(株)矢野経済研究所がこのほど公表した国内のアフィリエイト市場調査の結果によると、伸長率は鈍化気味だが、市場は拡大傾向にあることが分かった。サイト数も増加が続いている。
18年度は10%増の約2882億円
まとめによると、2018年度の市場規模は、前年度比110.2%の2881億8000万円まで拡大。19年度も同様な傾向が続いており、同108.7%の3133億2000万円と見込んだ。主要なサービス事業者は、引き続き売上が拡大。伸びは鈍化しつつあるものの、市場は拡大の傾向にある。広告主による出稿数の増加とともに、アフィリエイトサイト数も増加が続いている。
GWで旅行系、増税で家電が伸長
業種別では、金融分野、特に仮想通貨やロボアドバイザーなどの投資や資産運用に関する商材で市場が拡大した。EC分野も大きく伸びており、その他、19年のゴールデンウィークが通常より長期間だったことによる旅行分野、10月の消費税増税前の駆け込み需要により、家電分野が拡大した。販売手法をみると、単品商材を中心とした定期購入(サブスクリプションモデル)が増加するなど、単価の高い案件が増えており、市場の拡大に寄与している。
事業者各社は、アフィリエイトパートナー(サイトオーナー)であるメディアの強化や獲得に注力するとともに、既存の広告主に対し出稿数の増加を図った取り組みが成果につながっている。優良顧客を送客してほしいという広告主のニーズを満たしたメディアネットワークを構築し、広告主の出稿効果に結び付ける取り組みを実現した事業者は、広告主やメディアへの信頼を得ることで、さらにクライアント数が増加し、売上拡大につながっている。
クッキー制限などネガ要素も
外部環境に関しては、ITP(Intelligent Tracking Prevention:サイトトラッキングの抑止機能)によるクッキーの制限や、Googleアルゴリズムのアップデートによる検索順位変動のほか、ヤフーのレギュレーションの強化によるアフィリエイトサイトの広告出稿の厳格化など、アフィリエイトサイトにとってネガティブと考えられるレギュレーションの変更が行われた。
また、広告出稿の厳格化に関しては、Facebookなどのソーシャルメディアでも、広告出稿専用アカウントの閉鎖といったレギュレーションの厳格化が図られるなど、アフィリエイトメディアに対してもネガティブなインパクトを与えている。
現状のプラットフォーマーによるレギュレーションの厳格化に関しては、景品表示法や薬機法などを遵守しない一部パートナーや広告代理店に影響を与えているものの、優良なメディアや広告代理店は影響を受けていない。違法サイトが追放されるということは、アフィリエイト業界にとってはプラスになり、決してネガティブ要因ではないと考える。
23年度には市場規模4654億円へ
市場は今後も拡大を続け、23年度の国内市場規模は4654億1400万円まで拡大すると予測。要因としては、まず、広告主として自社ブランドの製品を持つ大手企業であるナショナルクライアントのインターネット広告への出稿が増えていることを挙げる。
この流れは、ダイレクトレスポンス系の広告やECサイトでの広告出稿増加につながる可能性が高く、市場でもプラスに影響するとみる。アフィリエイトの提案による広告出稿効果が確実に出てきており、アフィリエイトへの評価が高まっていることも市場拡大の背景にある。
次に、EC化率の拡大も要因となり、商品購入時のEC化率の拡大やEC決済サービスの導入障壁が低くなっていくことが挙げられる。女性向けのダイエット商材やコスメ商材など期待され、サブスクモデルの浸透も市場を牽引する要因となると期待されている。
それ以外では、キャッシュレス化の進展による金融分野の拡大のほか、パートナーを登録制とするクローズドアフィリエイトサービスを提供するサービス事業者やメディアが増えていることも挙げられるという。
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