(18年10月25日))
つい先日に公表された、痩身や筋肉増強効果をうたう着圧衣類の9社一斉措置命令の際、消費者庁は「販売事業者が増え、過激な表現が目立ってきた」ことがきっかけの1つといった発言をしていた。(▽関連記事:「著しい筋肉増強効果」に初の措置命令、着圧衣類の通販9社が違反)今回の酵素の件について、「過激な表示が目立ってきたと言ったことから一斉措置命令に踏み込んだのか」との質問に対して、消費者庁の担当者は答えを濁した。
いずれにせよ、通販事業者は「出る杭は打たれる」にならないよう表示に気を使っていく必要があると言えそうだ。
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