2020.05.11 マーケティング
レコメンドメールの仕組みと実現方法…リピート向上には”パーソナライズ”
AmazonやZOZOTOWNなど成長している最先端のECサイトでは当たり前のように実施されている「レコメンドメール」。ECサイトの売上を増やすために非常に効果的といわれていますが、自社ECサイトで実現できているケースはまだ稀です。そこで本稿は自社サイトでレコメンドメールを実現する方法についてお伝えします。
レコメンドメールとは?
レコメンドメールとは顧客ひとりひとりにあわせた「おすすめの商品」をメールコンテンツに自動的に差し込んで配信する施策です。このように顧客ひとりひとりに合わせたタイミング、コンテンツ、ターゲットでのメール配信を「パーソナライズドメール」といいます。
レコメンドメールはパーソナライズドメールの中の施策の1つとなります。
Amazonなど最先端のECサービスを利用されている方は、恐らくこういったレコメンドメールをすでに受け取っていると思います。自分に興味のある商品が絶妙なタイミングで配信されてくるため、ついついメールを見て購入してしまう人も多いようです。
なぜレコメンドメールが重要か?
顧客視点にたって考えればすぐに分かるのですが、自分に興味のない商品が配信されてきても購入につながる可能性は低いですが、
今まさに気になっている商品やそれに関連する商品であれば購入につながる確率が高くなります。
レコメンドメールは顧客の閲覧履歴や購買履歴や属性データ(性別や居住地や流入経路など)をもとに、その顧客にあわせた商品を見せるため、一斉配信メルマガや一般的なセグメントメールよりも非常に高い確率で購入につながります。
これはECサイト側にとっても無駄な配信コストを削減でき、顧客にとっても不要な情報を受け取ることによる無駄を解消できるので、双方にとってWINWINの施策になります。
必要な人だけに興味の持つ内容を配信できるため、一斉配信メルマガと比較してメールの配信解除や精読率の低下を防ぐことができるというメリットもあります。
ECサイト利用者を対象にしたある調査では、リピート購入のきっかけとしてこのパーソナライズドメールが大きく影響しているという調査結果があります。つまり顧客にあわせた商品をタイミングよく配信することが、最もリピートのきっかけにつながるということです。
レコメンドメールの具体例
レコメンドメールの内容は非常にシンプルで、冒頭に挨拶文とおすすめ商品を紹介する旨の文章を記載し、あとは商品サムネイルを並べてキャッチコピー、商品名、価格などの概要を表示し、それぞれ購入ボタンを付けるだけです。
顧客ごとのおすすめ商品は、今まさにその顧客がどの商品に興味を持っているか、どのカテゴリーに興味があるのか、どんな趣味嗜好があるのかなどを顧客の行動履歴や属性をもとに予測して生成します。過去の情報も大事ですが、今まさにどんな状況なのかを予測するには直近の行動データをもとにリアルタイムで予測することが重要になります。
またメール配信時点で在庫切れの商品や販売停止となっている商品は除くなど商品表示の制御も必要となります。
レコメンドの種類
一口にレコメンドといっても色々な方式があり、それぞれ実現の難易度や精度(顧客に見せた場合に購入へつながる可能性)、メリットデメリットも異なります。ここでは代表的なものをご紹介致します。
◇ルールベース方式
サイト側で一定のルールを定めることでコンテンツを表示させます。
例えば、サイトのトップに「新着情報」など、押し出したいものをレコメンドしたり、この商品を閲覧した人にはこれを見せる、といったようにあらかじめ決めたルールで表示する方法です。ターゲットが広い商品を見せる場合には有効ですが、そうでない場合、
ユーザーの嗜好とかけ離れたものをレコメンドをしてしまう可能性があるので、精度は低くなります。
◇コンテンツベースフィルタリング
あらかじめ設定したコンテンツの属性タイプ(カテゴリー・値段・色など)と、ユーザーが選んだものの関連性を分析し、似たものをおすすめする方法です。コンテンツの属性を作成する段階で運営者の意図をある程度反映させることができる一方で、アイテム点数が多いと膨大なデータ処理が必要になりコストが増加します。
◇協調フィルタリング方式
ある対象者が商品をチェックまたは購入したデータと、対象者以外がチェックまたは購入したデータの両方を用い、その購入パターンから人同士の類似性、または商品間の共起性を相関分析してレコメンドする方法です。運用の手間がかからずにある程度の精度のレコメンドを表示できますが、ユーザーの行動履歴をある程度収集できないと精度が低くなってしまいます。
◇ベイジアンネットワーク方式
観測を繰り返すごとに確率を修正して正解に近づける「ベイズ理論」を人工知能に取り入れ、膨大なビッグデータを解析して確率推論を行うことで、複雑でかつ不確実な事象の起こりやすさやその可能性を予測することができる方法です。精度の高いレコメンドを生成できますが、一方でアイテム点数が多いと膨大なデータ処理が必要になりコストが増加します。
それぞれの手法で一長一短があり、最近では複数の手法を組み合わせてレコメンドを生成するケースもあります。
レコメンドメールの実現方法
レコメンドメールを実現するには、一般的にはレコメンド生成するためのレコメンドエンジン、ターゲットを抽出するCRMシステム、配信を行う配信システムなど複数のシステムを連携させる必要がありますが、中にはそれらの機能を統合してECに特化したオールインワンのCRMツールもあります。
複数システムを連携して実現する場合はより高精度な予測と自由度の高い配信制御を実現できますが、一方でシステム費用や実装フェーズでのコンサル費用など、準備のための手間やコストがかかるという問題があります。よほどの規模のECサイトでない限りは費用対効果が問題となり実現が難しいと思います。
一方でECに特化したオールインワンのツールの場合は安価に高精度な施策を実現できるため、中小規模~大規模まであらゆる規模のECサイトにおすすめです。
まとめ
すでにAmazonやZOZOTOWNなどで実現され、ユーザーにとっては身近な存在のレコメンドメールですが、自社サイトで実現しようとするといくつもの高いハードルがあります。これらをクリアしてレコメンドメールを実現するには、自社で試行錯誤しても費用対効果があいませんので、やはり初めから知見のあるCRMツールベンダーに相談することが一番の近道といえます。
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