楽天市場の「送料無料ラインの問題」の話題が尽きないなか、楽天市場の有力店舗による任意組織が立ち上がるーー。楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーの常連受賞店など12店舗を準備委員会発起人とした「楽天市場出店者 友の会」が3月5日、都内で設立準備委員会を発足する記者発表を行なった。友の会では、楽天市場の「送料無料化」施策自体には賛成の立場をとっており、「楽天市場のバリューがあがり、楽天・出店者・ユーザーがハッピーになれることをめざしていく」としている。
「友の会」発起人メンバー。中央は(株)大都の山田岳人社長
「友の会」に114店舗が参加、年内に5000店舗の参加が目標
「友の会」は発起人の12店舗以外に、すでに102店舗の加盟も決定。正式な設立は4月の上旬の予定で、年内に5000店舗の参加を目指す。近日公開予定の「友の会」公式サイトで順次、加盟店舗名を掲載していくという。参加条件は、店舗名を公表できる楽天市場の出店店舗で、年会費などの会費は必要なく、今後は幅広い出店者に参加を呼びかける。
「友の会」は、送料無料問題を受けた公正取引委員会と楽天とのやりとり、また楽天ユニオンの動向、そして一部報道について「楽天と公正取引委員会のやりとりに、店舗が不在であること」「楽天ユニオンの声は総意ではないこと」などから、現状に危機感や違和感を覚えた店舗の代表が声をかけあい、立ち上がった。出店店舗の自主的な動きから立ち上がった組織だ。
大都・山田氏「やるべきことは楽天市場のバリューが上がっていくこと」
設立の目的は、楽天出店店舗の経営者と、三木谷浩史社長以下楽天の経営陣が、「楽天市場」のバリューを向上させるため、EC業界の将来展望を忌憚なく話し合う場を持ち、エンドユーザーにとって満足度の高いサービスの実現させていくこと。発起人の1人である「DIY FACTORY ONLINE SHOP」を運営する(株)大都の山田岳人社長は会見の中で「楽天市場に出店している身としては、(昨今の報道で)楽天の価値が下がっていくことを危惧している。やるべきことは、楽天市場のバリューが上がっていくこと。理念は『楽天出店店舗が楽天とともにより良い日本のECの未来を創造する』。楽天と店舗は共存共栄の対等な関係になる」と話し、規約の変更や新たな施策などは、売り場である店舗と楽天市場が話し合いをして決めていくべき、と強調した。
■「楽天市場出店者 友の会」設立準備委員会発起人
(ショップ名/企業名/発起人名)
DIY FACTORY ONLINE SHOP/(株)大都/山田岳人氏
イーザッカマニアストアーズ/(有)ズーティー/今石雄介氏
etre! par bleu comme bleu/(株)ブルーコムブルー/松田英昭氏
京都 きもの京小町/(株)マルヒサ/村井洋仁氏
くまもと風土/(株)コムセンス/吉永安宏氏
米・雑穀のみちのく農業研究所/(株)東穀/長濱洋平氏
SILVER BULLET/(株)ピー・ビー・アイ/高木孝氏
chuya-online/(有)プラグイン/高尾太郎氏
ドライフルーツナッツ専門店 小島屋/(株)小島屋/小島靖久氏
新潟の日本酒と甘酒 越後銘門酒会/(株)原商/原和正氏
帽子屋 QUEENHEAD/(株)イマリ/久保雅也氏
森水木のラン屋さん/(有)宮川洋蘭/宮川将人氏
※店舗名は配布資料の記載順
報道に危機感を抱く出店者から、「友の会」設立の声が自発的に発生
「友の会」の設立は「特定の誰かによって始まった話ではない」とし、現時点では12人全員が共同代表といった形式だ。記者発表は(株)大都の山田岳人社長の仕切りで進行。一時的な事務局は「chuya-online」の(有)プラグイン内に置く。
設立の背景には、「送料無料ラインの統一」をめぐり各店舗のユーザーや店舗とその従業員や家族、取引先が不安感をいただいてしまっている状況を打破すべき、との思いがある。「楽天市場」そのものの価値が下がってしまっているのではないかということに強い危機感を持った店舗が動いたのだ。
また、楽天ユニオンと対立する組織ではないと明言しながらも、一部報道で楽天ユニオンの声が出店者を代表する総意であるかのように取り扱われることに「違和感」もあったと会見で話した。
送料無料ラインの統一は賛成の立場、発起人の原氏「独禁法に抵触していない」
「送料無料ラインの統一」施策については、「友の会」としては「賛成」の立場をとる。ただし、新型コロナウイルスの影響を鑑み、3月18日の送料無料ラインの開始については、延期を三木谷社長に直接要望したという。
代表幹事12人と楽天の三木谷社長は、2月28日の夕刻にテレビ会議によるミーティングを実施している。その際には、物流センターのスタッフが出勤できないなど、新型コロナウイルスの影響を鑑み3/18の送料無料施策スタートの一時延期を提言。大都の山田社長は「検討に入ってもらう旨の発言をもらっており手応えを感じている」と話した。そのほか、「安心サポートプログラム」についても進言したという。なお、送料無料化の施策延期の提言は、公取による緊急停止命令申し立てに影響したものではないとしている。
公取委の緊急停止命令の申し立てついて、発起人の1人である原商(株)の原和正社長は「楽天と店舗は対等で共存共栄の関係。友の会は緊急停止命令を望んでいない。また、(送料無料ラインの統一は)2019年1月末に楽天新春カンファレンスが公式発表され、充分な話合いの場があった。タウンミーティングでも話合いを重ねた。送料無料ラインの統一は独禁法に抵触しないと考えている」と話した。
また、すでに対応済みの店舗や準備中の店舗は、システムの変更などに費用を投じており、「今さら中止されてもこまる」という事情もあるという。
送料込み表示ができない店舗の救済も検討
商習慣によって送料込み表示ができない店舗が存在することにも理解を示し、「対策を一緒に考えていきたい」と話した。「楽天ユニオン」との違いは、楽天との話合いによる問題解決を求めていくこと。楽天ユニオンに参加している店舗も「友の会」への参加が可能で、楽天ともに、送料込み表示ができない店舗の対策を考えていく姿勢を示した。
具体的な活動としては、楽天幹部と加盟店舗との意見交換会や、WEBを通じたコミュニティーを設けていく。加盟店舗の声を吸い上げ楽天側へ提案としてフィードバックしていくという。
EC業界の健全な発展に向けた情報発信や調査研究活動、地方の店舗との連携強化や地域創生活動の参画、勉強会・研修の実施も予定している。会の運営費については「年会費といったものは徴収せず、勉強会の参加費などでやりくりしていく予定」とした。また、具体的な加盟店の募集方法も「未定」とした。
■「楽天出店者 友の会」設立準備委員会 発表資料内容
<理念>
楽天出店店舗が楽天株式会社と共に、より良い日本のECの未来を創造する。
<ミッション>
(1)楽天市場をお客様にとってより素晴らしい市場にしていく。
(2)中傷零細企業、街のパパママショップ、地方のショップがエンパワーメントされる楽天市場を作り上げていく。
<経緯と目的について>
・経緯
本会設立発起人を中心に、楽天三木谷社長との面談を依頼し実現。その面談内容を踏まえ本会の準備委員会を設立、可及的速やかに会の立ち上げを目指す。
・目的
楽天出店店舗経営者と三木谷社長以下楽天経営陣がEC業界の将来展望他を忌憚なく話し合うことで、楽天市場をユーザにとってより満足度の高いサービスに進化させていくことを目的とする。
<背景について>
楽天市場は店舗にとって売り場であり、売り場のことは楽天と店舗との話し合いで決めるべきところ。現状においては楽天と公正取引委員会との動きに店舗が不在であることに危機感。お客様、店舗、店舗従業員、家族、取引先など、様々な関係者に不安感を抱かせる現下の状況を打破すべきと思いました。
<今後の活動>
1)楽天幹部とのコミュニケーション強化
ー定期的な参加店舗との意見交換会
ー代表幹事店舗とのオンラインコミュニケーショングループの組成
2)参加店舗の声を吸い上げ様々な提案をする
ーコロナウイルス下における3月18日実施予定の送料無料施策についての配慮
ー安心サポートプログラムについてへの進言
3)EC業界の健全な発展に向けた情報発信及び調査研究活動
4)地方所在の参加店舗の連携強化及び地域創生活動への参画
5)参加店舗向け勉強会・研修の実施
<問い合わせ先>
「楽天出店者 友の会」設立準備委員会 事務局
(有)プラグイン 総務課内
mail:info@rakutomo.jp
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