(株)ファンケルは7日、自社のECサイト「ファンケル オンライン」を通じ、不織布マスクの販売を12日から開始すると発表した。これまでの相互支援の絆で、中国の国有企業から調達できるめどがついたという。同社は併せて、全国の医療・保育現場へのマスク寄贈を明らかにした上、顧客や株主らと連携した継続的な支援の輪づくりのシステムを提案している。
創業の理念「不の解消」に基づきマスク不足解消へ
新型コロナウイルスの感染拡大に伴うマスク不足は断続的に続き、多くの人の「不安」「不便」「不満」を増幅させている。同社は、創業の理念である「正義感を持って世の中の『不』を解消しよう」の実現に向け、あらゆる災害などに一企業として深い関心を傾け、国内外で起きた災害などには真っ先に支援の手を差し伸べる活動を重ねている。
精神は、今回のマスクの調達や販売チャネル、販売方法、価格設定などにも表れている。販売にあたっては、同社が1980年の創業以来、培ってきた通信販売の仕組みとノウハウを最大限に活用する。年間120万人超が利用する「ファンケル オンライン」の利用と、同社の物流センターの活用で、可能な限り早く、必要な人の手元に届ける手段だ。
さらに、受注時の混乱を避けることなどを考慮し、できるだけ多くの方がマスクを入手できる方法を検討。その結果、会員以外の希望者には事前登録制を導入する。マスクの原価は国際的な争奪戦や原料資材の高騰中だが、これを勘案しながら、現時点での適正価格を設定。マスク不足の解消が目的のため、6月30日の注文まで送料は同社が負担する。
1人各3個まで購入可能、発送は5月中旬から
販売するマスクは3種類。『不織布マスク 大人用』(175×95㎜、50枚入り、税込3590円)、
『不織布マスク 女性・子供用』(145×95㎜、50枚入り、税込3590円)、『不織布マスク 大人用』(中国語パッケージ、175×95㎜、50枚入り、個包装、税込3190円)。3種類に性能や品質面で大きな違いはないという。
会員には、12日からメールなどで『大人用』と『女性・子供用』の販売開始を案内し、注文を受け付ける。また、会員を含む一般客には、同日10時から『中国語パッケージ』の事前登録の受付を開始し、注文可能となった時点で登録メールアドレスに同社から連絡する。一人でも多くに届けたいと、1回の購入は各3箱まで。商品は 5月中旬から発送する。
調達先は中国の販売代理店
マスクの調達先は、健康食品販売代理店の「中国国際医薬衛生有限公司(国薬国際)」。国有企業で、ファンケルは2017年に中国市場での健康食品の販売代理店として同社と契約し、18年に越境ECでの販売を開始している。2月には「国薬国際」に、マスク13万7200枚、防護服3000着、保護ゴーグル2000個、手袋 6000 個などの支援を行っていた。
その後、3月に入り、今度は「国薬国際」から、直営店舗の従業員の感染予防のためと、5万枚のマスクが届いた。「休戚与共 風雨同舟」(良いことも悪いことも分かち合い、風の中で共に立ち、嵐の船に共に乗る)。こんなメッセージが添えられていた。 さらに、マスク不足に困っている日本の顧客のためにマスク調達の可否を打診したところ、より迅速・確実に入手するため、「国薬国際」の代金立て替えで調達を承諾してくれた。
新マスクの開発へ
ファンケルは、こうした「絆」を土台にマスク不足を解消しようと、新たなマスクの開発にも取り組んでおり、今秋をめどにオリジナルマスクを発売する予定でいる。同社はこうした試みとともに、「継続性な支援を」と顧客と株主にも呼びかけている。
顧客からは、製品の購入時に付与している 1 ポイント=1円の寄付(500ポイント以上)を募りたいと、12日にもサイトに特設コーナーを設ける。また、株主には株主優待での寄付を呼びかける。(1)100~200株未満は3000円、(2 )200株以上は6000 円のマスク寄付を新設し、寄付の賛同を募るという。寄付は1か月ごとにまとめてマスクを購入。必要とするところへ迅速に届ける「支援の輪」をつくりたいという。
高機能マスク1万枚を厚労省に寄付
その一環としてこの日、医療機関で不足している高機能マスク 1万枚を、厚生労働省の新型コロナウイルス対策本部に寄贈し、全国の医療機関に提供するのをはじめ、子供を預かる保育所施設の安心・安全のため、(社福)日本保育協会に不織布マスク 10万枚を寄贈した。費用の一部は、同社の従業員による積み立て基金からも供出された。
この続きは、通販通信ECMO会員の方のみお読みいただけます。(登録無料)
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。