大手製薬メーカーのロート製薬(株)が通販事業のCRMを本気で強化してきている。手始めに通販化粧品ブランド『糀肌(こうじはだ)』で、さまざまな施策に取り組み、直近1年でクロスセル成功率を200%に改善し、さらに初回購入時の定期申し込み率を20倍まで高めた。ロート製薬の‟本気のCRM”構築を支えているのが、総合ダイレクトマーケティング支援を手がける(株)ダイレクトマーケティングゼロ(以下、DM0)だという。
(写真左から、ロート製薬のダイレクトマーケティング部・副島有加氏、同・瀧本梨津子氏、DM0田村雅樹社長、ロート製薬のダイレクトマーケティング部・網野麻紀子マネージャー、同・仲本美穂氏)
1通の‟SOS”メールから『糀肌』の戦略を大改革!
ロート製薬では、(1)成長期の子どもをサポートする飲料『セノビック』、(2)アイケア機能性表示食品『V5粒』ブランド、(3)自然由来の保湿成分を配合した自然派化粧品ブランド『糀肌』--などを中心に通販事業を展開している。
誰もがその名を知る大手企業であるロート製薬だが、通販事業の歴史は意外に浅い。もともとドラックストアなど店舗への流通が強い会社であることから、社内にダイレクトマーケティングのノウハウがほとんどない状態でのスタートだったそうだ。
そのような状態から、DM0とタッグを組み“本気のCRM強化”に取り組むまで、どのような経過があったのだろうか。
ロート製薬 ダイレクトマーケティング部・網野麻紀子マネージャーとDM0田村雅樹社長に話を聞いた。
――まずはDM0のコンサルを導入した経緯を教えてください。
ロート製薬 網野マネージャー(以下、網野):DM0さんのことは、かなり前から知っていました。セミナーにも何度か参加させていただいていて、過去にはサポートをお願いすることを考えていた時期もありました。ただ、コンサル費が高額なこともあり当時の事業規模では手が出せなかったんです。
――どのような課題を抱えていたのでしょうか。
網野:売り上げが伸び悩み、部内での課題も以前にも増して大きくなっていました。にもかかわらず「何ができていないのかがわからない」「優先順位の付け方や、あらゆるリソースの配分の仕方がわからない」状態。正直、データの取り出し方・分析・検証も色々やってみるものの、正解がわからなくなっていました。
DM0田村社長(以下、田村):弊社に「SOSメール」をいただいたのは、2018年夏ごろのことでしょうか。まずは、自然派化粧品ブランド『糀肌』からコンサルを、というお話でスタートしたんですよね。
網野:はい、そうですね。『糀肌』ブランドのロイヤル顧客は、都度買いで複数種類の商品をまとめ買いをされる方がほとんど。そのため、定期購入を強く推すことができず、定期的に安売りのキャンペーンを組んでまとめ買いを促す戦略を取っていました。
田村:都度買いをメインにしていたこともあり、キャンペーン施策のオファーもとにかく「安くしたのでどれでも自由に買ってください!」といったニュアンスの売り込み色が強い内容が多い印象でした。
網野:初回同梱やDMによる販促など、単品通販における定石の施策は一通り手がけていたものの、見よう見まねでの取り組みという感じでした。狙いが明確化できていなかったですね。そこをDM0さんに助けていただき、現状の整理と向かうべき方向の設定ができました。
クロスセル率200%改善!クロス内定期率も70%強に
田村:具体的な取り組みとしては、まずデータの取り出し・分析を行って既存顧客のLTVマップを作成しました。その上で、これまで力を入れていなかった「定期購入」の仕組みを強化していく方針を明確にしましたね。
網野:はい。もともと、新規購入時に定期購入を積極的にお勧めしていなかったこともあり、DM0さんと取り組みを始めてから、F2転換時の定期率は約20倍へと大幅に向上しました。
田村:今までの「単品+都度買い」から、「定期購入誘導+ライン商品のクロスセル案内」に切り替え、ブランド全体における“売り方そのもの”を大きく変化させる必要がありました。
網野:『糀肌』のメイン商品は『糀肌くりーむ』で、この1品のみで新規顧客を獲得していました。化粧水やプラスケアアイテムはあったのですが、きちんとお勧めできてない状態でした。そこで、最初から2品購入に誘導したところ、クロスセル率は200%と大幅に向上。さらに、クロス購入いただいた方のうち定期購入者の割合は70%超えにまでなりました。
田村:既存のお客様に対しても、大きくコミュニケーション方法を変える必要がありました。まず手を入れたのが会員向けの会報誌ですね。企画・制作を当社にお任せいただけることになったので、仕様や構成などを全面リニューアルしました。
――具体的にはどのような構成にしたのですか?
田村:「お好きなものをお好きなだけ買ってください」といった単回購入のオファーのみを打ち出していた構成を、「定期加入」「ラインでの複数品購入」を目的としたものに変えていきました。
網野:メイン商品の『糀肌くりーむ』を中心に、相性の良い商品を組み合わせて、トータルケアを訴求する内容に変更するように、アドバイスをいただきました。
田村:また、従来はすべての顧客に同一のキャンペーンDMを送付していたのを、定期者・非定期者それぞれに別の宛名台紙を付け、オファーや訴求を変えて、目的の「定期加入」「ラインでの複数品購入」での複数品購入を促してきました。オファーも「定期加入することが顧客にとって一番お得で続けやすい」という設計に変更し、会報誌という媒体の特性を生かした連続コミュニケーションを意識して、特集もそれに添ったコンテンツにしています。
――成果はいかがですか?
網野:会報誌の取り組みは早くも成果が出てます。会報誌からの定期引き上げ率は50%強。さらに、そのうちのクロス率は約70%まで上がりました。
――DM0のサポートは、どこまでの範囲だったのでしょうか?
田村:戦略設計はもちろんですが、システム実装まわりや現場業務の改善も手がけました。CVRを最適化する取り組みとして、LP内の遷移数の見直しやEFO、価格オファー文の改善といったCTAまわりも手を入れましたね。
網野:コールセンターの解約抑止のトークスクリプト監修も見ていただいて。
田村:うちのサポート範囲はシームレスなので。ほとんど”何でも屋”状態ですね(笑)。
ロート製薬「DM0のアドバイスは全て的確で成果に直結」
網野:(DM0は)ズバズバと言ってくれるのですが、正直カチンと来ることも多くて(笑)。とはいえ、アドバイスはすべて的確で成果につながっている。なので余計に腹が立つんですよ(笑)。戦略以前の通販というビジネスモデルやお客さまに対する意識の持ち方などについて“本質的なこと”も、きちんと教えていただいてます。ダイレクトマーケティング部のメンバーに方向性や向き合い方を示してくださり、意識を大きく変えることができたのは大きいですね。
田村:成果は出てますが、まだまだ小粒の段階なので。事業全体が“いい波に乗っている状態”を一緒に味わいたいですね。そのためにも新規獲得をテコ入れし、PDCAを高速で回して改善を繰り返していければと思ってます。
――『糀肌』以外のブランドもDM0がコンサルティングを手がけているとか。
田村:はい。『セノビック』でも成果が出てきているので、今後は『V5粒』など別ブランドのサポートもさせていただければと考えてます。
網野・副島:『糀肌』ブランドは10月より全面リニューアルを行いました。これを機にDM0さんと二人三脚で大きな成果を出していきたいと思っています。当社との取り組みが「DM0にとって最高の事例」と、他社さんに紹介してもらえるようになりたいですね。
田村:ありがとうございます!
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