2019.07.30 通販支援
後払い決済で差別化へ、高額・分割対応の「後払いワイド」が誕生
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ネットショップが提供しているさまざま決済サービスのなかで、個人情報流出や偽サイトの問題などから、クレジットカードを利用せずに、商品が届いてから代金を支払うことができる「後払い決済」サービスを導入する通販企業が拡大している。後払い決済にもいくつかのサービスが存在し、競争が厳しくなるなか、通販会社を含む多数の提携カードを発行するポケットカード(株)が、分割・リボ払いに対応する新たな決済サービスを2019年4月に開始した。同社の新しい後払い決済サービス「後払いワイド」に迫った。
ポケットカード(株) 営業開発部・新規事業企画室の文原翔治主任
限度額30万円・分割・リボ払いが可能な新しい決済の登場
通販業界には後払い決済サービスが急速に普及しているものの、比較的単価の高い物品や役務を主たる商材とする事業者など、一部ではまだ後払い決済の導入が進んでいないケースも見受けられる。「後払いワイド」は、こうした高価格商材の後払い決済に対応した後払い決済サービスで、利用限度額は最大30万円となる。分割・リボ払いの利用も可能となっている。また、月に複数回利用した場合でも、月間のご利用分をまとめてご請求、お支払い日はご利用日の最大2ヶ月後というゆとりのある請求サイクルを実現している。
いわばクレジットカードよりライト、一般的な後払いよりワイドな決済サービスが、「後払いワイド」と言えるだろう。
独自の本人確認で簡便さとリスク担保を両立
なぜ、このようにリスクが高い高額商品や、分割・リボ払いに対応できるのだろうか。
ポケットカードの営業開発部・新規事業企画室の文原翔治主任は「分割払いやリボ払いを提供するためには、審査において割賦販売法という法律に即した対応が不可欠です。それゆえ、一般的な後払い決済サービスとは異なり、本人確認書類のアップロードにより本人を特定しつつ、外部信用情報機関への照会を実施します。「それではクレジットカードの入会と同じではないか」と思われるかもしれませんが、後払いワイドでは、クレジットカード入会時のように年収や居住情報、家族構成やローン残高などを聴取することはありません。本人確認書類のアップロードも、フリマアプリや口座開設などで利用されているアップロード手法と同様で、スマホ慣れしている現代人であれば、至極簡単にお申し込みいただけます」と、高額商品に対応できている理由について語った。
後払い決済にはスピーディーな審査が求められる反面、簡単すぎる与信だとリスクも高くなる。リスクヘッジとユーザビリティのバランスが重要で、同社ではクレジットカードの与信ノウハウを生かした手法で、簡便さと適確な審査を両立させている。だからこそ、偽りの個人情報などで高額の商品を購入して転売するといった悪意を持った不正者の申し込みも、未然に防ぐことができる。
後払い決済の隙間ニーズを把握しサービス化
後払い決済を提供する事業者も多いなか、なぜ同社は新規参入したのだろうか。文原氏は「まず、EC市場の拡大とともに、後払い決済の利用も伸びていくものだと捉えています。弊社は40年近くクレジットカードサービスを提供していますが、ネットショッピングでの利用も拡大しています。そこで、ネットショップのペイメント手法を調査していたところ、ネットショッピングにクレジットカードを利用しない人、利用したくない人が一定数存在することがわかりました。
こうした層に向けた後払い決済サービスの検討過程で、後払い決済市場を調査したところ、利用金額や支払方法、支払チャネルに対応商材と、様々な要素でまだまだ差別化させることができると考えました。そうして生まれた後払い決済サービスが、『後払いワイド』です」と語った。
新種の後払い決済の誕生でEC事業者の可能性を拡大
今後について、文原氏は「後払い決済を導入したくても、何らかの理由で導入を見送らざるを得なかった会社もあるでしょう。そんな時はぜひ一度、弊社にお声がけいただきたいと思います。様々なECサイトに順応する『後払いワイド』は、決済サービスの名称を自由に設定し、オリジナルの決済サービスとして導入いただくこともできます。売上や注目度の拡大、ユーザーの利便性向上といった面で、多くのEC事業者様に貢献していきたいと考えております」と抱負を語った。
後払い決済サービスの歴史は意外と古く、カタログ通販が全盛期の時代から、通販会社が自社サービスとして利用してきた。しかし、購入代金の未回収リスクが増えることや、払込票の発送業務が負担になることから、現在では同社のような事業者が提供する後払い決済サービスを導入するEC事業者が急増している。
高額・分割対応の後払い決済サービス「後払いワイド」は、こうした業界の流れから、新たなニーズを汲み取る形で誕生した。後払い決済を導入したくてもできなかったEC事業者や、分割・リボ払いでの後払い決済を新たなサービスとして提供したい企業にとっては、この新たな選択肢によって、自社ECの可能性を大きく拡大させることができそうだ。
https://www.tsuhannews.jp/documents/detail/197
(山本 剛資)
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