新型コロナウイルスの感染を防ごうと、首都圏1都3県はいま、「いのちを守るSTAY HOME週間」のさなか。政府の専門家会議は大型連休を見据え、人との接触を8割減らす「10のポイント」を示す中で、「急がない買い物は通販で」と、EC・通販を推奨した。すでに「GW商戦はECが軸」と構える企業もある中、需要の急増を予測する専門家や企業関係者は少なくない。
STAYHOMEのGW、購買行動は?
感染者を一気に減らす「短期決戦」を描き、国が緊急事態宣言を発してから3週間。連休の取得などによる通勤の抑制や、これまで以上の外出自粛強化要請などで、危機感の共有は進んできたようだが、「コロナ後」は見いだせないままだ。
一般的にGWは旅行をメインとした外出によって、通常に比べて家でパソコンに触れる機会が減る傾向にある。そのためスマホの利用は上がっていてもGWはECの売上低下は避けられない、という見方もある。しかし、今年はその要素がない。専門家会議が飲食についても宅配の利用を勧めている状況や、食料雑貨宅配サービス分野でもEC需要が増している現状を見るとき、やはり「巣ごもり消費」でのECは重宝されそうな勢いがある。
2割が外出自粛でEC初利用
Instagramメディア「Petrel(ペトレル)」を運営する(株)パスチャーが、専門家会議による「10のポイント」発表後に、10~20代の女性を対象に実施した『オンラインショップの活用事情』についての実態調査によると、「コロナ禍」の影響で、対象者7518人のうち、55.0%が「オンラインの利用が増えた」と回答していた。さらに21%が外出自粛をきっかけにオンラインショッピング初体験をしていたこともわかった。
購入商品1位はファッション
購入商品の1位は「洋服」(29.8%)。春夏のコーデにとり入れたいブラウスやワンピース、トレンドのシアーシャツやカラーボトムスを購入したとの回答があった。内訳は「服(93.5%)」「ルームウェア(3.6%)」「ナイトブラ(2.4%)」「水着(0.6%)」となり、おうち時間を充実させるためのアイテムや、夏に向けた商品の購入も見受けられた。
同社は、「Withコロナ時代」「Afterコロナ時代」のオンライン体験を、より強化した施策を打ち出していくにあたり、若いユーザーのリアルな行動がうかがえたとしている。
JCBら調査によるとECは6%増
ビッグデータ経済解析プラットフォームを展開する(株)ナウキャストと、(株)ジェーシービーがこのほど明らかにした『3月後半の国内業種別消費動向データ』によると、マクロで見た業種別消費指数のうち、「EC」は前年比で6.1%増。3月前半の実績4.1%増を上回る大幅な上昇となっていた。EC以外でプラスだったのは、「電気・ガス・熱供給・水道業」の2.4%増のみ。他の業種はすべてマイナスで、消費者の買い物がECにシフトしている現状が顕著に表れた。
クレカ消費額は増税後以上の冷え
また、両社によるクレジットカードの利用実績を示した最新情報では、消費額は3月以降に一変。国内で感染が広がり、イベントなどの自粛が始まった2月後半は前年同期比0.3%減。3月前半には7.7%減と急落し、消費税増税後の昨年10月前半(6.5%減)を上回る落ち込みだった。
3月後半に入ると、9.3%減と消費はさらに急ブレーキ。東京都で外出自粛要請が出た3月下旬にその傾向は加速した。一方で、ECは2月が9%増、3月は15%増となり、「巣ごもり消費」による堅調・軟調が鮮明に。今後の動向については、ECの伸びなど、外出自粛下での新しい消費行動が顕著に現れる、との見方を示している。
クリテオは購買変化の動向データ公開中
ネット上の広告プラットフォームを提供するCriteo(株)が、海外の動向を含めてまとめた外出自粛後の購買変化だ。緊急事態宣言の「期限」によって変動は考えられるが、いまのところ、GW中も同様の傾向が見込まれている。
♢ 『ファッション』
スポーツウェアやエクササイズウェア、パジャマなど、カジュアルな衣料品の売れ行きが大きく伸びている。外出自粛によって自宅で過ごす時間が増えたため、消費者はゆったりした着心地の衣類を優先して購入しているようだ。
♢ 『家電製品』
在宅勤務や自宅学習が増えるに従って、家電製品の販売が大幅に増加した。世界中で多くの消費者が、つながりや生産性の維持、エンターテインメントなどを目的にテクノロジー製品を購入している。
♢ 『食料品・雑貨』
飲食店が閉まり、人々は自宅で食事をするようになった。世界中で食料品のオンライン販売が急増している。
♢ 『家具』
ソーシャルディスタンシングの徹底と外出自粛の中、人々が仕事や学習、レジャーの新たなスタイルに合わせて、生活空間を整えようとしていることがよく分かる。
♢『スポーツ用品』
ジムやフィットネススタジオが一時休業を余儀なくされている中、多くの人々がエクササイズの習慣を継続しようとしていることが分かる。エクササイズチューブからサイクリンググッズまで、スポーツ用品の販売は世界各地で伸びている。
♢ 『ホーム&ガーデン用品』
これまで以上に自宅が人々の生活の中心になっている。ガーデニンググッズや室内装飾、お掃除グッズ、衛生用品などの販売が明らかに急増している。
♢ 『ペット用品』
いつも以上に自宅でペットと過ごす時間が増え、中には新たにペットを飼い始めた人もいる。いつも以上にペットに癒やしや触れ合いを求めるようになっているためか、ペット用品の販売が大幅に伸びている。
GW中の体制強化する支援企業も
WEBマーケティング事業を展開するバリュークリエーション(株)は、GW中はEC市場が軸となると想定。スマホやパソコンで買い物をする機会が増え、店頭での購入からオンライン上での買い物に移行している傾向が強まると、自社の広告運用チームの体制強化を決めた。
「GWを控え、旅行や外出が中止になってしまったことで旅行予算をネット上での買い物に充てることが予想される」とし、WEB広告代理店として顧客の商品を多くのユーザーに見てもらうためにチャンスをつくりたい、としている。
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