楽天(株)が5日発表した「楽天 ヒット番付 2019」は、東の横綱が「増税前駆け込み消費」、西の横綱は「元年消費」となった。楽天市場では、増税前に日用品のまとめ買い、高額商品やリフォームなどの駆け込み消費が拡大した。また、食料品が軽減税率8%となることから、家で食事する機会が増えることを予測し、大型冷蔵庫を購入する人が増えるなど、ECユーザーの賢い消費スタイルが浮き彫りになった。
駆け込み需要にとどまらず、増税関連消費が幅広い分野に波及
「楽天 ヒット番付 2019」は、今年のトレンドを象徴するキーワードを番付で発表するもの。今年の消費動向や社会情勢を振り返り、楽天市場や楽天トラベル、ラクマなど、楽天グループ各サービスの購買・予約データから、東西の横綱・大関・関脇・小結と来年のヒット「期待株」の10個のキーワードを選定した。
楽天市場トレンドハンターの清水淳氏は「キーワードは社会的な背景と関連が深い。増税前の9月時点でも駆け込み需要はあまりないのでは、と言われていたが、楽天市場ではネット特有の駆け込み需要があり、増税がさまざまな消費に影響を与えた」と話し、一見関係がなさそうな消費についても、増税がきっかけになっており、増税は高額商品や日用品にとどまらず、間接的に幅広い分野での消費に影響があったとした。
東の横綱「増税前駆け込み消費」関連の商品群
キャッスレス決済関連本がバカ売れ
東の横綱「増税前駆け込み需要」に関しては、10月の消費税増税前の駆け込み需要によって、日用品のまとめ買いや、高額家電製品、リフォームなどが楽天市場で好調だった。8~9月の2カ月の売上・予約は、テレビが前年同期比131%増、リフォームは同70%増だった。
また、政府が実施するキャッシュレス・ポイント還元事業への関心の高まりから、「楽天ブックス」では、キャッスレス決済に関するガイドブックがヒットし、キャッシュレス関連本の売上・予約は、8~9月の2カ月間で前年同期比92%増となった。17年との比較では、19年は26倍となっている。
西の横綱「元年消費」関連の商品群
「元年消費」で万葉集関連本が948%増
西の横綱「元年消費」は、令和元年に関連し消費のことで、楽天トラベルでは、上皇上皇后両陛下が譲位の報告で伊勢神宮を参拝された際や、世代を超えた「聖地巡礼」ブームなどもあり、伊勢方面への旅行が急増した。参拝に欠かせない御朱印帳を求める人も増加した。
楽天市場で「御朱印帳」の19年売上・予約は、前年比28%増で、伊勢・二見エリア宿予約(楽天トラベル)は、同110%増だった。また、「駆け込み婚」(令和元年に結婚の時を迎える駆け込み婚需要)もあり、令和の文字が日付に反映されたデザイン性に富んだ現代風の婚姻届が楽天市場で同40%増となるなど、好調だった。令和の典拠となった万葉集の関連本は、同948%増 (楽天ブックス)と、爆発的な売れ行きだった。
サスティナビリティな商品が好調、宅配ボックスが56%増
大関は東が「ゆるサス消費」、西が「サウンドジェニック」となった。「ゆるサス消費」では、環境に配慮した「レジカゴバック」(前年比123%増)や「宅配ボックス」(同56%増)など、日常生活にサスティナビリティを取り入れる商品が支持された。
また、趣味にサスティナビリティを取り入れる消費活動も活性化。アイドルグッズをフリマアプリで売買したり、ホテルで歯ブラシなどの持参・シーツ交換をしない代わりに宿泊費が安くなる「エコプラン」も人気を集めた。「アイドルグッズ」は同125%増、エコプランは同37%だった。
西の大関「サンドジェニック」は、聴覚や視覚への刺激がもたらす脳がゾワゾワする感覚「ASMR(自立感覚絶頂反応)」など、リアルな音に関するニーズが高まり、ワイヤレスイヤホン(同130%増)、高性能マイク(同478%)が好調だった。
世代別の消費傾向が顕著に
関脇は東が「20代の“投資”消費」、西が「60代のアクティブ消費」となった。「20代の“投資”消費」は、オーダーメイドスーツなど、自分自身の価値を高める高付加価値ファッションには積極的に投資する傾向が若者世代に顕著となった。また、美容家電やエステの予約など、将来に向けて20代から美容に投資する傾向も見られた。
「60代のアクティブ消費」では、60代の世代がバイクや楽器など、自分の趣味に関連した商品が好調だった。また、CtoCアプリで農家から指名で野菜を購入するなど、規格外のみかんや野菜、お米の食べ比べセットなどの人気が高まった。
小結は東が20年から小学校教育に導入される「プログラミング学習」や「英語教育」に先行投資する「教育改革先回り消費」、西が「くつろぐ」「まったりする」という意味のチルアウト(Chill Out)から派生した「チル消費」となった。チル消費では、休日をまったりと過ごすためのプロジェクター(同119%増)や焚き火台(同47%増)、グランピングなどの旅行プラン(同45.9%)などが売れている。
2020年の期待株、東「裏スポーツ需要」・西「2020暮らし方改革」
2020年の期待株は、東が「裏スポーツ需要」、西は「2020暮らし方改革」となった。「裏スポーツ需要」は、東京五輪を迎えるにあたり、その裏に起きるさまざまな需要をまとめたもの。東京五輪の競技日程によっては、通勤への影響があることから、大会期間中のリモートワークを採用する企業も存在。モバイルPC、Wifiルーターなど、社外勤務に必要なアイテムの需要拡大が見込まれている。
そのほか、家ナカ消費向けをサポートする「ミールキット」(楽天西友ネットスーパー)、オードブル(楽天デリバリー)などの利用増が見込まれている。また、東京在住者が都内以外に宿泊する「東京脱出」宿泊もすでに予約が伸びているという。
西の「2020暮らし方改革」は、これまで日本では世界的なビッグイベントの開催で、携帯電話の一般化など、社会生活を一変する変革が起きたことから、5GやIoTなど、次世代テクノロジーが普及することが見込まれている。楽天市場ではすでに「AI家電」が前年比26%増、「VRゴールグル」が同29%になるなど、その傾向が見え始めている。
楽天では、これらのヒット番付に選ばれたキーワード関連商品などをまとめ「楽天 ヒット番付2019」特集ページを公開している。
■「楽天 ヒット番付 2019」
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