ヤフー(株)はこのほど、メディアやECなど、ヤフーの多様なネットサービスから得られるビッグデータを活用し、企業や自治体向けに事業の創造や成長支援、課題解決などにつなげるインサイトを提供する『データソリューションサービス』を開始した。
ヤフーのマルチビッグデータを活用するサービスを提供
同サービスは、ヤフーのビッグデータをブラウザー上で自身が調査・分析できるツール『DS.INSIGHT』と、企業・自治体の要望に応じ、『DS.INSIGHT』では提供していないデータも含めた分析結果や、活用支援のためのコンサルティングを提供する『DS.ANALYSIS』の2種類から提供を開始する。
ヤフーは検索やメディア・ECなど多岐にわたるマルチビッグデータを保有し、そのデータとAI技術を用いて、さまざまなサービスの改善を続けている。こうしたデータ活用を社外にも広げることで、企業や自治体の新たな価値を創出できると考え、約60の企業・自治体と実証実験を進めてきた。提供サービスの詳細は次の通り。
ツールとコンサルティングサービスを提供
◇ダッシュボードサービス『DS.INSIGHT』
生活者の興味関心を可視化する機能を持つ『DS.INSIGHT People』と、エリア特性や人流を可視化する機能を持つ『DS.INSIGHT Place』の2種。利用料は10万円~で、ライセンス数により変動する。
『DS.INSIGHT People』は、人気キーワードランキングといった俯瞰的な情報から、特定キーワードの「関連語」「時系列推移」「性年代などの属性分布」といった詳細情報まで、幅広く分析できるツールだ。
アンケートを用いた既存の市場調査を行う場合、調査設問の設計者がイメージできる範囲に調査結果が限定されてしまうという課題があるが、このツールは調査設問を設計する必要がないため、生活者の顕在化しているニーズだけでなく、潜在的なニーズやトレンドも分かるという。商品・サービスの企画などを支援する市場調査などの利用方法を想定している。
『DS.INSIGHT Place』は、ヤフーの位置情報データなどをもとに、特定エリアの生活者の実態や動きをまとめて可視化する。エリア特性・人流いずれの情報も、性年代などの属性分布に加え興味関心も紐づけて可視化できるため、ファッションや趣味趣向などの特定テーマで区切った層の分析も可能。街づくりやイベント運営、出店計画などを支援するツールとしての利用を想定しているという。
ヤフーは5日、『DS.INSIGHT』を実際に試せる体験スペース「DS.LAB」を、紀尾井町オフィス内にオープンする。気になるキーワードを入れて画面を見ることで、サービス内容をより理解できるとしている。
◇データ分析・事業活用支援コンサルティングサービス『DS.ANALYSIS』
ツールとして提供していないビッグデータも含めた分析、および事業への活用支援を行うコンサルティングサービス。個々のニーズに合わせてさまざまなビッグデータを組み合わせ、データによる課題解決をめざす。利用料は都度、個別に相談。
流通・不動産・地方自治体などで実証実験を実施
・(株)三越伊勢丹
子育て中の女性の服装に関するトレンドや悩みを導き出し、新商品につなげた。「抱っこひもをするとポケットが使いにくい」「自転車に乗りにくい」といった悩みを解決するロングスカートを開発し、9月25日から販売している。過去一番売り上げたスカートと比べ、初週の販売数は約2.6倍になった。
・東急不動産(株)
新規オープン予定の商業施設の売り場づくりに活用。周辺の出店動向や過去の運営経験などから売り場を検討していたが、ビッグデータに基づいてトレンドを分析。例えば「腕時計ブランドAが好きな人はスポーツブランドBも好きそうだ」といった併売分析を行うことで、実際の売り場づくりにとり入れていく予定という。
・ANAセールス(株)
ビッグデータから、3週間先の週次旅客数の予測が可能となった。ANA関連データと「地名+ホテル」のようなキーワードの検索数を使った予測を複数のモデルで検証したところ、一部の路線でベースラインより予測誤差を26%削減することに成功した。
・京都市・京都市観光協会
昨年の紅葉時期に、「観光快適度」の見える化で観光客の分散化を図る実証事業を実施した。その結果を踏まえ、9月から市全域の観光快適度を表示する取り組みを開始。「祗園・清水エリア」「嵯峨・嵐山エリア」「伏見エリア」の3つのエリア内の各観光スポットの時間帯別の観光快適度の表示を開始している。
■「ヤフー・データソリューション」サービスページ
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