楽天(株)が7日発表した2019年12月期第3四半期(1~9月)連結決算は、売上高にあたる売上収益が前年同期比14.6%増の9057億8100万円、営業利益は同15.4%減の1129億6700万円、141億1700万円の純損失(前年同期は1079億2300万円の純利益)と、大幅な赤字となった。投資先でライドシェア事業を展開する米Lyft社の株式評価額が大幅に下がり、1104億3300万円の損失を計上したことが響いた。
キャッチフレーズ「WALK TOGETHER」を追加
三木谷浩史会長兼社長は、「今回の決算期では、コア事業の売上が20%増、営業利益は50%増と成長したことと伴に、今後の成長に向けた継続投資が行われた」と今回の決算を総括。また、「楽天はインターネットで社会をエンパワーメントするという理念を掲げているが、この度、新たに「WALK TOGETHER」というキャッチフレーズを大きく掲げ、さまざまな企業や店舗、ブランド、そして社会全体をエンパワーメントしていくために、新しいキャッチフレーズともに歩んでいきたい」として、楽天出店者や関連企業とともに歩んでいくことを強調した。
今回の決算では、グループの事業を「コア事業」(楽天市場、楽天トラベル、楽天カード、楽天銀行など)、「成長フェーズビジネス」(ラクマ、海外事業ほか)、「投資フェーズビジネス」(楽天モバイル、物流関連投資、ペイメント事業など)の3つの分類に分けて、それぞれの業績を発表。コア成長事業の第3四半期(7~9月)期間の業績は、売上収益が前年同期比20.2%増の2608億円、営業利益が同50.8%増の372億円と好調だった。
楽天市場や楽天トラベルなどを含む国内EC流通総額は、第3四半期期間で前年同期比18.4%増の1兆128億円に達し、四半期ベースで初めて1兆円を突破した。国内ECの四半期業績は、売上収益が同24.6%増の1273憶5200万円、営業利益が同1.5%減の151億800万円となった。
モバイル流通総額比率は過去最高の74.1%
楽天市場のモバイル流通総額比率は、過去最高の74.1%となり、前年同期比で4.8%ポイント上昇した。楽天市場の流通総額のうち、楽天カード決済が占める比率は、過去最高の63.1%を記録した。
物流面では、自社流通網の「Rakuten EXPRESS」の人口カバー率を年内に60%に拡大。楽天市場の倉庫から商品を発送する「Rakuten SUPERLOGISTICS」は、20年から千葉県の習志野と神奈川県の中央林間に新たな物流拠点を開設し、21年までに楽天市場のGMSカバー率を50%に拡大する予定。
MNOを海外展開へ
投資フェーズであるモバイル事業では、「コアテクノロジー」「顧客獲得」「基地局開設」の3つに課題を分類。コアテクノロジーはすでに仮想化ネットワークを稼働し、世界初の商品オープンRANプラットフォームを構築した。また、日本のMNOサービスを「グローバルMNOプラットフォームサービス」として、海外に展開していく方針を掲げた。MNOを海外展開することについて、三木谷氏は10月1日の発表時点で、まずは国内の事業を安定化させることを優先し、海外展開についてはその後検討する方針を示していた。今回は海外展開を明言しており、国内の安定化に目途が立ったと考えられる。
商用化に目途?三木谷氏「つながらないところがなくなってきた」
基地局は年内に3000局が開設する予定で、口頭で内諾を得ている基地局は既に6500局に達しているという。MNO無料サポータープログラムの開通率は98.3%に達した。
携帯事業の正式なサービス開始時期について、三木谷氏は「自分自身でも利用しているが、8月、9月にはつながらないところあった。今はつながらないところがなくなってきた。無料サポーターズプログラムのユーザーは1日1Gを超えるほど、ヘビーに使ってもらっている。基地局の拡大でカバレッジがここまでいけば大丈夫というところまでいき、細かいテクニカルなチェックを行った上で、できるだけ早急に商用化したい」と話し、商用化の開始時期は明言しなかったが、商用化の時期が確実に近づいているようだ。
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