(株)電通が11日発表した「2019日本の広告費」によると、総広告費は前年比106.2%の6兆9381億円で、8年連続のプラス成長となった。インターネット広告が6年連続二けた成長を示し、初めて2兆円超えを達成した。総広告費は、新たに「物販系ECプラットフォーム広告費」と「イベント」領域を追加推定した。
マスコミ4媒体広告費は同3.4%減、5年連続の減少
「物販系ECプラットフォーム広告費」は、生活家電・雑貨、書籍、衣類、事務用品などの物品販売を行うECプラットフォーム上で、当該プラットフォームへ「出店」している事業者が当該プラットフォーム内に投下した広告費と定義。19年7月にD2C・CCI・電通の3社共同で「物販系ECプラットフォーム広告費」を発表したが、今回の調査で「日本の広告費」との重複部分を排除、再定義し追加推定した。
「日本の広告費」は、マスコミ4四媒体広告費とインターネット広告費、プロモーションメディア広告費の大きく3つに分類される。
マスコミ4媒体広告費は前年比96.6%の2兆6094億円となり、5年連続の減少。新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディアとも、すべて前年割れとなった。
ネット広告はテレビ広告を逆転、物販系ECモール広告が押し上げ
6年連続で二けた成長を遂げているインターネット広告費(媒体費+広告制作費+「物販系ECプラットフォーム広告費」)は、同119.7%の2兆1048億円。大型プラットフォーマーを中心に堅調な伸びが続き、テレビメディアの1兆8612億円を上回った。今回追加推定の「物販系ECプラットフォーム広告費」が、全体をさらに押し上げた。
内訳は、媒体費が同114.8%の1兆6636億円、制作費は同107.9%の3354億円。「物販系ECプラットフォーム広告費」は1064億円。参考値だが、同129.4%程度とみられる。さまざまな情勢の変化で日本のGDPが減速する中でも、インターネット広告が変わらずに広告費全体を牽引したと総括している。
運用型広告が全体の伸びに寄与
ECプラットフォーム広告市場は物販系、サービス系、デジタルコンテンツ系の3つから成り立っている。今回は、その中でも推定が困難なサービス系、デジタルコンテンツ系以外の「物販系ECプラットフォーム広告費」を追加指定した。推定に関しては、すでに「日本の広告費」に含まれている部分は排除した。
多くの人がスマートフォンで情報を検索する時代。19年も「大規模プラットフォーマーを中心に、インターネット広告が高い成長率をみせた。広告主にとって、閲覧頻度やユーザー数が多いインターネット広告は利点が多く、高い効率が見込める運用型広告が全体の伸びに寄与する流れは例年通り変わっていない。
マスコミ4媒体由来のデジタル広告費が23%増
そうした中、「マスコミ4媒体由来のデジタル広告費」が、インターネット広告費の伸び率よりも高く伸長している。19年「のマスコミ4媒体由来のデジタル広告費」は715億円で、前年比122.9%と二けた成長。特に雑誌、テレビメディア関連動画のデジタル広告が伸びた。
プロモーションメディア広告費は、同107.5%の2兆2239億円。デジタルサイネージ化が進む屋外広告、交通広告と、広告業が取り扱うイベント領域を拡張推定した「イベント・展示・映像ほか」が増加した。
DMは減少もEC顧客へのDMなど、オンオフ統合企画は拡大
DMは3642億円で前年比99.0%だったが、ECサイトの拡大とともに、紙のDMをタイミングよく的確な顧客へ送付、購買などへつなげるオンオフ統合企画は顕著な増加だった。DMを利用したサンプリング手法が活発化した。試供品を同梱することで、大きさや重さが通常の紙DMとは異なるケースも増加した。
AIロボットや次世代サイネージなどリテールテクノロジーを強調するような、新しいタイプの店舗が増えた1年となり、POPは同98.5%の1970億円。顧客体験・省人省力化を主軸に、店舗の新しい価値を求める動きがみられた。店頭演出として、最新デジタルツールも数多く登場した。
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