2019.05.29 コラム
ついに最終回!世界で通用する商品画像とは?…売れる商品画像講座(12)
「通販通信」読者のみなさん、こんにちは。商品画像自動作成ツール「ZenFotomatic(ゼンフォトマティック)」を提供するグラムス(株)の三浦です。
当コラムでは、「売れる商品画像とはどんな画像か?」またその作成方法やオペレーション構築というネットショップ目線でのお話をしてきました。いよいよ今回で、当コラムはひとまずの最終回となります。
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今後、我々日本のEC事業者にとって、国内市場の縮小は目に見えた現実的な課題です。
ZenFotomaticには現在約150カ国から日々多くの商品画像がアップロードされており、さまざまな検証を進めています。
また日本国内でデータを眺めるだけでなく、私自身も実際に数カ国のユーザーの商品撮影現場に入り、業務フローの改善などを行ってきました。
最終回となる今回は当コラムでこれまで学んだことを振り返りつつ、世界で売れる商品画像についてシェアします!
世界で売れる商品画像とは?
最もシンプルに考えると、世界的なECプラットフォームのガイドラインをみれば、その答えが書いてあると言っても過言ではありません。
第一回コラムでもお話しした内容ですが、海外のプラットフォームに絞ってその内容を復習してみましょう!
Amazon
言うまでもなく現時点で世界EC市場の覇者はAmazon。もはやECで彼らに対抗して生き残る事は簡単ではありません。Amazonの商品画像登録ルールは世界共通で以下の通りです。(以下要約しています。)
- メイン画像の背景は純粋な白を使用する事。(純粋な白=RGB255,255,255)
- 商品を正確に表示し、かつ販売商品のみを表示すること。
- メイン画像に、商品に同梱されないアクセサリー類、購入者に誤解を与えるようなコーディネート品、商品の一部ではない文字、ロゴ、透かし、挿入画像を使用しないこと。
eBay
eBayは世界的に大きなシェアを持った巨大プラットフォームであり、世界で売る第一歩として、日本のEC事業者にとって最も現実的な越境ECプラットフォームです。eBayでもシンプル画像を推奨しています!(以下要約しています。)
- 境界線のないシンプルな単色の背景で撮影すること。
- 画像の背景は白からライトグレーまで。影はOK、鏡面反射(リフレクション)はNG。
- テキスト、ロゴ、ウォーターマーク、著作権マーク、枠などの装飾はNG。
- 1枚目画像は商品が画像フレームの80%〜90%を占める必要がある。
Alibaba(アリババ)
中国ECの覇者であり、世界でもその影響力を拡大しているアリババ。日本人としても、中国に販売できないということは世界市場の多くのを失うことと同意です。以下はBtoBサイトの商品画像掲載ルールです。特にメーカーの方は要チェックです!(以下要約しています。)
- 画像が正方形であること。
- 背景が白(または淡いグレー)一色であること。
- 商品が鮮明に写っていること。
- 文字が含まれていないこと。
- ロゴ以外の情報が含まれていないこと。
淘宝網(タオバオ)・天猫(Tmall)
中国の消費者向けEC市場の過半数を占めると言われる2つのマーケットプレイス。1日のセールイベントで楽天市場の年間流通総額を超える事もある売り場です。以下のポイントは現段階ではあくまで「推奨」にとどまってますが、昨今、楽天市場の商品画像ガイドライン改定にあったように、「推奨」がある日突然「絶対ルール」に変わるのがプラットフォーム。タオバオのセラーさん運営のサイトで要点をよくまとめられていますのでシェアします。(以下要約しています。)
- 白背景商品画像であること。
- ウォーターマークやテキスト、鏡面反射(リフレクション)などの装飾不可。
- 複数商品を一枚画像に表示することは不可。(写真一枚に一商品のみ収める)
- ハンガー、モデルの使用不可。
- 商品を写真内でできるだけ大きく表示し、センタリング(被写体を中心に設置)すること。
京东(JD.com)
アリババグループに次ぐ中国ECで外せないプラットフォーマー。”次ぐ”と言ってもその年間流通額15兆円以上です。巨大な無人配送センターなどテクノロジーへの投資も積極的で、言うなればAmazonのようなタイプでしょうか。そしてその商品画像ガイドラインもAmazonそっくりです。こちらもセラーさんのまとめページがありましたのでシェアします。(以下要約しています。)
- 白背景商品画像であること。
- 5枚以上の写真を使用すこと。
- 被写体(商品)の濃い影、鏡面反射(リフレクション)はNG。
- ウォーターマークの使用不可。
- 写真フレーム内において被写体と余白に統一性を持たせること。偏った構図や引き伸ばしなどはNG。
世界的ECプラットフォーム・モールに共通している商品画像ガイドライン
上記のプラットフォームに加えて昨今改定された楽天市場の商品画像ガイドラインにおいても商品画像の掲載ルールや推奨項目は異口同音で一致していますね。
- 白背景商品画像
- 装飾(文字・ロゴ・透かし・過度な反射効果など)不可
- 商品を大きく、中央に配置
もちろん取り扱う商材や顧客属性などによって多少の差異はあるでしょうが、これらは世界中で様々な商材を様々な地域で様々な層に凄まじい量を流通させているプラットフォーマー達が総じてセラーに強いているガイドラインです。
そしてそれは世界規模の流通総額や商品量・売上や顧客データなど、いちEC事業者のそれとは比較にならない情報量を元にABテストなど客観的テストを繰り返して検証した結果です。世界中のECプラットフォームがシンプルな、「白背景商品画像」こそ「売れる商品画像」だと判断していると理解して良いでしょう。
CVRだけじゃない、もう一つの利点
白背景商品画像やシンプルな商品画像、被写体のセンタリングや余白の統一など、世界のECプラットフォーマーがルールとして出店者に強いる理由はコチラでも言及している通り、スマホでの視認性が高いことやABテストの結果などの検証に基づき、そうした画像が消費者から求められていると判断しているからです。
加えてもう一つ、インターネットの世界で無視することのできない「Google」も、商品画像についてのガイドラインを策定していることをご存知でしょうか?
昨今、グーグルショッピング経由の流入対策も益々重要になっています。
前項で挙げたような世界的なECプラットフォームがそれぞれの出店者の商品画像をグーグルショッピングやグーグルの検索結果に表示するよう広告出稿してることからも、その重要性は理解できるでしょう。
例えば、日本でも楽天市場は、楽天側の負担で店舗さんの写真をGoogleに広告掲載しています。立派なプラットフォーマである彼らですら、そこに費用対効果を見出しているんですね。
勘の鋭い方はもうお気付きかもしれません。
Googleのショッピング検索の結果にECの商品画像を表示するためのGoogleが定めている登録画像のガイドラインが、各ECプラットフォーマーに共通するガイドラインと酷似しているのです。
つまり、Googleからの検索流入を増やすためには、各ECプラットフォーマーの商品画像の要件を満たしている必要があるのです。
しかも、Googleショッピングは2019年中にさらに強力なフィルタリングやOtoO(オンラインtoオフライン)、オムニチャネル領域にまで踏み込んだ大々的なリニューアルを計画しているという情報もあります。
ここでの検索結果にあなたの商品画像が掲載されるかどうかで、集客結果は益々大きく変わってくるでしょう。
海外ECサイトの商品画像の傾向は?
では、実際に海外のECサイトはどのような商品画像を採用しているのでしょうか?
商品画像の管理ツールを運営するPIXELZ社で、世界のECサイトからランダムに7万枚の商品画像をピックアップし、その要素を調査した結果がBlogで公表されています。
以下に内容を要約しました。
- 76%の商品画像が白背景商品画像
- 79%の商品画像において被写体がセンタリング処理されている
- 82%の商品画像において被写体の自然な影を残している
- 63%の商品画像において被写体と画像の縁の間の余白値がピクセル単位で正確に決められている。
それにしても、ほとんどのECサイトで非常に細かいところまで商品画像のクオリティーにこだわっていることがわかりますね。
特に欧州のECサイトでは商品画像に限らずビジュアルコンテンツが非常に重視されます。日本のEC事業者が世界で売るために、ビジュアルのクオリティーについては今一度再考の余地があるといえそうです。
イメージ画像と商品画像
昨今のECのマーケティングにSNSは欠かせなくなってきました。特にインスタグラムではEC向け機能が充実してきましたので、こちらも是非活用したいところです。
SNS・インスタグラムマーケティングについては良書に譲りますが、当コラムで考えていただきたい重要なポイントは、「SNS」と「商品ページ」の”場”としての本質的違いと、その違いに応じて写真を使い分ける事が重要だということです!
(コチラでも同テーマについて言及しています。)
例えるならば、
・インスタグラム(SNS)=雑誌やShow
・商品ページ=カタログや売り場
です。
それぞれの場に求められるポイントをシンプルに言うと、
インスタグラム(SNS)
- 世界観、ブランドイメージなどが伝わる”雰囲気”重視のイメージ画像
- 抽象的な中にも商品が主役となるイメージ画像
商品ページ
- 当該商品にフォーカスし、それ以外の余計な情報を省いたシンプルで明快な商品画像
- スマートフォン上でのスワイプによる高速な画面移動の中でもアイキャッチとなる、視認性の高いシンプルな白背景商品画像
商品画像もあくまでコンテンツ。ECにとってコンテンツとは顧客とのコミュニケーションツールです。
顧客の心理に全く見当違いなコンテンツを見せることは、実店舗内で来店された顧客に空気の読めない言葉で接客することに等しいのです。
インスタでの良い画像(イメージ画像)と商品ページでの良い画像(商品画像)は、根本的に全く異なります。イメージ画像と商品画像を混同してはいけません!
商品画像で言葉の壁は超えられる
海外展開においてクリアするべきハードルは多々ありますが、日本語が通じるのは世界で2%程度と言われる中、やはり言葉が不自由なことは大きな障害でしょう。
特に日本人の大半は外国語が不得意です。例えば英語だけ見ても日本人はアジア主要国中TOEFLのテスト「読む・聞く・書く・話す」全てで最下位です。
しかし、特に欧米などでは言語の違いはむしろ普通のことです。英語1つとっても、文法も発音もメチャクチャなレベルでも多くの人が英語圏で普通に生活しています。
私達日本人の環境と教育が、英語に限らず国外とのコミュニケーションを過剰なまでに型にはめてしまっていますが、現実社会はそんな堅苦しく流れてはいません。
さらに、考えてみてください。
特に物販ECは商品を介したコミュニケーションです。
言いたいことは可能な限りビジュアルで表現し、写真を増やして言葉で説明すべきポイントを最小限に押さえればよいのです。
前項でお話したように、正しい場に正しい商品画像が十分にあればコミュニケーションの80%は成立したも同じ。残りはGoogle翻訳で大丈夫です。
いくら心配しても、まずは始めてみなければ成功も失敗もありません。実際に案件を重ねながら都度都度改善し、対応品質向上の必要性とニーズのバランスが取れてくれば、そのときに必要な投資をすればよいのです。
国内でさえ事業を確立するのは時間もかかります。海外事業なら尚更です。だからこそ、少しでも早期に取り掛かることが越境EC成功への唯一の近道です。
商品画像で言葉の壁を超え、あなたの商品を世界中の消費者に見てもらいましょう!
・最後に
約1年、12回にわたる連載にお付き合いいただきありがとうございました!本連載ではECの商品画像の本質や業務効率化の考え方、ECでの販路拡大のためにやるべきことまでを扱ってきました。読者のみなさんのEC事業が益々発展するための一つのヒントになっていれば幸いです。
商品画像加工や商品撮影、それらの業務構築などで迷いが生じた際は、是非この連載の各記事を読み返してみてください!
Zenfotoコラムでは、当連載には書ききれなかった更に細かなトピックも沢山掲載していますので、あわせてチェックしてみてください。また、商品画像の撮影・画像加工体制の仕組化やシステム構築でお困りごとがある際は、是非当社までお気軽にご相談ください!
アパレル商社で社内システム開発・保守に従事し同社でEC事業を立上げ。2010年グラムス(株)を設立しネットショップ9店舗を立ち上げ運営。各種業務システムを自社開発した中から商品画像の処理機能をZenFotomatic(ゼンフォトマティック)としてローンチ、世界150カ国以上のネットショップに提供中。他、EC業務のシステム化コンサルティングやオフショア開発支援、海外人材採用やマネージメントのコンサルティング、EC業務フローやシステム化のセミナー登壇、勉強会での講師活動を行う。
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