2019.06.26 通販会社
春も即完売!新品スーツのサブスク『着ルダケ』が好調なワケ
(株)TO NINE、(株)リンクス、GMOシステムコンサルティング(株)、アマゾンジャパン合同会社の4社は18日、共催セミナー「ファッション×D2Cブランドの成功事例から学ぶ【D2Cブランドの立ち上げ戦略】」をアマゾンジャパン本社(東京都目黒区)で開催した。
同セミナーでは、ビジネススーツのサブスクリプションサービス『着ルダケ』を展開する(株)レナウンのUX事業部 課長の越田耕一氏が登壇。『着ルダケ』の現状やサービスを開始した経緯、スタートアップで苦労した点などを語った。
『着ルダケ』が好調な4つの理由
『着ルダケ』は、春と秋の年2回、それぞれ2着または3着の新品のビジネスウェアを届ける月額制サブスクリプションサービス。クリーニング、保管、衣替えなど、ビジネススーツの維持に関する面倒な作業をすべて『着ルダケ』が請け負うため、利用者は文字通り「着ルダケ」で済む。利用料は月額4800円(税別)からで、2年間利用すると、返却か買い取りを選び、再び新品のレンタルがスタートする。
新品の良質なスーツを手軽な価格でレンタルできることから、各種メディアで注目を集め、2018年7月に本格スタートして以降、利用者も順調に拡大している。今年の春からスタートするプランでは、2月8日に申込みを開始したところ、1ヶ月足らずでほぼ完売状態となったため急遽追加商品を用意し4月中旬から再度申込を受け付けた。
レナウンのUX事業部の越田耕一課長
越田氏は、『着ルダケ』が人気を集めている理由として、衣料品のレンタルサービスはクリーニングをしながら使い回すのが一般的だが、あえてシェアせず、自分専用のスーツが届くこと、細かなサイズ展開であらゆる体型をカバーしている点、レナウンのモノづくりのノウハウを結集させたこと、コーディネートやお手入れなどが相談できるコンシェルジュサービスを提供していることを挙げた。
『着ルダケ』誕生のきっかけとは?
同セミナーでは、『着ルダケ』が誕生した裏話や、立ち上げ時の秘話も明らかになった。越田氏によると、『着ルダケ』の誕生した背景には、当時のレナウンの社長による新事業の提案があったという。越田氏は「これまで弊社は商品を売るビジネスを行っており、利用型のビジネスはしたことがありませんでした。社長から顧客接点をより深める新しい取り組みが必要だという提言があり、ファッションを着る以外の面倒なことを取り除くサービスできないかと考え対象のジャンルを弊社が得意なビジネスウエアに絞り、事業化を検討しました」と語った。
社長の提言を契機に、16年の年末から戦略を練り始め、17年10月中旬に事業化が決定。そこから18年3月のトライアルスタートに向けて、急ピッチで動き出した。
事業化を助けたのは2つの支援サービス
越田氏は、「事業化を実現するために、クリーニングと保管する倉庫をワンセットにする必要があったのですが、既存のアパレル倉庫やクリーニング業者の組み合わせではできませんでした。寺田倉庫さんの『minikura+』の仕組みを活用すれば実現できるということがわかり、倉庫とクリーニングをワンセットで寺田倉庫さんにお願いしました」と話した。
『minikura+』は寺田倉庫が18年から始めたプラットフォーム事業で、誰でも自分だけの倉庫が持てるサービス。倉庫会社のノウハウを活かし、『着ルダケ』のほか、他のシェアリングサービスや、EC関連サービスの在庫管理をしている。
課題となったのは、サブスクリプションの土台となるECシステムの選定だった。「『着ルダケ』はサブスクでありながら、半年間商品を出荷しません。既存のサブスク関連システムは出荷がセットになっているため、利用できず、どの会社にも仕事を受けてもらえずにいたところ、GMOシステムコンサルティングさんの『ecOrigins(イーシーオリジン)』の紹介を受け、GMOシステムコンサルティングさんにお願いすることになりました」(越田氏)と語った。
『ecOrigins』はさまざまなサブスクリプションのスタイルに柔軟に対応できるEC構築プラットフォーム。ECやサブスクに必要とされる機能はすべて備わっているという。『着ルダケ』の事例では、初月に商品発送と課金、次月以降は課金のみ、半年後には商品発送と課金、といった独自のフローを設定した。
『ecOrigins』と『minikura+』の協力を経て、『着ルダケ』はシステムの検討から4カ月という短期間でのサービス開始を実現できたという。現在も何か問題などが起きた場合は課題を共有化するなど、3社が連動して『着ルダケ』の運用や商品の改善に取り組んでいる。
新品スーツのサブスクというスタートアップが成功の軌道に乗ることができたのには、新種のサービスを裏で支えるサポート企業の存在が大きかったようだ。
(山本剛資)
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